【道 具】 2010年3月 北八ヶ岳雪中泊における寝具類の総評。
2010年3月。今年の冬は白駒池北八ヶ岳縦走と2度に渡り雪中テント泊を行った。
初めての雪中テント泊ということで、色々と試行錯誤し、シュラフアウターシュラフマットを選択したのは先日のブログの通り。
それら寝具類のインプレッションを、当日の気象条件と共に振り返ってみたいと思う。
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寝具のインプレッションをする前に、まず前提条件を明確にしておかなければならない。
寝具の快適性はを測る上で基準となるのは、外気温や天候といった気象条件の他に、人間の体感温度がある。
同じ場所で過ごしていても、暑いと感じる人もいれば、寒いと感じる人もいるように、体感温度は人それぞれ全く異なる。

僕らで言えば、僕は暑がりで嫁は寒がりである。

例えば体感温度を10段階で分け、1から順に体感温度が高くなり、5がいわゆる一般的な体感温度で、10が最も暑がりだとする。
それに僕ら夫婦を当てはめると…



僕 【9】 嫁 【3】



このくらいになると僕は考えている。
これから書くインプレッションは、この体感温度が指標になっている。
例えば僕のブログを参考にして寝具を検討しようと思った場合、自分が10段階のどのあたりなのか考えてもらって、自分が暑がりだと思えば僕の感想を参考にしていただければいいし、ちょっと寒がりかもしれないと思えば嫁の意見を採用してくれたらいい。

ただし、体感温度に絶対というものはなく、結局のところ暑い寒いはその人本人にしかわからない。
これはあくまでも僕らの主観において、便宜上数値化しただけのものだから、あくまでも参考程度に捉えてもらえるとありがたい。




それでは本題に入る前に、装備のおさらいをしておこうと思う。




◆ シュラフ


ナンガナノバック 300 SPDX
【羽毛量】 300g 〔860FP〕
【総重量】 620g
【収納サイズ】 φ15×21cm
【快適使用温度】 -5℃
【使用可能限界温度】 -10℃


ナンガナノバック 410 SPDX
【羽毛量】 410g 〔860FP〕
【総重量】 820g
【収納サイズ】 φ14×30cm
【快適使用温度】 -7℃
【使用可能限界温度】 -15℃


当シュラフを選ぶに至るまでの経緯はこちら。

なお、インナーシーツとしてモンベルシルクシーツを使用。




◆ アウターシュラフ

Hiker's Depot 〔ハイカーズデポ〕 トップキルト
【中綿量】 170g 〔化繊〕
【総重量】 440g
【想定適応温度】 8℃




◆マット

NorthEagle(ノースイーグル) あったかシート【180X240】
【参考R値】 0.5前後

サーマレスト リッジレストデラックス
【参考R値】 3.1

モンベル U.L.コンフォートシステムパッド
【参考R値】 3.8


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2010年3月7日~8日

【場所】 白駒池 青苔荘テント場 標高 2115m
【天候】 雪 無風
【気温】 外気温最低 -5℃ テント内最低 0℃

設営状態は写真の通り。

7日より雪が降り続け、朝方まで雪だった模様。就寝前、小屋の温度計で見た気温は約‐4℃だった。
夜半まで雪が降り続けたいたことを考えるとさほど気温は下がらなかったと思われ、およそ‐5℃前後だったと推測される。
テント内温度は、起床時に腕時計の温度計を見たところ0℃前後だった。
テント内が結露していたが、凍結していなかったところを見ると零下までは下がらなかったとみられる。
風は無風だった。

初のテント泊で勝手がわからず、スノーフライとはいえ雪が覆いかぶさってしまうと通気性が損なわれるのではないかと思い、入り口の吹流しは全開、ベンチレーターは8割開放していた。
スカート部分は全部雪で覆っていたため、入り口とベンチレーター以外からの外気の侵入はなかったと思われる。


外気温、テント内温度はこのような感じだった。



僕の体感的にはテント内は非常に暖かかった。嫁の方もそれほど寒さを訴えなかった。
外気温‐5℃はこの時期の北八ヶ岳でも暖かい方で、晴れていれば‐10℃くらいはいったはずである。
スノーフライで外気を遮断しているのもテント内が暖かい要因のひとつと思われる。


当初、効果の程をさほど期待していなかった、厚さ2mmの銀マットだったが、これがあるとないとでは全然違う。
テント内でくつろいでいる分には、銀マット+リッジレストDXで必要十分と感じた。床からの冷気はこの二つでほぼ遮断できている感じだ。
就寝時はコンフォートシステムパッドを使用。
もちろん断熱効果もあっただろうが、銀マット+リッジレストDXでも断熱は十分だったと思われるので、今回はどちらかというと寝心地の向上の役割が大きかったように思う。


僕の就寝着は、上がメリノウールの肌着にフリースの中間着、下がサポートタイツにメリノウールのタイツ、防寒ズボン、ダウンのテントシューズ、帽子を被り、首に巻いたネックウォーマーを口元まで上げて、防寒と結露対策とした。
嫁の就寝着は、上がメリノウールの肌着にフリースの中間着、布製のソフトシェル、下がサポートタイツに、防寒ズボン、ダウンのテントシューズ、帽子を被り、首に巻いたネックウォーマーを口元まで上げて、防寒と結露対策とした。
ダウンの上下は持ってきていたが、この気温なら必要ないだろうと使用しなかった。


シュラフ構成は、僕の300SPDXが快適睡眠温度‐5℃で、外気温とおよそ一致していたため、試す意味も込めてトップキルトを使わずにシュラフ+シーツで就寝することにした。
嫁は410SPDXにトップキルトを上から被せ、万全の状態で就寝することにした。


この日はこのような条件での就寝となった。



寝始めて30分も経たないうちに僕は暑くて目が覚めた。
まず口元のネックウォーマーが暑かったので下げ、シュラフのジッパーを20cmほど下げて少し肩を露出させて体温調整。
どうやら外気温‐5℃程度では僕にとってはシュラフ単独でも暑かったようだ。
この分なら上に着ていたフリースの中間着は必要なかったかもしれない。
途中寒くなってはジッパーを上げ、暑くなってはジッパーを下げを2度ほど繰り返すと適温になった。
気温が下がってちょうど良くなったものと思われる。
底冷えは全く無し。マットの断熱力は必要十分だったようだ。

嫁の方はベンチレーターの口が、ちょうどお腹の辺りに向いており、どうやら一晩中外気がそこに集中して当たっていた模様。
朝方お腹が痛くなったと言っていた。
入り口の吹流し全開で、ベンチレーターも8割開放していたので、かなりの外気が流れ込んだと思われる。
しかしその割りに寒さを訴えることもなく朝までぐっすり眠れたということは、寝具は適正か若干オーバースペックだったということだ。
嫁も底冷えに関しては全く問題なかったようで、寒がりな嫁でも十分な組み合わせだということだ。


これにより、外気温‐5℃前後ならば、僕は300SPDX+シーツでOK。
嫁も外気が当たらない状況であれば410SPDX+シーツであとはクロージングの調整でなんとかいけそうな感じだ。
この日は条件が良すぎてテストとしてはイマイチだった。気温も高ければ風もなく朝方凍みることもなかった。
テントも結露はしたものの、それが凍結するほどではなかったし。

結露といえば、朝方テントの壁にシュラフが当たっていたようで、シュラフの足元が濡れていたが、ダウンにまでは達していなかった。
しかしよく拭き取らずに収納して帰ったら、自宅に持ち帰る頃にはダウンがしっとり濡れて特有の異臭を放っていた。
NANO-tex撥水加工は防水加工ではないので、長時間ずっと水が触れている状態だといずれは浸水する。
結露したテントに触れた程度の水ならば撥水するだろうが、一晩中テントの濡れた壁に当たり続けていれば、朝方にはダウンも濡れてしまうかもしれない。取り扱いには注意をしなければいけない。



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2010年3月21日~22日

【場所】 高見石小屋 テント場 標高 2300m
【天候】 晴れ 強風のち弱風
【気温】 外気温最低 -15℃ テント内最低 -7℃

あほな事に、設営したテントの写真を一枚も撮影していなかったので、テント場の写真のみ。
それすらもこんなわかりづらい写真だが、人だかりの少し奥の木の根元辺りがテント場である。

この日は昼過ぎからの猛吹雪と夜半の放射冷却で、前回とはうって変わって急激な冷え込みをみせていた。
昼で‐6℃、夕方の段階で既に‐10℃を下回っており、夕方以降は空は晴れたが強風は治まらず、朝方にかけて相当冷え込んだと思われる。
早朝に小屋の温度計で確認したところ‐15℃を指していた。
テント内は手持ちの温度計で‐7℃を指し、テント内が結露し、それが凍って霜に変わっていた。
風は一晩中テントを叩いており、朝5時くらいに起きた時にようやく治まっていた。


今回は風が強かったこともあり、入り口の吹流しは全閉。ベンチレーターは10%程度開放していた。
夜中に目が覚めたとき息苦しかったので (今思えばネックウォーマーが苦しかったのだろうと思う) ベンチレーターをもう10%ほど開放し、最終的には20%程度開いた状態で一晩過ごした。
スカート部分は前回同様雪で覆っていたが、今回は風も強かったので、前回よりも更に入念に雪を積んだ。


外気温、テント内温度はこのような感じだった。



今回は前回よりもだいぶ冷えているのがよくわかった。
前回は調理中に吹流しとベンチレーターを全開にしていても快適だったのに対し、今回は風が吹き込んで寒くてどうしようもなかった。
とはいえ酸欠になっては困るので、ダウン上下を着込んで寒風の中我慢して調理した。
しかし一度ベンチレーターと吹流しを閉めてしまえば再び快適になる。
やはりテント内の気温を左右するのは外気の存在で、いかにして外気を遮断できるかで快適さが随分違うのが良くわかった。


今回も僕的にはマットは銀マット+リッジレストDXだけでも断熱は十分足りている感じだった。
マットのブログで雪上泊ではR値5を目安と推定したが、銀マットとリッジレストDXでは、推定R値3.6程度しかない。
考えられるとすれば、R値5という目安が妥当でないか、もしくはR値0.5程度と見積もった銀マットのR値が実はもっと高いかのいずれかだ。
もしくは単純に僕が必要以上に暑がりという可能性も否定はできないが…
また機会があれば、試験的に銀マットとリッジレストDXだけで寝てみようと思う。
いずれにせよ僕らの体感温度ならば、銀マット+リッジレストDX+コンフォートシステムパッドの3種類の組み合わせで外気温‐15℃は余裕で快眠できるということだ。


僕の就寝着は、上がメリノウールの肌着にフリースの中間着、下がサポートタイツにメリノウールのタイツ、防寒ズボン、ダウンのテントシューズ、帽子を被り、首に巻いたネックウォーマーを口元まで上げて、防寒と結露対策とした。前回と全く同じである。
嫁の就寝着は、上がメリノウールの肌着にフリースの中間着、前回の布製のソフトシェルの代わりに薄手のフリース、下がサポートタイツに、防寒ズボン、ダウンのテントシューズ、帽子を被り、首に巻いたネックウォーマーを口元まで上げて、防寒と結露対策とした。
前回お腹が痛くなってしまった嫁は、冷え対策にダウンパンツを履いて寝ることにした。
外気温がだいぶ低かったので、ダウンで完全武装しようかとも考えたが、まだダウンを使わずとも快眠できそうだったのでやめた。
ダウン無しでいけるところまでいき、その限界点を見極めたかったというのもある。
まだ試験段階なのだから、色々試してみて、どうしても寒ければダウンを着て寝ればいいと思った。


シュラフ構成は、僕がトップキルト+300SPDX+シルクシーツ。嫁もシュラフのみ410SPDXであとは同じ。
僕の300SPDXの限界使用温度-10℃をあっさり下回ったため、さすがに今回ばかりはトップキルトを使用することにした。
僕の目算では、トップキルトが使用温度を約‐6℃下げてくれる計算だった。
僕の300SPDXで換算すれば、快適使用温度が‐11℃、限界使用温度が-16℃になる計算である。
嫁の410SPDXで換算すると、快適使用温度が-13℃、限界使用温度が-21℃になる。
寒がりの嫁は、このくらいのスペックでなければ無理としても、僕の方はこの程度の気温、軽く突破してもらわなくては、この構成で厳冬期までをカバーしようとしている僕の計画は根本から覆されてしまう。


この日はこのような条件での就寝となった。



結果から言おう。



文句なく快眠である。


何も文句をつけるところがない。
底冷えも全くない。寒さも全くない。まさにこれ以上何も求める必要のない完璧な快眠だった。
その証拠に、一度就寝してから3時間後に自然に目が覚めたのだが、その段階でもう歩き出すことができるくらいに体力が回復していた。
高校3年間ずっと山をやってきたが、それも含めて今までの山人生で文句なしに一番の快眠であった。
嫁も同様で、今回今組み合わせで文句ない快眠だったようだ。
つまり僕らにとっては外気温-15℃近辺が、今回の装備を最も美味しく使える温度帯ということである。

結露に関しても、今回テント内は派手に結露し、それが凍結して霜になっていた。
シュラフはというと、さすがに口元は呼吸の湿気で湿ってしまっていたが、その湿気は全てアウターであるトップキルトが受け持っていた。
状況的にシュラフも結露してもおかしくない状況ではあったが、程よくトップキルトが温度差を緩和していたようで、メインのシュラフには一切湿気は感じられなかった。
家に持ち帰って開いてみても、ダウンは濡れておらず、ドライそのものだった。その分トップキルトがしっとりしていたが。

ちなみに僕は今回も奥の手であるダウンウェアを使っていない。
ダウンを着込まずに外気温-15℃に対応できるのならば、全て着込んで-20℃、頑張って我慢すれば-25℃だって夢じゃないかもしれない。
この組み合わせで4シーズンまかなうという半ば無謀とも思えた僕の計画だったが、ここにきて感触を掴み始めていた。




しかし、同じ気象条件であっても、人が違うとこうも違うものかとつくづく思う。
僕と嫁の装備の違いは、単純に言えば300SPDXと410SPDXの違いと、着てる服の微妙な差だけのように思えるが、そうではない。
何故なら、300SPDXと410SPDXとの違いは、単にダウン量だけに止まらない。
410SPDXにある、ショルダーウォーマーやドラフトチューブといった冬期用シュラフには必須といえる機構が、300SPDXには備わっていない。
しかも410SPDXが保温性を考慮したボックスキルト構造なのに対し、300SPDXは軽量性を重視したシングルキルト構造である。
つまりこの二つのシュラフの差は、ダウン110g分だけには止まらず、そもそも同じ温度帯で並んで使う道具ではない。
ところが寝る人が違えば、これだけ違う道具なのに同じ環境下で同じ道具として成り立ってしまうのだ。
人の体感温度とはこうまでも違ってくるものなのである。


故に、寝具を選ぶ時は尚更のこと慎重にならなければならないと思った。
メーカーが提示している快適使用温度というやつも、目安程度であり、100%鵜呑みにはできない。
現に僕と嫁だけ見比べてみてもらうだけで、こうまでも違うものなのだ。
これだけの体感温度の差を、一定の目安の物差しで測るなど、度台無理な話なのである。

自分の体感温度は客観的に見てどうなのか?
何処で、どういうシチュエーションで使用するのか?
暑すぎた場合、逆に寒すぎた場合、それに対応できるだけの逃げ道は用意できているのか?
それらをひとつひとつつぶしていって、理想の道具にたどりつくためのひとつの情報として、本ブログが役に立てればいいと思っている。
拙い文章で申し訳ないが、多少でも何か参考になれば幸いである(。・_・。)


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by misawa_re7 | 2010-04-08 23:08 | 道 具


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