【山行記録】 級友と共に富士を見に 御坂山地 鬼ヶ岳
友を連れてのパーティー山行は、僕ら夫婦が登山を始めてから数えて2度目になる。
普段と違い、3人で登るというのもまた勝手が違って面白いが、同行者を満足させられる景色が見れるかどうかは天の采配次第である。
当日の天気は朝から雲ひとつない快晴。
この時の僕は、山頂からの素晴らしい景色を友と望むことが出来ると信じて疑わなかった。
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鬼ヶ岳 (おにがたけ) 【標高1738m】

鬼ヶ岳は御坂山地のほぼ中央に位置し、穏やかな山容の御坂山地にあって、比較的険しい稜線を持つ山のひとつである。
富士五湖のひとつ西湖に面し、節刀ヶ岳と王岳を繋ぐ縦走路としての役目も果たしている。
鬼ヶ岳の南側には、双耳峰のように並ぶ雪頭ヶ岳 (せっとうがたけ) が連なり、それがあたかも鬼の角のように見えることから鬼ヶ岳と名が付いたのではないかと推測される。実際のところは定かではない。
雪頭ヶ岳 (右)、鬼ヶ岳 (中央) 共に抜群の展望を持つ山である。

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2010年4月4日 天候:晴れのち曇り
根場~鍵掛峠縦走(根場~堤防広場~雪頭ヶ岳~鬼ヶ岳~鍵掛峠~西湖いやしの里根場)

・ 高低差、距離、コース概要は上記の通り。
・ 地図上の通し番号は、これからブログに添付する画像の撮影したポイント。




僕らの級友の 『タイ氏』 がタイより帰国し、彼を伴っての今回の山行を計画したのは先日のブログで触れたとおり。
せっかく山に登るのだから、素晴らしい景色を堪能できる山がいいということで今回選択したのが鬼ヶ岳である。
鬼ヶ岳が属する御坂山地は一見地味でマイナーな山域だが、ひとたび登ればどこからでも富士山を展望できるという特徴がある。
しかも富士山からごく近い場所に位置するため、雄大な富士を非常に間近で見ることが出来る数少ない山域だ。
前日の天気予報では降水確率10%前後。
午後から夜半にかけて天気が崩れるとの予報だったが、好天を願い、前日は早めに眠りに就いた。




【AM3:00】
起床。
前日のうちにパッキングも済ませてあったため、朝は特にすることはなく。
ただ、嫁は洗濯を干してから行くつもりだったため、少し早めに起きて洗濯をしていた。
低血圧で朝が弱い僕は、なんだかんだで寝床でグダグダしていたため、起床したのはAM3:50だった。

起きて朝食を摂っていると、どうやら洗濯機の調子が悪かったらしく、嫁が予定よりもだいぶ遅れて洗濯物を干していた。
朝から洗濯機の調子が悪かったのと、僕が2度寝してしまったこともあり、出発時間が予定より20分ほど遅れてしまう。




【AM4:50】
準備を終え、タイ氏と合流して家を出発。
この時の空模様は快晴。雲ひとつない空気の澄んだ朝だった。
南の空がうっすらと明るくなり始め、南アルプスの稜線が赤く染まっていた。ここも雲ひとつない。
今日一日好天の予感を信じて疑わなかった。

当日はタイ氏の車で移動だったのだが、高速に乗る直前にETCカードが刺さっていない事に気付く。
しかし気付いたところで家からインターまで20分近く走っていたため、今更引き返すのも難儀なのでETCカード無しで行くことにした。
ETCの休日割引ならば一律1000円だが、まぁ目的地まで3000円もかかるまいと高をくくっていた。
ところが実際ふたを開けてみると片道3500円近くいってしまい、たかだかカードを忘れただけで往復5000円の損失である。
山に登り始める前からいきなりテンションダウンである。


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【AM7:10】
駐車場到着。家からは約2時間と15分くらいだった。(撮影地点1にて撮影)
ここの駐車場は登山道からも近く、トイレもあり便利である。
しかし天気は想定していたよりもだいぶ悪い。
ここまで来る途中、高速道路では富士山がきれいに見えていたのだが、御坂山地に近づくにつれ雲が増え始めていた。
出発した時の快晴がまるで嘘であるかのような天気の変貌ぶりである。
天気予報でもおおむね晴れマークが点いていたのに…これでは約束が違うではないか。

とはいえ泣き言を言っていても始まらないので、これ以上天候が悪くなる前に出発することにした。
前回股関節を痛めて以来、定期的にストレッチをしているが、それでも念のためしっかりストレッチをしてから出発する。出発時間AM7:30。


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登山道の標識は駐車場から歩いて2,3分くらいのところにある。(撮影地点2にて撮影)
正直あまりメジャーな山ではないが、登山道整備は十分に行き届いているようで安心する。


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見上げれば正面には雪頭ヶ岳の美しい山容が目に飛び込んでくる。(撮影地点3にて撮影)
目指す鬼ヶ岳は、雪頭ヶ岳の奥側に位置するはずである。が、しかしどうやら雪頭ヶ岳に隠れて見えないようだ。
空模様は相変わらず雲が湧き出て来ては流れていく。
まだギリギリ晴れ間は見えているようだが、これも果たしていつまで続くのか…焦燥感が漂う。

ここからは、しばらくは林道歩きが続く。
軽舗装から砂利道に変わり、林道の様相を呈してくる。


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林道が途切れ、大きな堤防が姿を現す。(撮影地点4にて撮影)
ここは堤防公園になっているらしく、ベンチなどが据え付けられている。ここまでは車で入ることも出来そうだ。
しかし、こんな日当たりの悪いところに公園など作って一体どうするつもりなのだろうか…?
確かに雪頭ヶ岳はきれいに見える場所なのだが、それだけである。何を意図して作られたのやらさっぱりわからない。


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【AM8:00】
30分歩いたので休憩。(撮影地点5に撮影)
途中までは桧の造成林の中を歩く道。
比較的傾斜も緩く、落ち葉の絨毯が足の衝撃をやわらげてくれるので非常に歩きやすい。
登山初心者のタイ氏だが、ここまでは問題なく歩けているようだ。
一応彼のことも考慮して、普段の7割程度の速度で登っているのも一因としてあるかもしれない。


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植生が造成林からブナの原生林へと変わる。(撮影地点6、7にて撮影)
南側斜面は桧が植樹された造成林になっているが、北側斜面はほぼブナの原生林のようだ。
造成林は画一的で無機質である。やはり見ていて落ち着くのは自然林だと思う。


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雪頭ヶ岳直下は再び植生が一転し、草原のようになっている。(撮影地点7にて撮影)
ここらへんから南側の斜面の展望が開けてくる。そう、富士山川の展望である。
しかし楽しみは山頂までとっておくことにする。


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【AM9:55】
雪頭ヶ岳山頂到着。(撮影地点8にて撮影)
今回は3人山行なので、普段滅多に撮ることの出来ないクマ夫婦2ショット写真を撮ることが出来た。
山頂付近は強い風が吹いている。この斜面は風をさえぎるものがないため吹きさらしである。

本来ここからは富士山の大展望が待っているはずであった。
しかし、賢明な方ならおそらく予想がついていると思うが、今回の山頂からの景色はこんなだった。



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何も見えん(;´Д`)


そう、見事なまでに富士山山頂付近は厚い雲に覆われていた。せっかくの大展望も、これではあんまりである。
しかし、実際のところ雲さえなければここからの展望は素晴らしいだろう。
当初の予定では、ここにレジャーシートを敷き昼食にする予定だったのだが、あまりの風の冷たさと、それを遮る遮蔽物がなかったため、まともに食事がとれまいと判断し、もう少し先まで行き、快適に食事が出来る場所を探すことにした。


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雪頭ヶ岳~鬼ヶ岳への稜線にて。(撮影地点9付近にて撮影)
西側斜面。本来なら遠く南アルプスまで展望できるはずだが、かろうじて王岳が見えるにとどまっている。


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鬼ヶ岳への稜線は、それまでとはうって変わって岩肌が露出した険しい道だ。(撮影地点9付近にて撮影)
高低差のある場所には一箇所ハシゴも備え付けられている。
危険箇所というほど危険な場所はないが、滑落したら危険な場所はいくつもある。
しかしながら、よほど危険な行動をとらなければ、登山道を歩いている限り問題はない。




【AM10:30】
鬼ヶ岳到着。
本来360度の展望を約束された山頂だが、言わずもがな、残念なことになっている。


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東側は十二ヶ岳は見えるが節刀ヶ岳はガスで山頂がよく見えない。(撮影地点10にて撮影)


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南アルプス、八ヶ岳、奥秩父の大展望が見えるはずの北側も真っ白だ。

ガスにまかれて何も見えないよりは幾分かマシだが、期待していた展望からは程遠い状態だ。
厚い雲に覆われて日が翳り、しかも北側から冷たい風が吹き付けてくるので、汗をかいた身体で長時間滞在するのは危険である。
楽しみにしていた展望が得られないとならば、早々に出発して、暖かいところで食事をとることにした。


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【AM10:45】
鬼ヶ岳~鍵掛峠への縦走路の途中、少し登山道から外れ、開けた場所にて食事をとることにする。(撮影地点11にて撮影)
最近フリーズドライやアルファ米ばかりだったので、たまには調理をしようと、今回は色々持ってきた。
幸いスケジュールにはかなり余裕を持たせてあるので調理するだけの時間は十分にある。

今日のメニューは
・白米、五目ごはん
・麻婆春雨
・マッシュポテトケチャップ味(コーン、ヤングコーン、ソーセージ)

こんなところである。
調理とはいっても、基本的には水があればあとはなんとかなるものばかりではあるが…
本当は米も炊きたかったのだが、後始末が面倒なのと、さすがにそこまでの手間はかけたくなかったので、今回はアルファ米とした。
麻婆春雨は僕が高校の山岳部だった頃からの定番メニューである。
水の中に春雨を入れて煮込むだけというお手軽簡単調理なので、山で調理するには向いている。
マッシュポテトも同様に高校の山岳部の頃からの定番メニューである。
これもお湯を入れてかき混ぜるだけなので、余裕がないときはポテト単品で、余裕があれば具を入れたら良い。
今回はコーンとヤングコーン、定番のソーセージの3種類の具にしてみた。

タイ氏は山での調理を見るのは初めてだったようで、しきりと感心していた。
それにやはり山で食べる食事は美味しい。手が込んでいればいるほど尚更である。
1時間ほど食事休憩をとり、出発することにした。若干食べ過ぎて体が重かった。


ちなみに余談だが、僕はここでザックをひっくり返して泥だらけにしてしまった(;´Д`)
以前嫁に、雨上がりのバス停で新品のザックを水溜りにひっくり返されたことがあるが、僕もあまり人のことを言えないようだ。


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鬼ヶ岳~鍵掛峠への縦走路は所々に岩場が出現する。(撮影地点12にて撮影)
とはいえ滑落に直結する危険箇所はほとんどない。気をつけて歩けば全く問題ない。
しかし傾斜が急で、前に躓くと危険な場所はいくつかある。
ここを通過する時はトレッキングポールはしまって、手をフリーにした方がいいかもしれない。


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【PM0:40】
鍵掛峠到着。(撮影地点13にて撮影)
岩場のアップダウンはなかなか足にくる。皆三者三様で、それぞれに疲労がたまっていたようだ。
嫁は元々下りで足の付け根や膝が痛くなる癖があるし、タイ氏は登山慣れしていない。
僕は僕で今回もだいぶ余計に重りを背負っている分ザックが重いので、足に負担がかかる。
そんなわけで、いったん腰を下ろし、行動食を摂りながら最後の下りに備えることにする。


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ブナの原生林の中を下っていく(撮影地点14にて撮影)
落ち葉の絨毯が、足の負担を軽減してくれるので非常に助かる。
ここ最近はずっとスノーシューばかりで、かつロープウェイばかり利用していた関係で、下りという下りは実に久しぶりだった。
それも手伝ってか、登りは全然ラクだったのだが、下りでは膝が笑い始めていた。
荷物が重いとはいえこの程度の山行で膝を笑わせているようでは鍛え方が足りない。もっと下半身の強化をしなければ…。


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ブナ林の斜面を下りきったところで思わぬ生物と遭遇した。カモシカである。(撮影地点15にて撮影)
最初に発見したのは嫁なのだが、どうやら最初はクマだと思ったみたいだ。
確かに突然山中で動く黒っぽい物体を発見したら、まずはクマを疑うだろう…。
山頂からの景色は散々だったが、滅多に見れない野生動物を見ることができたのは収穫だったかもしれない。
とりあえずクマでなくてよかったww


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【PM13:50】
西湖いやしの里根場到着。(撮影地点16にて撮影)
ここは昔ながらの茅葺屋根の古民家を復元した場所である。
当然一般観光客ばかりで、山装備の僕らは好奇の目で見られる羽目になった。
山に登ればGパンTシャツの彼らは異端であるが、いざ里に降りれば僕らが異端なのである。

ここからスタート地点の駐車場まではおよそ10分くらいだった。




富士山の大展望を期待して登った今回の山行であったが、終わってみれば少々残念な結果である。
ここ最近の不安定な天候を見るに、こういう事態も想定してはいたのだが、前日の天気予報が悪くなかったために過度に期待をしてしまった。
しかし、実際に晴れていれば今日登った雪頭ヶ岳、鬼ヶ岳の展望は素晴らしいものだったはずだ。
これほど良展望な山だというのに全く人気がないのは何故だろうか??

何を隠そう、この日入山してから下山するまでに、誰一人出会わなかったのだσ(´∀`;)

実は僕が生まれてから今までに、誰にも出会わなかった山行というのは人生初である。
平日ならまだしも、日曜日である。
うちの近所の裏山みたいな小さな山に登った時ですら他人とはすれ違ったというのに…。
逆に静かな山行を楽しみたい人にとってはこれ以上ない絶好の条件が整った山と言えるかもしれない。

そんなわけで不名誉な記録と記憶を残してしまったここ鬼ヶ岳であるが、また是非リベンジしたいと思っている。
幸いにも節刀ヶ岳や王岳からの縦走路でもあるし、いつかまた再び登る機会は訪れるだろう。
その時は是非ともその素晴らしい展望を僕らに披露していただきたいところである。




さて、今回の山行はここで終わりではなかった。


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帰りがけにほったらかし温泉に寄って帰ってきたのである。

ほったらかし温泉は山梨市の笛吹川フルーツ公園という夜景で非常に有名な公園の奥にある温泉だ。
ここは温泉からの展望が非常に有名で、温泉からの日の出や夜景には定評のある日帰り温泉施設である。
晴れていれば富士山もはっきり見える。

特にこの温泉からの夜景は是非一度体験してもらいたい。

僕はここの回し者ではないが、しかしこの温泉からの景色は一見の価値がある。
近くに山に登った際は、是非一度立ち寄ってみてはいかがだろうか?




そんなわけで、温泉に入り、眠気と戦いながらもタイ氏に運転を任せてしまった。この場を借りてお礼を言いたい。
まぁ彼の車の保険が家族限定なのだから、僕らではどうしようもなかったのだけど…。
しかし級友との山は、夫婦2人で登る山とはまた違っていて楽しかった。また機会があれば是非彼も山に誘いたいと思う(*´∀`*)


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by misawa_re7 | 2010-04-06 01:37 | 山行記録 2010


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