【山行記録】 極寒の地を求めて 友と静寂の鳳凰へ 前編 〔2011.01.10~11〕
『夜叉神から鳳凰に行こうかと』

事の発端はブログ友であるsamantha802さんのツイッターのつぶやきから始まった。
以前より、機会があれば厳冬期中にテント泊ご一緒したいですね、なんて話をしていた僕ら。ならば今回、僕もご一緒させていただいてもよろしいかと尋ねたところ、快く承諾していただいた。
そんなわけで、急遽前日に決まった今回のコラボレーション企画が実現の運びとなったのである。

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2011年1月10日 (月) 天候:晴れ
【気温】 【麓】 -10℃ 〔AM7:00〕 【南御室小屋】 -19℃ 〔PM4:00〕
【初日】 〔赤線〕 夜叉神の森~夜叉神峠~杖立峠~苺平~南御室小屋(テント泊)

・ 高低差、距離、コース概要は上記の通り。
・ 地図上の通し番号は、これからブログに添付する画像の撮影したポイント。




そもそも僕がsamantha802さん(以後さまんたさん)のツイートを見たのは山行日の前日。高山温泉旅行の帰りだった。
散々温泉につかってのんびりし、あとは自宅に帰ってゆっくり寝ようかな、と思っていた矢先のことだったのである。
あまりに急な決定だったから、当然の事ながら用意なんて何もしているはずがない。一目散に自宅に戻り、早急に装備を整え就寝。
4時間ほどの睡眠時間、そして3時間ほどの移動時間を経て、僕は夜叉神の森を目指したのだった。

ちなみに、僕とさまんたさんはこの段階では面識たったの2回の二人である。
しかし、不思議な事に、お互いがどんな理念の元どんな装備をそろえているか、過去にどんな山行を経験してきているのかはまるで自分のことのようにお互いがわかっている。
それが故に、突然前日に山行が決まろうと、計画や装備の打ち合わせが一切無かろうと問題がないのだ。
まぁ言ってみれば単独行2人が時間と場所を同じくして一緒に登るという感覚に近い。
パーティー山行としてはあまり褒められた形態ではないのかもしれないが、万が一の時は自分のことは自分で対処できるだけの装備はお互いにそろえてきているので問題はないだろう。
当然、山に登るにあたり必要最低限やらなければならないことはお互いにやるが、必要以上には束縛しない。
何とも現代風のスタイルのような気がしてならない。
賛否両論あろうと思うが、個人的にはこういうスタイルの方が気楽で良いと思う。



そんなこんなで、2011年1月10日早朝。

辺りが日の光で薄っすら明るくなってきた頃、僕は夜叉神の森の駐車場に居た。
今回は嫁は仕事のため不参加。昨年の5月の蓼科山以来、実に8ヶ月ぶりの単独行 (厳密には独りじゃないが) ということになる。
僕が車内でメールを打っていると、既に到着していたさまんたさんが車まで来てくれた。
久しぶりの再会、しかしながらこれでようやく面識が2回目ww
面識たった2回の人と何の違和感も感じずにテント泊山行できてしまうのだから、情報社会の現代には恐れ入る…
そんなこんなでお互いに準備を整えつつ、ヘッデンがいらないくらい明るくなってからハイクアップ。


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ほぼ無風の暖かな斜面を登っていく。(撮影地点1にて撮影)
この時期は原則西側からの風が主なため、こちら側の斜面はほとんど風が無いようだ。
久しぶりの再会に、会話を弾ませながらリズム良く登っていく。
10分ほど登ったところで登山届けを出してくるのを忘れた事に気付くww
戻って出すのも面倒である、開始早々10分にて登山届け、下山届け共にゴミになってしまった…


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朝日が林の中に届き始めた。木々が緋色に染まっていく。


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日が当たり始めると暑い…。基本的に暑がりな僕には余計暑く感じる。(撮影地点2にて撮影)
気温自体は結構低いはずだが、やはり無風であることと日が当たり始めた事が大きいか…
ソフトシェルも脱いでしまいたいが、今しばらく我慢する事にする。

登山道の状態は所々圧雪による凍結で滑りやすくなっている。
登りは問題ないが、下りはアイゼンを履いて下ってしまった方が断然楽だ。



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夜叉神峠到着。(撮影地点3にて撮影)

何だここは…すげぇ景色じゃないか!お互いがお互い、どちらからと無く 『うおー!』 と歓声を上げる。
はっきり言うが、僕は今まで鳳凰三山をものすごく地味な山だと思っていた。それ故に今まで足を運ばなかったわけだが…
だが敢えてここで言わせていただこう。


鳳凰三山ごめんなさい。


いや失敬、地味どころかいい山だわ、ここ。
白峰三山が目の前にどーん!これほど白峰三山を間近に見れる山は他にはそうあるまい…。
まだ麓でこの景色なんだから、山頂からの景色はさぞ素晴らしかろう。僕は鳳凰三山に対する認識を改めた。


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道中の小屋の看板。
これを見て 『薬師缶小屋』 って読んだ人、正直に挙手www


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道中カモシカと見つめあいつつ…(撮影地点4直下にて撮影)


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杖立峠到着。(撮影地点4にて撮影)
ちなみに実際の杖立峠はもう少し先に進んだ場所になる。杖立峠の道標がある場所は、名も無き2177mピークだ。

さて、実は僕はこの段階で足にどでかい爆弾を抱えて歩いていた。
昨年末に冬靴を購入したのだが、どうやらあまり靴が足に合っていないようで、年末の赤岳、年始の仙丈ヶ岳と長期山行を繰り返すうち、どんどん足が痛くなってきてしまったのだ。
仙丈ヶ岳からの帰り道、戸台川の河原歩きなど、もはや泣きたくなるほど痛かったくらいだからよっぽどだ。
店で2時間ほど試し履きして履き心地を確認してから買ったものの、やはり実際に山に出るのと店で歩くのとでは全く異なるのだろう。
痛みを抑えようとテーピングを施しては来たのだが、効果は無く、歩き始めて30分くらいから既に酷い痛みへと変化を遂げていた。

途中靴紐を緩めてみたり、閉めなおしてみたり、靴を脱いで足を休めたりしながら騙し騙し歩く。
こんな状態で同行させていただいたのはまずかった…万が一あまりに痛くなりすぎて動けなくなったら大迷惑をかけてしまう…
それだけは避けなければならない。とにかく休憩時は足のケアに専念しながらの苦しい登りとなった。

この時さまんたさんはだいぶバテていたようで、僕は足、さまんたさんは体力と、二人揃って満身創痍の状態だったと言える。



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自然の造形美、風紋で心を和ませつつ、一歩一歩騙し騙し…


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焼け跡から再び白峰三山がどーん!(撮影地点5付近にて撮影)
うおぉ、感動だ!素晴らしい景色だ!足が痛ぇぇぇぇ!!

理不尽だ、理不尽すぎる…
赤岳、仙丈ヶ岳と連続で登ってきて、高所順応は完璧だ!酸素は足りてる!
体力的には山続きで少々疲れがたまっているけど、気力がそれを凌駕しているから疲れも無い、大丈夫だ。
ただ、何だコレは、足が痛すぎるぞ!今までで一番痛いぞ…どうしたことだ…。


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苺平を過ぎて、ようやく登山道は下りへ。(撮影地点6付近にて撮影)
あと少し…ようやく終わりが見えた、二人揃って安堵する。
あと少し我慢すれば小屋だ…。


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奥秩父を眼下に収めつつ、あと少し気合で下る。(撮影地点6付近にて撮影)



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そんなこんなでようやく南御室小屋に到着。(撮影地点7にて撮影)
とりあえず靴の紐を全開に緩めてようやく人心地…。


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ちなみにここの小屋にはちゃんと冬期トイレがあります。
右端に見えているのがそう。


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テント場は利用者の形跡が多く、敢えて整地する必要はなさそう。
手間が省けてよかった。


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と思ったのもつかの間…僕らは目を疑ってしまった。
テント場の脇にあったもの、それは


ゴミの山である。


こんなのはほんの一部。
食べカス、レトルトの袋、生ゴミ、ビニール袋、手袋…etc
酷かったのは中身の入ったガス管、そしてカッチカチに凍結した中身入りのペットボトル。
重かったから帰りがけに捨てたのだろう。とてもじゃないが風で飛ばされてしまって回収不能になってしまった類のゴミではない。
何せわざわざ雪に埋めてあるものまであるくらいだ、誰かが意図的に捨てていったゴミであるに間違いない。

しかも酷かったのはそれだけではない。
ここの小屋には冬季用トイレがあるというにもかかわらず、そこらじゅうにテント場の脇にある小便跡。
獣のものにしちゃ、あまりにもテント場脇に集中してありすぎる。
はっきり言わせていただこう。


こんな胸糞悪いテント場初めてだ。


もちろんテント場に罪は無い、当然小屋にも。
だがこの酷さは何だ??大の大人が自分の出したゴミすらまともに処理することができないのか??
この時期、-20℃にも達するこんな場所でテント泊をするくらいだ、少なくともそれなりの装備と経験のある人間だろう、山をほとんど知らないずぶの素人なんてことはまずありえない。
しかし、いかに技術があろうと、経験があろうと、平気で山にゴミを捨てるような奴は山屋じゃない。
皆が皆こんな事をするわけじゃない事くらいわかっている。
だが山屋の中にこんな事を平気ですることが出来る人間がいるというのがたまらなく残念だった…。



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気を取り直して、さまんたさんと二人、テント村の設営にとりかかる。
しかし僕ら二人、面白いくらいに装備が似通っているのが笑える…ww
テント然り、スコップ然り…寝具なんてほとんど一緒だ。

テント設営の段階で気温は-15℃を下回り、日が落ちる頃には最低気温-19℃を記録した。
しかし-19℃でも、活動して物を食べている限りは身体はポカポカ温かい。強いて言えば末端が冷えて痛いだけだ。
人間の適応能力には恐れ入る…
この後テント前でささやかな宴会を開いたのだが、写真を撮るのを忘れてしまった。
その時の状況はさまんたさんのブログを参照のこと。


せっかく解凍したのに一瞬で再凍結した馬肉の燻製をつまみに、開けた瞬間からパキパキと凍っていくビールをぐいぐいと飲み干している前で、さまんたさんは40度のシングルモルトを凄まじい勢いでグビグビwww
おぉぉぉ!?大丈夫ですか!?
ていうか-19℃の寒空の下、のんびり宴会なんてできっこないwww
凄まじい勢いで酒とつまみを平らげて各々テントの中へ避難する事に…。
ていうか今思えば冬期避難小屋で宴会すればよかったんじゃなかろうか…まさしく今更ではあるが。


そんなこんなで初日の夜は更けていった…。
この日は結局僕ら2人とテント2張りだけ。あとは時折聞こえる獣の鳴き声と、捨てられたゴミを狸がガサゴソと漁る音だけが響いていた。
夜中には-20℃越えを期待して眠りに就いたのだが、どうやら-19℃で頭打ちだったようだ。残念!(変態であるww)
さて、果たして2日目の天候、そして僕の足はどうなることやら…


極寒の地を求めて 友と静寂の鳳凰へ 後編へ続く



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by misawa_re7 | 2011-01-14 23:13 | 山行記録 2011


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