【山行記録】 ブログ友と行く 南アルプス前衛峰 小仙丈ヶ岳編 〔2011.07.02〕
かつて、約束された山行があった。
しかし1度目の硫黄岳は震災によって、2度目の編笠山は悪天候によって流れ、実現する事なく時は無常に過ぎ去った。
そして今回3度目の正直。我々は集う、約束の地へ。
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2011年7月2日(土) 天候:晴れのち雨
小仙丈ヶ岳往復(北沢駒仙小屋~大滝の頭五合目~小仙丈ヶ岳)

・ 高低差、距離、コース概要は上記の通り。
・ 地図上の通し番号は、これからブログに添付する画像の撮影したポイント。



同日ご一緒した さまんたさんのブログ 酔いどれ係長さんのブログ



2011年6月某日。携帯メールという小さな枠の中で、秘密の電文による密談が行われていた。
かつて、2度に渡り計画された密会計画。しかしその2度の計画は共に実現される事なく闇えと消えていった。
そして都合3度目となる今回、我々の集うべき約束の地に選ばれたのは北岳だった。



『北岳でテント泊』



それが今回、我々が果たすべき命題であった。
日本で二番目に高い山の頂で杯を交わす…それはあまりにも甘美な響きである。

だがしかし、現実は甘くなかった。
我々5人の仲間のうち、2人が参加できなくなり、その上目的地である北岳の天候が直前になって悪化の予報を叩き出したのである。
2度あることは3度あるとはよく言ったものだ。どうやら我々はつくづく星の巡り合わせが悪いらしい。
また今回も延期なのか…誰もがそう悲観していた時、1人の男がある提案をしたのである。




『目的地を北沢駒仙小屋に切り替えましょう』




天候があまり芳しくない以上、稜線にテント場のある北岳では少々不安が残る。
それならばもういっそ北岳アタックは中止にし、目的地を変更してしまおうと言うのである。

なるほど、納得の提案であった。
北沢駒仙小屋は非常にアクセスの良いテント場である。
バスを降りて10分も歩けばテント場に到着するその立地条件ゆえ、手提げ袋に豪華食材を詰めて持って来れば簡単に大宴会ができる。
そして隣に流れる沢で、酒でも食材でもキンキンに冷やしておく事ができる。

つまりはそう、それはガッツリ山からユルユルキャンプへの転進を意味していた。
天候が悪ければアタックはスパッと諦め、もし好転するようならその時考えればよい。それが我々の結論であった。
そして、そのやり取りの中で僕はこう締めくくった。



『初日はのんびりするか、天気次第では散歩。日曜早朝からアタックでいいかと。』




至極真っ当なことを言ったつもりだった僕の発言。
しかしこれが後に物議を醸し出すなどと、この時は本人を含め誰も予期してはいなかった…




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と、言うわけで、2011年7月2日。
僕と嫁は北沢峠へ向かうべく、早朝の戸台のバス停に並んでいた。

この日は思ったよりも登山者が多く、臨時便が4便ほど追加されるほどの大盛況だった。
どうやらこの日は上で長衛祭なるものが催される予定であり、そのツアーらしき登山者が多かったようである。
それにしても、僕らのようにクーラーバッグを手に持っているような人は1人もいない…全くもって異端者である。

だがしかしあえて明言しておこう。
北沢駒仙小屋にベースキャンプを張るならば、これがもっとも利口な方法であると。
僕が学生の頃なんか馬鹿デカイスイカを手に持って、テント場でスイカ割りをして周りの登山者に振舞ったものだ。
山のテント場でそんな事が可能なのはここのテント場くらいである。

道中バスに揺られながら窓の外を見ていたが、厚い雲に覆われており天気は期待できなかった。
これは今日は駄目だろうな…
この時点で、僕は昼間から宴会モードに入る事を9割方確信していた。



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しかし北沢峠に到着してテント場の方へ歩き始めると事態は一変する。(撮影地点1にて撮影)
暗い森に光が差したのである。こんな日差しは先ほどまで全く無かった。


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半信半疑のままテント場に着いた時、僕らを待っていたのは透き通るような青空と、夏山を体現する白い雲だった。


『これ…は』


この時僕の中で歯車が狂い始めた。
いや、厳密に言えば、山屋としては正しい方向に歯車が回り始めたと言った方が適切かもしれない。
しかしそれが今回の山行の主旨に沿ったものであったかどうかについては議論の余地がある。




『せっかくなんで、天気が良いうちに行きますか!』




バスの時間の関係で僕らより少し遅れて到着したさまんたさん係長さんに、僕はそう言った。
彼らにしてみれば、それは青天の霹靂だったかもしれない。
しかし誤解のないように言っておくが、正直なところ、この時点において仙丈、甲斐駒の山頂を目指すビジョンは僕の頭の中には無かった。
それはひとえにメールのやり取りの中で出た一言 『初日はのんびりするか、天気次第では散歩』 が頭の中にあったからに他ならない。
あくまでも初日は散歩、アタックをかけるのは翌日という言葉には責任を持たねばならない。


が、しかし。


この 『散歩』 という言葉の定義において、僕と彼らとの間に致命的な乖離が生じていた事を後に知る事となる。


それは一体どういうことか??
言葉で説明するのはわかりづらいので図に示してみる事にする。





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こちらが北沢駒仙小屋を中心とした、ごく一般的な人の 『散歩』 の範囲だろう。
工程時間にして1時間未満といったところだろうか?まぁ妥当な範囲だと思う。


これに僕の言うところの 『散歩』 の範囲を重ねてみる。










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アホか( ゚д゚)



と、思った人は、概ね真っ当な価値観を有していると思って差し支えないだろうと思う。
うんうん、そのくらいが 『散歩』 の範囲だよね、と思った人は僕同様若干頭のネジが一本飛んでいる事を自覚した方がいい。


すなわち、この価値観の違いこそが全ての元凶である。
僕はこの天気ならば、山頂は踏まずとも前衛峰までは足を運びたいと思った。
しかし僕の 『散歩』 という言葉を真に受けている彼らからすれば、それは到底考えられない行為である。

人は言語を自在に操る生物であるが、時としてその言語が大いなる誤解を招くという現実を、人は真摯に受け止めなくてはならない。
まぁ能書きはともかく、全く異なる価値観を持つ我々がひとつの集団として仙丈方面へと登り始めたのであった。



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北沢駒仙のテント場を出て長衛荘方面へ。(撮影地点1にて撮影)
緑が綺麗で日差しが気持ちいい。


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2合目コースからハイクアップ。(撮影地点3にて撮影)


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登山口からすぐのところにある北岳展望所から北岳を望む。(撮影地点4にて撮影)
この時点で北岳は既に分厚い雲で覆われていた。
これは、目的地変更して大正解だったかもしれない。後はあの雲がこちらに届くまでにどの程度猶予があるかが問題だ。


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緑が綺麗。夏山はこうでないと!


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2合目に到着。(撮影地点5にて撮影)
一般的に散歩といえばこの程度の事を示すのだろうが…
しかしやはり樹林帯では展望がほとんど無い。せっかくの好天、せめて森林限界までは行きたいところである。



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4合目の手前で甲斐駒がドカーンと眼前に!(撮影地点7付近にて撮影)
おぉぉ!これだこれ!素晴らしい!
てかどうなってんのよ天気予報、全然天気良いじゃないのよwww

これは…行っちゃうしかないんじゃないの??



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しかし、4合目あたりから雲行きが怪しくなってきた…(撮影地点7にて撮影)
先ほどの綺麗な青空はどこへやら、あたりは白いガスに覆われてきていた。



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予定外に(元々の予定通りに)ミストハイクになってきた。
こりゃ…駄目かもなぁと思い始めたのはこのあたり。



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そして森林限界…(撮影地点8にて撮影)

どうやら間に合わなかったようだ。
これは早朝、暗いうちから登った人たちが唯一の勝ち組だったろうか。
しかし、だからと言ってもうここで帰りましょうとならないのがみさわクオリティ。
とりあえず目と鼻の先の小仙丈ヶ岳までは行く事にする。


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すると眼前にライチョウが。


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ライチョウが小仙丈ヶ岳までエスコートしてくれた。(撮影地点9にて撮影)

僕は彼(彼女?)を 『焼き鳥』 と名づけたww
ライチョウって食ったら美味しいのかな?という他愛も無い会話が名前の由来であるww



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そんなこんなで小仙丈ヶ岳に到着。


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右から僕、さまんたさん、係長さん。
残念ながら展望はほとんど無いが、皆でピークを踏んだ事には意味がある。


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仙丈ヶ岳方面。
濃いガスが発生しているが、僕はこの景色には見覚えがある。
と、言うのも、昨年の6月にここを訪れた時もこんな感じの景色だった。
あの時は一瞬だけガスが晴れ、仙丈ヶ岳、北岳、甲斐駒もちょこっと見ることができたのだ。

もしかしたらしばらくガス待ちをしたら仙丈が見えるかもしれない。
せっかくここまで来たのだし、そもそもこのあとは下ってテント場で宴会をするだけ。
急いだ旅ではないわけだし、仮にここで1時間や2時間ガス待ちしたところで何ら問題はないだろう。
そんなわけで一時でもガスが晴れるのを待つ事にした。


僕と係長さんは少しでも仙丈に近いほうがよく見えるだろうということで、カメラを持って小仙丈ヶ岳から更に進んだ場所へ。
そしてその途中…



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キタ!!!



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まさしく最高のタイミングでガスが消えた!(撮影地10にて撮影)
喜んでシャッターを切る係長さん。

どうやら小仙丈ヶ岳に残った嫁とさまんたさんからもバッチリ仙丈が見えているようだ。よかったよかった。



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僕も一枚。
やはり小仙丈ヶ岳から見る仙丈ヶ岳は最高だ。
一瞬でもガスが晴れてくれればいいなぁ、とは思っていたが。まさかここまでガッツリその姿を晒してくれるとは予想外もいいところだ。


後に 『仙丈の奇跡』 と呼ばれる伝説の誕生の瞬間である。


まぁ天気が天気だしこれ以上を望むのは間違っている。十分満足だ。
ほんの数分とはいえ展望が開けてよかった、こうでないとせっかくここまで来た甲斐が無い。
そして、存分に仙丈を満喫した後下山する事に。



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テント場に着いたらさぁ宴会だ!!
この時点で、スーパードライ3本、エビス4本、プレミアムモルツ5本。
つまりどういうことかお分かりいただけるだろう。


僕<さまんたさん<係長さん


伊達に酔いどれの称号を冠しているわけではない、さすがの係長である。
僕は標高に比例して一気に酔いの回りが早くなる。というか一般的には多くの人がそうであろう。
しかし係長さんはそれとは逆に山の方が酔わないそうで…
駄目だ、勝負にすらならねぇ…こちとら3杯で既に高度障害 (眠気) が発生していた…

程なくして僕は脱落。係長様、ヘタレですみませぬ…
そしてその後、日が暮れるまで目が覚めることは無かったwww
だが逆に考えるんだ、散歩で2800mまで登り、飯を食ったら翌日に備えてさっさと寝る。まさに山男の鏡だと考えるんだ!ww


と、言うわけで。
朝から暴走して2800mの前衛峰まで散歩に行き、宴会では早々と酔い潰れてしまった自称山男の鏡の一日はこうして終了した。
ちょっとそこまで散歩行きますかと、森林限界まで連れて行かれるとか一般的には罰ゲームであるw
皆さんの周りにもこういうデンジャーな奴がいるかもしれない、気をつけろ!



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by misawa_re7 | 2011-07-14 08:31 | 山行記録 2011


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