【山行記録】 盛夏の白峰三山 北岳 間ノ岳へ 1日目 〔2011.7.24〕
先週の薬師岳~立山、そして直前の御嶽山の疲れも癒えぬ中、僕らが向かったのは南アルプス白峰三山。
今回僕らが目指すのは国内第2位の標高を誇る北岳と間ノ岳の2峰である。
天候予報もあまり芳しくなく、体調も優れなかった今回の山行、果たしてどのような結末が待っていたのだろうか??
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2011年7月24日(日) 天候:曇り
北岳 広河原登山口(広河原~分岐~大樺沢~二俣~右俣~北岳肩ノ小屋)


・ 高低差、距離、コース概要は上記の通り。
・ 地図上の通し番号は、これからブログに添付する画像の撮影したポイント。




無謀…と言えば無謀だったのかもしれない。

何が無謀だったかと端的に言うならば、今回の山行は体力的にかなり無謀だったと言わざるを得ない。
そもそも現時点で、僕は自分の体力を過信するどころか、一時期よりも随分と低い評価を自分に与えている。
そんな僕にとって、今回の山行スケジュールはかなり厳しいものであった事は否めない。

というのも、まずは先週の薬師岳~立山の3泊4日を終えてから1週間も経っていないというのが1点。
そしてもうひとつ、今回の山行の前日、友達と御嶽山に日帰り山行を強行したというのが1点だ。
特に前日の御嶽日帰りは僕の中に相当のダメージを植えつけていた。


当日までのスケジュールを簡単に羅列してみる。
7月22日 フォークリフトの資格検定を終え帰宅、20時~22時まで仮眠した後、23時に自宅を出発。
7月23日 1時半から御嶽山に登り始め、山頂にてご来光を拝み、5の池まで周遊した後帰宅。帰宅時間14時半
       帰宅後準備開始、ブログ執筆という暴挙に出た後、23時睡眠。
7月24日 2時起床。


計算していただければわかるが、2晩の睡眠時間が合計で5時間。しかもその間に工程時間11時間の日帰り山行を挟んでいる。
普通に考えたら狂気の沙汰だ、行けるだろうと判断したその時の自分をぶん殴りたくなってくるくらいに。
即ち、今回の山行は登り始める前から前途多難な幕開けを決定付けていたのである。




こうして迎えた1日目の朝の寝起きは、過去類を見ないくらいに最低であった事は言うまでも無い。

まず朝食が全く喉を通らない

というか胃が完全に固形物を拒絶している。そもそも起きた瞬間感じたのが吐き気である時点で異常事態であることは明白だった。
これはヤバイ…内臓疲労がピークに達している。
しかしカロリーを摂取しなくてはとてもじゃないがまともに山を登ることなどできるはずもない。
苦肉の策として、僕の朝食はウイダーインゼリーと栄養ドリンクになった。



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それでも僕は戸台に向かった。
行きの運転を嫁に任せ、1時間半の睡眠をとる事で多少は体力を回復する事はできた。
しかし、最高潮だった先日の笠ヶ岳の時の体調を10とするならば、今回の体調は2か良くて3といったところだろう。
2~3割程度の体力でテント担いで国内2位の標高を誇る北岳に登ろうってんだから無茶もいいところだ。


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北沢峠まで、バスに揺られながら1時間程度の睡眠を確保。少しずつではあるが体調が改善しつつあった。

ちなみに、北岳に登るにはここから広河原行きのバスに乗り換える事になる。
しかし、僕らはここで少々嫌な思いをする事になる。


戸台からのバスを降り、広河原行きのバスの待合ベンチに座ろうと思ったらすでに8番くらいまでベンチが荷物で埋まっていた。
知っている人も多いと思うが、北沢峠の停留所のベンチはバスが停留する場所に近いベンチから順番に番号が振ってあり、原則的にそこに書いてある順番どおりに乗車していくシステムになっている。
なので、僕らは空いていた10番くらいのベンチに腰を掛けバスを待っていた。
しかしよく見ると、1~8番のベンチに荷物を置いていたのは全員日帰り登山者。
しかもバス待ちをしているのではなく、単にこれから仙丈か甲斐駒に登る準備をしていたのである。


『おいおい…ここは準備用ベンチじゃないんだから、どっか他所でやってくれないかな』


内心そう思っていたし、おそらくこの時の僕は思い切り表情に出していただろうと思う。
睡眠不足で飯もろくに食っていない僕は正直必要以上にイライラしていた。
別にベンチを使うなとは言わないから、せめてバス待ちに最低限支障の出ない後ろの方のベンチでやってくれりゃ問題ないのだ。
それを堂々と1番ベンチから占領するとか…少なくとも僕はそんな大それた真似できんぞ。




そうこうしているうちに準備が終わったのか、結局全員山へと出発して行った。
ベンチが平和になったのでのんびり1番ベンチに腰を下ろし、あとはバスを待つだけだと仮眠しようとしていたのだが。
その平穏も即座に破られる事になる。

今度は駒仙小屋の方から上がってきた集団が突然僕らの目の前で雑談を始めた。
いや、雑談は一向に構わない。しかしそのうちの1人の女がどうも僕のザックのバンドを踏みつけているように見える。


ちょ…おま、ふざけてんのか!?


この時点でははっきり見えたわけではなかったのだが、後でバンドを見たら泥で汚れていたのでおそらく踏まれていたのだろう。
そいつは雑談に夢中で全く気付かない、回りの人間も誰一人として気付かない。
僕は迷惑そうにザックをよっこいしょと動かしたのだが、そいつはガン無視。
嫁も僕の怪しい動きで事態に気付いたようで、さすがに不機嫌そうな表情を隠さない。

頭の血管が2,3本ブチブチと切れそうなほどにイライラする。さっきのベンチといい、朝から何なんだよ一体。僕が何か悪い事でもしたかよ?
今口を開いたが最後、おそらくあることない事一気にまくし立てて、僕が迷惑野郎になるのは確実だったのでじっと口をつぐんだ。
それを察したのか嫁も何も言わずにただバスを待つ事にしたようだ。
気分転換の為にトイレに行き、顔を洗って帰ってくる頃には、その集団は僕らから離れたところに移っていた。


決してあんな風にはなるまい


僕は心に刻み、自分をまたひとつ戒めた。



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広河原着、僕らにとっては初の広河原である。(撮影地点1にて撮影)

そんなこんなで、朝っぱらから腸煮えくり返る出来事が続いたものの、30分ほどバスで寝たらスッキリ忘れた。
せっかく山に来たというのに、つまらない感情を山頂まで連れて行くのはナンセンスだ。
しかし言うまでもないが、人間やはり睡眠と食事は欠かしてはいけない。さもないと僕のように不必要にイライラする羽目になるから。


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広河原の吊り橋が見えた。


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それでは参りましょう!(撮影地点2にて撮影)



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さすがは水が豊富な北岳の山域である、緑が非常に綺麗だ。(撮影地点3付近にて撮影)
登山口からしばらくの間は森林浴を楽しみながら進む。


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白根御池と大樺沢との分岐。今回は大樺沢方面へルートをとる(撮影地点4にて撮影)


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小さな沢の渡渉を繰り返しながら進んでいく。(撮影地点5にて撮影)
所々登山道に水が流れている場所もある。スパッツ推奨。

沢沿いなので涼しいかと思いきや、その湿度ゆえ逆に蒸し暑い場面もある。



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本格的な渡渉箇所には橋が架かっている。(撮影地点6にて撮影)
アルミの橋の他、木でできた桟道も所々あった。


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道中クルマユリを発見。ちょうど休憩時だったので撮影。(撮影地点7にて撮影)

僕は原則的にテント装備の時にはあまり花の撮影には意欲が沸かない。
しゃがんだり立ったりするのが億劫だし、そもそも膝に負担がかかりすぎるのである。
しかし北岳は花の山と言われるだけの事はあり、ものすごい種類と数の花が咲き乱れていた。
以後もそれなりに頑張って花を撮影したので、花の写真が出てきたら 『あぁ、頑張ったんだな』 と思って見てもらえると苦労が報われるw


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大樺沢も後半は植物の背丈が低くなり見通しが良くなる。(撮影地点8付近にて撮影)
それと同時に上空に厚いガスの層を確認する羽目になった。
今日の天候は全く期待していなかったが、やはりこれだけのガスを見ると萎える。


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じわりじわりと高度を上げていくが、やはり今日はキツい。(撮影地点8付近にて撮影)
多少睡眠時間が稼げたとはいえ、所詮車の中での仮眠に過ぎない。
絶対的な不調に加え、ガスによる視界不良がなけなしの体力を徐々に蝕んでいく。
登り始め2時間程度で弱音を吐きたくなったのは一体いつ以来だろうか?果たして北岳に登ることができるのか不安になってきた。


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二俣到着。ここからは右俣方面へ進む事になる。(撮影地点9にて撮影)
こんなゴツゴツのところ登るのかよ…と思ったら隣に普通の登山道があったww



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ここからはこれまでとは打って変わって極端に急登となる。(撮影地点10にて撮影)

ヤバイ…きっついこれ。
酸素は足りているけど筋肉のキャパが追いついていない感じ。
間違いなく疲労だこれは。あぁ…御嶽日帰りとかやめとけばよかった、マジで。


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タカネナデシコ。(撮影地点11付近にて撮影)
ナデシコを山で見るのは今回が初だ。残念な事にほとんどがしおれてしまっていたけど。
僕は個人的にナデシコ好きなので非常に嬉しかった。少しだけ体力が回復したぞ。


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シナノキンバイの群生地を横目に急登をガツガツ登る。(撮影地点11付近にて撮影)

展望のおかげで体力を回復することは度々あるが、花のおかげで体力を回復できたのは初かもしれない。
それほどまでにここ、北岳の高山植物は素晴らしいものがある。
まぁガスで展望がゼロだったから余計かもしれないが。



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稜線に出るが…当然のように厚いガス、そして展望はゼロだ。(撮影地点12にて撮影)
いいさ、わかっていたことだから。
しかし小雨がパラつき始めたのはいただけない、一刻も早く肩の小屋に行ってテントを設営しなくては。


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ヨツバシオガマ、今回覚えた花のひとつ。(撮影地点12付近にて撮影)
ここの稜線上にはそこかしこにヨツバシオガマが生えていた。


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肩の小屋到着。何とか無事幕営地までは到達する事ができた。(撮影地点13にて撮影)
雨が少々強くなったので、一旦小屋で雨宿りさせてもらいつつ、雨間を見てテントを張る事にする。

小屋自体は大変年季が入っているが、昔ながらの山小屋という感じ。
トイレとか、最近の山小屋は不自然にきれい過ぎて違和感があるのだが、ここは良い意味で昔ながらの山小屋のトイレという感じがする。
高校山岳部時代をなんとなく思い出して懐かしくなってしまった。

小屋に入ってテントの受付をしていると程なくして雨は止んだ。
空の気まぐれが続いているうちにさっさとテントを張ってしまおう。


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岩の上の高台に設営。
周りから隔離されていていい感じだ、テントからの展望も悪くないし。
まぁ…ガスっているので結局展望もクソもないわけだがw

とりあえずテント設営も終了したので、水場に水を汲みに行く事にする。
ちなみに水場はテント場から下る事およそ15分、それなりの急斜面でザレているので少々歩きづらい。
水袋を手に持っての歩行には注意。


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ちなみにテント場から水場までの斜面、実は高山植物の群生地であり、素晴らしいお花畑になっている。
登ってくる途中に見たお花畑よりも断然こっちの方が素晴らしい。


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シナノキンバイの大群生。
ちょうど時期的に最盛期のようで、斜面全体が黄色い絨毯のようだった。
これは水場に用がなくても是非とも行ってみる価値のある場所だと思う。


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あとは岩場にミヤマオダマキ。
名前の由来は機織りの際に使う糸を巻いたもの 『苧環(オダマキ)』 に花弁の形が似ている事からつけられたようだ。
この花、名前覚えづらいww


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水場はこんな感じ。
湧き水だがそれなりの流量がある、1分間に1リッターくらいかな?


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ちょっと体勢がきついんですけどww


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水場からお花畑を見上げる。
写真にしてしまうとこの上ないほど陳腐だが、実際肉眼で見ると本当に美しい。
これは是非とも自身の目で確かめていただきたいところ。




その後、テントに帰って夕食。
この時点で天気予報を確認したところ、2日目の夕方には雨、所により雷雨、3日目もあまり好ましい天候ではなくなってしまっていた。
当初の予定では2日目に北岳、間ノ岳を経て両俣小屋で1泊。そして3日目には仙塩尾根を辿って仙丈ヶ岳という計画だった。
しかし明らかな体調不良に加え天候も不安定との予報が出てしまった今、計画の続行は無意味と判断した。

これにより3日目の仙丈ヶ岳は完全に中止を決定。行程を短縮し、2日目のうちに下山することに予定変更したのだった。
本来ならば予定通り両俣小屋で1泊し、3日目にゆっくり下山するのが最も理想的と言えた。
しかし1泊するとなればまたお金もかかるし、翌日朝一番で下山したとしても自宅に帰ることができるのは昼過ぎになってしまう。
それならば2日目に多少無理をしても下山してしまい、最終日に自宅でゆっくり休養したほうが結果的に楽だろうと判断したためである。
それに一時でも雷雨にさらされる危険のある山域に無理に留まる事も無いだろう。

例によって胃腸は見事にノックダウンされていたが、少しでも荷物を軽くするために、2日分の食料を半ば無理やり胃に詰め込んだ。



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夕暮れ時、ガスは相変わらず濃いままだったが、一瞬だけ北岳方面に夕日が差した。


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しかし一向に雲が晴れる気配はなく、この日は最後までこのようにどんよりとした空模様だった。


ここ数日の南アルプスの天候を毎日見ている限り、このような結果になる事は明白だった。
故に、夕暮れ時に晴れなかったことはそれほど落胆するほどの要因ではなかった。

問題は翌日。
夏山の傾向としては早朝は晴れ、時間と共にガスが沸き、8時~9時頃には完全に山頂付近はガスに包まれるのが通例だ。
つまり、早朝に晴れ間を拝む事ができなければ、展望に関してはほぼ絶望的であると言わざるを得ない。
翌朝は午前4時に出発し、北岳山頂でご来光を拝む予定である。
早朝の好天に全ての望みを賭け、僕らはこの日沈み行く太陽と共に静かに眠りに落ちた。

果たして北岳は、間ノ岳は、僕らに微笑みかけてくれたのだろうか??



盛夏の北岳、間ノ岳 2日目へつづく



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by misawa_re7 | 2011-07-26 20:24 | 山行記録 2011


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