【山行記録】 盛夏の白峰三山 北岳 間ノ岳へ 2日目 〔2011.7.25〕
当初の予想を裏切ることなく、終日ガスに包まれ1日目は終了した。
2日目の行程は、北岳の頂を踏み間ノ岳へ至る、日本最高所の稜線にして国内随一の縦走路である。
早朝の好天に全ての望みを託し、眠りに就いた僕らだったが…
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2011年7月25日(月) 天候:曇りのち晴れ
北岳 間ノ岳 両俣下山(北岳肩ノ小屋~北岳~北岳山荘~中白根山~間ノ岳~三峰岳~野呂川越~両俣小屋~野呂川出会)


・ 高低差、距離、コース概要は上記の通り。
・ 地図上の通し番号は、これからブログに添付する画像の撮影したポイント。





とても穏やかな夜だった。
真夜中に 『寒い、寒い』 と子供のすすり泣く声がテント場に響いていた事以外、これといって何事もない平和な夜だった。

午前2時30分、設定していた目覚ましのアラームが鳴る。
恐る恐るテントから顔を出すと、そこには限りなく広がる雲海と、明るい月が輝いていた。
この時僕は勝利を確信した。やはり山は裏切らない、苦労は報われるんだと、そう信じて疑わなかった。
果たしてそれが真実か、ただの幻想なのかは、これより数時間後に自ずと知る事になる。



ちなみに、予定変更により本日中に下山することが決定したため、出発予定時間は午前4時に設定した。
スムーズに下山するためには両俣から下り、野呂川出会のバス停で広河原~北沢峠間の最終バスに乗る必要がある。
さもないと野呂川出会から北沢峠までの1時間20分を余計に歩かなければならない。それは面倒だ。

最終バスの時間は14:40なので、4時に出発すれば時間的猶予は10時間40分。
それに対して本日のコースタイムは8時間45分。
山頂での大休止や若干のタイムの遅れを考慮してもおよそ2時間のアドバンテージがあれば十分だろう。
そう思ったが、何だかんだで肩ノ小屋を出発したのは15分遅れの4:15だった。


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肩ノ小屋からは美しい雲海が眼前に広がり、空は徐々に茜色に染まりつつあった。(撮影地点1にて撮影)
これはどうやら賭けに勝ったな。そう確信するに十分たる景色がそこに広がっていた。

足取りは昨日とは打って変わって軽く、僕は最高の一日の予感に心躍らせていた。




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しかし、確信した勝利が瓦解する瞬間は、意外と早く訪れた。(撮影地点2にて撮影)
登り始めて程なくして、辺りは濃いガスに包まれたのである。


『そんな馬鹿な…』


僕がそう思うのも無理はないだろう。
あれほどの月夜と、美しい雲海を見せておいて、この期に及んでこれは一体何の冗談だ?
山は裏切らない、そう信じた人間の末路がこれか。

身体は一気に重くなり、一歩踏み出す足に力が入らない。
たかだか展望が期待できなくなっただけでこれか…。人間は体力より何より、やはり精神力に左右される生物なのだという事を実感する。


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北岳山頂到着。この日の一番乗りだ。(撮影地点3にて撮影)

しかし、日本第2位の標高を誇る北岳の頂に立ったというのに、この虚無感は一体何だ。
だがまだだ、まだわからない。日の出までにはまだ時間がある、まだ望みを捨てたわけじゃない。


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そして日は昇った。
ガスの中におぼろげに浮かび上がる太陽。これはこれで幻想的だが、しかし僕の望んだご来光はこんなんじゃない…。


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ここでさっさと見切りをつけて先を急いだ方が後の行程は楽になる。
しかしそれができないのが僕だ、『まだガスが晴れるかもしれない』 一縷の望みにしがみつき、往生際悪く山頂に居座り続ける。

こうしている間にも2時間あった持ち時間はじわじわと減り続ける。
そうこうしているうちに、山頂に到着してから30分が経過しようとしていた。
出発時間の遅延が15分、さらに山頂で30分のロス…さすがに初っ端から1時間近いタイムロスは厳しい。これ以上はマズイか。
歯痒いが仕方ない。後の行程に支障が出てしまう以上、ここらが潮時だろう。

肩ノ小屋から登って来た男性に2ショット写真を撮影してもらい、北岳山頂を後にする事に。
仕方が無い、また来ればいいさ、こうして僕らは間ノ岳へと足を向けた。


















まさにその時!!



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それはまさに一瞬の出来事だった。
辺りを包んでいたガスが一斉に霧散し、視界が一気に開けたのである。
あまりに突然の事に事態が飲み込めない僕ら。だがこの好機を逃すまいとして僕はザックを背負ったまま撮影に奔走していた。


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完全にガスは晴れた。


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そしてブロッケンも!


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日輪のようなブロッケン。
うっははは、スゲェwww


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目指す間ノ岳への稜線も一気にその全貌を現した。


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そして極めつけに、国内第2位の北岳から望む国内最高峰富士山。
あぁ、感無量である。これが見たくてここまで来たのだ。その望みは最高の形で叶えられたのである。
大幅なタイムロスを強いられたが、その見返りたる価値はあった。

しかし時間は無情にも過ぎていく。
あまりのんびりしているわけにもいかない、見るものは見たことだし先を急ぐ事にする。



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展望が無かった登りと違って、なんと身体の軽い事か。人間とは現金なものだ。(撮影地点4にて撮影)
ロスしたタイムを取り戻すために、軽やかに斜面を駆け下りていく。
多分テント泊装備を背負った状態では、過去最速の下りだったと思う。


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国内最高所の稜線。
先ほどまで立ち込めていたガスも晴れ、今やその視界を遮るものは何一つない。
最高だ、あと2時間程度、僕らが間ノ岳の山頂に到達するまではせめて天気よ持ってくれ。


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最高に気持ちいい瞬間。やはり山は晴れているときに登るに限る。(撮影地点5にて撮影)


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北岳山荘到着。(撮影地点6にて撮影)
残念ながら余りのんびりしている時間は無い。
とりあえずバッジとオレンジジュースを買って10分ほど休憩したら早々に出発する事にする。
ここの小屋も雰囲気が良い、また是非とも機会があればのんびり滞在したいところだ。



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天気も最高、間ノ岳までの稜線、存分に楽しませてもらう事にしよう。(撮影地点7にて撮影)


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少々逆光気味だが、先ほど山頂を踏んだ北岳を振り返る。(撮影地点8にて撮影)
なんと美しい山容か、この角度から見るとまさしくピラミッドピーク!まぁ見る角度が悪いと洗濯板にしか見えないんだがww

北岳~間ノ岳の稜線は比較的アップダウンが緩くて歩きやすい。
先週の薬師岳~立山はあまりにもアップダウンが激しかったものだから、それに比べて楽…というだけの話だけど。
何より景色と開放感が最高だ。本当に気持ちのいい稜線歩き。



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中白根山到着。(撮影地点9にて撮影)
こんなマイナーピークですら3000m越えだもんなぁ…とんだインフレっぷりには笑うしかないw


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さて後もう少しで間ノ岳だ。


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途中キタダケソウのつもりで撮った花、家帰ってよく見たらハクサンイチゲかこれ?
植物よくわかんないww
もっと勉強しないと駄目だなぁ…


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随分と遠くなってしまった北岳。結構歩いてきたね。(撮影地点10にて撮影)


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北岳、甲斐駒、仙丈。南アルプスエース級の揃い踏み。なかなか贅沢な画である。



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そして間ノ岳到着。(撮影地点11にて撮影)
後ろにほんのちょこっとだが富士山が写っている。
残念ながらこちらの看板は完全に逆光になってしまうので別の看板で記念撮影をする事にする。


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こちらの看板でも記念撮影。
ちなみに、こっちは学生の団体と思われる集団が周りを取り囲んで占領していた。
最初、学生がこの頂上標によっかかって雑談をしていたので、無言でカメラを構えてご退場願った。
悪いがこっちはあまり時間的に余裕がないんだ。勘弁してくれ。

そもそも頂上標付近は記念撮影したい人もたくさんいるのだから、もう少し離れたところで休憩するなり配慮した方が良いと思う。
と、顧問の先生に苦言を呈そうかとも思ったが、面倒なのでやめた。


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だいぶガスが上がってきてしまったが、北岳、甲斐駒、仙丈をバックに一枚。
全て登った事のある山というのが非常に感慨深いものがある。
時間的にもそろそろ展望のタイムアップだな、あとはガスが濃くなる一方だろう。なんとか展望の利くうちに間ノ岳まで来れてよかった。


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農鳥岳方面。
今回はこちらには用がないのでまたの機会に。
アクセスを考えると農鳥まで縦走するならやはり長野県側からではなく山梨県側から入らないと駄目だな。



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時間も限られていることだし、足早に山頂を後にする。(撮影地点12にて撮影)
ここからは三峰岳(みぶだけ)方面へと下り、両俣小屋を経由して林道まで一気に下っていく。
下り始めて10分ほどすると間ノ岳は一気にガスに包まれた。どうやらタッチの差だったようだ、やはり早朝出立は正解だった。

さぁあとは一気に下るだけだ。


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三峰岳は標高2999mの大変惜しい山w(撮影地点13にて撮影)
間ノ岳の陰に隠れてしまって存在感が無いが、単体で見るとそれなりに面白そうな岩山だ。
しかし残念ながら両俣へ下るルートはここのピークを巻く形でつけられている。
寄って行っても良かったのだが、持ち時間は浪費しないに越した事は無いので今回はパス。またいつか機会があれば登ろう。


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三峰岳を巻くと仙塩尾根の始まりだ。(撮影地点14にて撮影)
見るからに長い長い尾根だ…今からこれを下るのか。
あまりの好天に忘れていたが、そもそも昨日から体調が優れなかったのだった。
この時、キツイ下りになりそうな予感を感じていた。


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間ノ岳の稜線を見上げる。
だいぶガスが濃くなってきた、これで見納めだと思うと残念だが、またいつか是非とも来よう。


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植物の背丈も徐々に高くなり、やがて潅木帯に入る。(撮影地点15付近にて撮影)
三峰岳~野呂川越までは一気に1000m近い標高を駆け下りる尾根なため、所々急峻な斜面、鎖場もある。
しかも登山道の周りの植物が極端に生育しているのでものすごく歩きづらい。虫も多いし、疲れはピーク。あぁぁ嫌になる。


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斜面は徐々に緩やかになり、苔むした樹林帯へと移り変わる。(撮影地点16付近にて撮影)
このあたりは南アルプス独特の深い森林帯。
いい雰囲気なのでできれば時間を掛けてゆっくり歩きたいところだが、今日は時間が無いので足早に駆け抜けていく。


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途中小休止を取りながら足早に野呂川越も通過、あと少しで両俣小屋だ。(撮影地点17付近にて撮影)
この辺りの森林もものすごく気持ちが良い。
だというのに先を急がなければならない矛盾。あぁ、時間に追われる登山は嫌だ…、今度はもっと時間と心に余裕を持って来よう。



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両俣小屋到着。とても雰囲気のある良い小屋だ。(撮影地点17にて撮影)

小屋のスタッフはみんなどっかに遊びに行っちゃったらしく、客以外誰もいなかった、テラフリーダムwww
冷たいジュースが欲しかったので、小屋の中にいたお客さんにジュースの在り処を聞き、とりあえず2本頂く事に。
代金もそのお客さんに預かってもらうという、もう何がなんだかわけのわからん状態ww
あぁ、なんだろうこのアットホームと言うかやたら自由気ままな感じは、また是非ここに泊まりに来よう。


この時点で11時20分。
ここからバス停まで2時間10分で、バスの時間が14:40分だから…何だ、1時間近く余裕があるじゃん。
無理に急ぐ事なかった、もう少し余裕を持って歩いてくればよかったなぁ。まぁあまり余裕こきすぎてバスに遅れるよりは早いほうがいいか。

そんなわけで両俣小屋で30分ほどのんびりする事に。
足が痛かったので目の前を流れている沢で足を冷やしたり顔を洗ったり。とても気持ちいい。


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さて、あとは長い林道歩き。頑張ろう。
ここは両俣小屋のテント場。沢も近いし木陰で涼しい。夏場のテント泊にはもってこいの場所だ。
うん、ここはいいな。また是非来よう。


そしてここからの2時間の林道歩きは想像よりはるかにキツかった。林道歩きと思って舐めてた…
足の裏は痛いし、膝も痛くなってくるし、途中夕立は降ってくるしでムチャクチャ。
両俣にはまた是非来たいけど、ここの林道歩きは正直もう嫌だ。


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こうして永遠とも思えるほどの2時間の林道歩きを終え、野呂川出会のバス停に到着。(撮影地点18にて撮影)
先客が3人ほどおり、釣竿を携えた人もいた。どちらかというと沢の人の方が多いのかな?ここのバス停は。


こうして僕らの2泊3日改め、1泊2日の北岳、間ノ岳縦走は幕を閉じた。
疲れが十分に癒えぬ中、無理やり強行した今回の山行だったが、何とか無事完遂する事ができた。
初日をガスにまかれ、2日目も出発と同時にガスに包まれたときはどうなる事かと思ったが、蓋を開けてみれば北岳~間ノ岳の稜線を歩いている間中ずっと好天に恵まれ、十分満足のできる最高のコンディションだった。

間ノ岳~両俣、両俣から林道歩きあたりは随分とオーバーペースで歩いたので足裏も痛くなるし、ふくらはぎや腿もパンパン。
林道はともかく仙塩尾根や両俣の周辺は非常に趣のある良い登山道だけに、またいつかゆっくり歩きたいと思う。
今回はバスの時間に追われての山行だったわけだが、やはりこういうセカセカした登山はあまり好ましくない。
できればゆったりと時間に余裕を持って歩きたいものである。


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by misawa_re7 | 2011-07-27 23:49 | 山行記録 2011


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