【山行記録】 2011年登り初め 正月登山 厳冬期の仙丈ヶ岳へ 前編 〔2011.01.02〕
1月2日…お正月の真っ只中。
世間ではゆったりとした時間が流れているであろうこの日、僕らは重いテントを担ぎ、北沢峠を目指し戸台川の河原を遡っていた。
元旦の寝坊のおかげで、結果として2011年の登り初めは僕にとって非常に思い入れの強い、ここ仙丈ヶ岳と相成った。
果たして厳冬期の南アルプスの女王様は僕らを快く受け入れてくれるのだろうか…?
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2011年1月2日 (火) 天候:晴れ 及び 2011年1月4日 (木) 天候:晴れ
【初日・3日目】 〔赤線〕 戸台~第二堤防~丹渓山荘~八丁坂~大平山荘~北沢峠、長衛荘~北沢駒仙小屋(テント泊) 往復


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2010年1月3日 (水) 天候:晴れ
【2日目】 〔青線〕 北沢駒仙小屋~二合目~大滝ノ頭~小仙丈~仙丈ヶ岳~小仙丈~大滝ノ頭~長衛荘~北沢駒仙小屋(テント泊)


・ 高低差、距離、コース概要は上記の通り。
・ 地図上の通し番号は、これからブログに添付する画像の撮影したポイント。




仙丈ヶ岳

高校山岳部時代、夏山縦走の足慣らしとして毎年のように通った、僕にとっては非常に思い入れの強い山。
一昨年の8月に山を再開し、10年ぶりの再訪を狙った昨年6月の一度目の登頂は、膝痛の発症により撤退に終わった。
この時に負った膝の怪我は、夏山縦走で奇跡の回復を遂げるまでのおよそ2ヶ月間、僕を散々苦しめる事になった。
その後リベンジを誓って望んだ8月の二度目の登頂は最高の天候に恵まれ、山頂でケーキを食べて誕生日を祝ってもらうなど、非常に思い出深い山行として記憶に刻まれている。

そんな仙丈ヶ岳の、しかも厳冬期の頂に立つ…そんな姿を一体誰が想像しただろうか?
山を始めた当初は雪山すら登るつもりが無かった僕らが、恐れ多くも厳冬期の南アルプス3000m峰に登ろうというのだから驚きだ。
初の厳冬期南アルプス、初の厳冬期3000m越え、そして2011年初の山行と、初づくしの仙丈ヶ岳山行の幕が開こうとしていた。


仙丈ヶ岳は年末年始に長衛荘、北沢駒仙小屋が期間営業をする関係で、この時期には入山者が比較的多い。
故に前日に突然の積雪でもない限りはトレースもしっかりしているため、僕らのような初心者にはありがたい。
そうなると、冬の高山には共通して言える事だが、最も気にかけなければならないのは天候と風だろう。
年末の赤岳では、偶然にも悪天候と悪天候の間の擬似好天を得る事が出来たが、いつまでも運任せというわけにはいかない。
気分屋の女王様の突然の癇癪はギリギリに予測せねばならないにしても、ある程度事前に顔色は伺っておかなければならない。

今回の予定では1月2日に入山し、予備日を1日設けて、3日か4日のいずれかの天候が良い日に山頂を目指す予定だった。
だが、前回の赤岳のように、その日の空模様を見て登頂の可否を決めていたのでは一切進歩が無い。
なので今回は行く前に天気図と天気予報をよく吟味して、天候を判断してから出発する事に決めた。
天気図と予報を見るに、天候が最も良さそうだったのは1月2日だったが、さすがにテントを担いでいった上にその日のうちに仙丈ヶ岳を往復してくるなど狂気の沙汰としか言いようが無かったので却下。
3日と4日を見比べると、雲の出方はともかく、風が弱いのは明確に3日であると予想されたので3日に登頂し、4日は原則的には下山。万が一の場合には予備日とすることにした。

果たしてこの事前の天候判断…吉と出るか凶と出るか…。



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【AM6:00】
戸台駐車場到着。(撮影地点1にて撮影)
戸台の駐車場は、夏の玄関口である仙流荘のバス停を過ぎ、戸台大橋を横目にさらに奥に行ったところにある。
満車かと思いきや、案外スペースが開いていた。
例年、登山者は31日、1日辺りがピークで、2日、3日を境に減少していく傾向にあるようだ。


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【AM6:40】
戸台駐車場出発。
甲斐駒ヶ岳の表記は長野県側では東駒ヶ岳となっている。
伊那谷を基点とし、西側にある木曽駒ヶ岳を西駒、東側にある甲斐駒ヶ岳を東駒と呼ぶのは、長野県独自の呼び名でもある。
地元ではその呼び名が非常に定着している西駒に対し、甲斐駒を東駒と呼ぶ人は地元民でもあまり多くない。
実際僕も東駒と呼んだ事は一度も無い。


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戸台の駐車場を出ると、長い長い河原歩きが始まる。
最初は戸台川右岸沿いを歩いていく事になる。(上流より下流を眺めた時、右が右岸、左が左岸が正式な定義)
言うまでも無いが石ゴロの河原は登山道なんかよりも遥かに歩きづらい。


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第二堤防に至るまでには何度か細かい渡渉を繰り返す。(撮影地点2にて撮影)
基本的に川幅がある場所にはこのように橋がかけられているが、それ以外は石飛びで渡渉しなければならない。
増水時には注意したいところだ。


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堤防が見えてきた。
手前に見えているのが白岩堤防。(撮影地点3付近にて撮影)


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アイスクライミングが出来そうなくらい凍結している。


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次に見えているのが白岩第二堤防。


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第二堤防上は展望台のようになっており、そこから見える甲斐駒ヶ岳は圧巻だ。(撮影地点3にて撮影)



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第二堤防を過ぎると、登山道は今度は左岸へ。(撮影地点4にて撮影)
石ゴロの河原を細かい渡渉を繰り返しながら反対岸まで渡っていく。

しかしこの河原歩きの長いこと長いこと。
ソールの固い冬靴で河原歩きは最悪だ…まぁ林道歩きよりは多少マシかもしれないが。


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丹渓山荘まで来ると河原歩きは終了。(撮影地点5にて撮影)
ここからは北沢峠へ向けて登り斜面になる。

かつて戸台が仙丈甲斐駒への玄関口であった頃には隆盛を極めたであろう丹渓山荘も、南アルプス林道バスが運行していない冬期にしか戸台に登山者が入らない今、その役目を終えて静かに佇んでいる。
シーズンともなれば大勢の登山客がバスに乗り北沢峠に訪れ、思い思いに仙丈に、甲斐駒に登っていく。
しかし果たしてそのうちの何人がこの小屋を、この登山道を知っているのだろうか??
夏にわざわざ戸台から登ろうなんてのはよほどの物好きかドMくらいなもんで、冬期にだってごく限られた人間しか利用しないだろう。
だがかつては季節を問わず、皆ここから登ったのだ。仙丈の、甲斐駒の頂を夢見て。

『兵どもが夢の後』

戸台にはそんな哀愁が漂っている。
仙丈ヶ岳が大好きな人間の一人として、仙丈ヶ岳を語る上でこの道を歩く事が出来たのは素直によかった。


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丹渓山荘の脇の斜面はかなりの傾斜だ。(撮影地点5付近にて撮影)
雪があるときは少々気をつけたほうがいいかもしれない。

その後最後の川の渡渉を終えると八丁坂に差し掛かる。
八丁坂というだけありなかなかの傾斜だが、基本的に登山道は九十九折になっているので直登というわけではない。
八丁坂を登りきると斜度は緩くなり、穏やかな樹林帯へとその様相を変える。



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途中小仙丈ヶ岳を仰ぎ見つつ…(撮影地点6にて撮影)


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木漏れ日の中をゆったりと歩く。(撮影地点6付近にて撮影)


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途中で4回程林道を横切る形で登っていく。(撮影地点7付近にて撮影)
4度目の林道で大平山荘だったか、5度目の林道だったか忘れてしまった。
ともかく大平山荘が見えたらあとは最後の一登。上りきれば長かった行程も終わり、北沢峠に到着だ。


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【PM0:00】
北沢峠、長衛荘到着。(撮影地点8にて撮影)
長かった…何故だか無性に涸沢を思い出した…。
長~い平地歩き (こちらは河原だが) を終えて、一気に直登。似ているといえば似ている。


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無性に腹が減っていたのだけど、この日の昼は行動食で済ます予定だったためまともな昼飯がなかった。
看板を見ると、コーヒー、おしるこ、ビール…食い物は無いのか…
だめ元で軽食はありませんか?と聞いたところ、蕎麦とラーメンはできるとのこと。しかも500円、安い!
二つ返事で蕎麦とラーメンを頼んだ。
まさか軽食を食べられるとは思っていなかったので、予定外に一食浮いてしまった、ありがたい。

しかし夏に来たときも思ったのだが、ここはものすごく雰囲気が良く、とても落ち着く…。
基本的にテント泊がメインで、滅多な事が無い限りは小屋を利用しない僕らだが、ここには是非泊まりたいなと以前から思っている。


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長衛荘でのんびりした後、本日のお宿へ。(撮影地点9にて撮影)
この日のテントは僕らを合わせて18張りほどあった。
整地跡から考えるに、正月ピークには20張りを超えていたようだが、やはり日を追うごとに徐々に少なくなるようだ。


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日が当たっているうちにさくっとテントを設営する。
テント設営跡を利用したため、軟雪、硬雪がミックスされていて場所に応じてペグを変えながらペグダウン。
今回使用したのはクロスペグ、ブリザードステイク、そしてノーマルのアルミペグでも利く場所があった。
昨年はオール竹ペグだったので、ともかくどんな雪だろうが穴を掘らなければならなかったが、やはり刺すペグで利くくらい硬雪ならばペグの方が手っ取り早いので楽でよい。撤収も楽だし。
赤岳はあまりに雪が柔すぎて、仕方が無いからピッケルで固定したくらいだったのだが、やはり場所や天候によって雪の状態は全く違う。


そんなわけで1日目は予定通り北沢駒仙小屋のテント場までで行動を終了した。
この日の天気は、事前の予報どおり実に素晴らしい晴れ間だった。
天気図を見る限りでは結構な風はあったはずだが、皆無事に下山してきたところを見ると大事に至るほどの突風ではなかった様子。
やはり好天を求めて登るならばこの日だったのだろうが、体力的にそこまで無理をしても仕方ない。

明日だって十分に条件は良い。むしろ登るという一点においては明日の方が絶対に条件は良い。
その確信があったから、あえてここでジタバタすることも無かった。
そうでなければ好天に釣られて、せっかく天気が良いのだからと小仙丈か、あるいは駒津峰あたりまで行ってしまったかもしれない。
状況に応じて計画を変更し、対応していく臨機応変さも山には必要だろうが、少なくとも今の僕はそのレベルにない。
今回の僕のテーマは前回の赤岳の教訓を生かし、いちいち状況に流される事無く、当初の予定を完遂すること。
それはすなわち、より綿密に、かつ的確に練られた計画の必要性も意味する。

少なくとも明日になれば嫌が応にも結果は出るだろう。
果たして1月3日を登頂日と定めた僕の判断は吉と出るのか?凶と出るのか??


厳冬期の仙丈ヶ岳 後編へ続く


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by misawa_re7 | 2011-01-06 22:34 | 山行記録 2011


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