【山行記録】 2012年初登山 南八ヶ岳屈指の難路 厳冬期の横岳へ 前編 〔2012.01.04~05〕
絶対に無理だと彼は言った。僕らがそこに行くことは決してありえないだろうと。
しかし、その言葉とは裏腹に 『いつかあの稜線を歩きたい』 という欲求は、いつしか現実のものとして彼らの眼前に現れる事になる。

厳冬期 横岳

かくして、かつて僕が否定したその頂へ、無謀とも言える挑戦が始まろうとしていた。
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『今シーズンは横岳に登る』



そう僕が心に決めていたのはいつだったろうか?
昨年の9月、下見を兼ねて無雪期の横岳に足を運んでいた頃には既に心にそう決めていたのは間違いない。
しかし、昨年ようやく赤岳の頂を踏む事が出来た程度のヒヨッコが、南八ヶ岳一般ルートでは最難とも言われる横岳に臨もうと言うのだから、正直笑い話にもなっていないのだが…
しかし、半ば無謀ともとれる僕の野望は今シーズン中には必ずチャレンジするという確固たる信念へと生まれ変わっていた。

そして、その機会は思いのほか早く、そして唐突に訪れたのである。




そもそも、今年の年始登山は聖岳に登るつもりだった。
これは昨年の夏の段階で既に決定事項であり、それに向けて色々と下調べも完了していたのだ。
しかし昨年9月の台風により便ヶ島への林道が落ち、そしてとうとう年末になっても復旧する事は叶わず、結果、林道崩落箇所から便ヶ島までの片道2時間の林道アプローチが追加されることとなってしまったのである。
ただでさえタフなルートにオマケも付いてきたのでは正直たまったものではない。
こうして、僕らの正月聖山行は露と消えたのである。

そして年末になり、急遽白羽の矢が立ったのが今回の横岳だった、というのが事の顛末である。



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2012年1月4日


しんしんと雪が降りしきる中、僕らは赤岳鉱泉へと足を運んでいた。
朝方から降り始めた雪はその勢いを強め、八ヶ岳連峰をすっぽりと覆い隠す吹雪となって、僕らの行く手を阻んでいた。
それはあたかも僕らを拒絶するかのように…


僕に与えられた日数は1月4日、5日、6日の3日間。

今後のスケジュールは、初日である4日はアプローチ日、本命は5日とし、6日には下山したいと考えていた。
しかしこれはあくまでも理想。万が一5日も荒天とあらば、最悪6日に登頂日をずらすことも検討していた。
ただし、その場合6日は登頂した後その足で下山しなければならず、体力的に少々の無理は覚悟しておかなければならないだろう。
そしてこの時点での天気予報では5日が強い冬型のピーク、そして6日に辛うじて緩みそうな気配だった。
どうやら6日が本命になりそうな気配を感じつつ、僕らはテント幕営に取り掛かった。



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テントを張り始めてまず思ったのが、今年はあまりに雪が少ないということ。
一昨年末に赤岳に登った時も決して雪が多いわけではなかったが、少なくとも掘れる程度の雪はあったと記憶している。
しかし今回は、軽く雪を払えばすぐに地面が露出してしまう。これでは埋設ペグは全く役に立たない。
アルミVペグも持参してきてはいるが、地面が完全に凍結してしまっており、無理に打ち込むと逆にペグがひん曲がる有様だ。

仕方が無いので適当に石を持ってきて固定することにした。
そもそもその辺から石を拾ってこれる時点で積雪量の少なさがより顕著にわかるというものだww



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そして赤岳鉱泉にて乾杯。


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&昼食

これがあるから営業小屋のある山域は楽チンで助かるw
しかも赤岳鉱泉はやたらカレーの種類が多く、しかも全部美味い(コンプリート済み)


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そして贅沢にも、この日は晩御飯まで小屋で済ましてしまった。
いや…ステーキだったんで、ついww

ちなみにテント泊でも、頼めば小屋で晩御飯食べられます。1人2000円也。



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食事を終えて外に出ると雪は止んでいた。


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赤岳は相変わらず雲に覆われていたが、しかし見る見るうちに青空が広がっていく。


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そしてほんの一瞬、横岳が赤く染まる。美しい…その一言に尽きる。

明日、もしくは明後日、僕らはあの稜線を歩くのだ。そう考えると軽く身震いがした。
それが武者震いだったのか、あるいは恐れをなしたからだったのか、ただ単に寒かっただけなのか…w


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そして静寂が訪れた。

凛と張り詰めた空気、そして曇りない空。
あるいはこのまま明日も晴れてしまうんじゃないかと思ってしまうほど、穏やかな空気が漂っていた。
だがしかし依然として5日の予報は厳しいものであり、おそらく十中八九荒天になるだろう、これはきっと嵐の前の静けさなのだ。

以前、大荒れになる直前の僅かなチャンスで運良く赤岳に登れてしまった事があったが、そう何度もうまくいくはずはない。
ともかく判断は翌日に委ね、僕らは眠りに就く事にした。













2日目













起床時間3時半。目が覚めたと同時にまずテントを開き、外の状況を確認する。
そして僕が一言目に発した言葉は



『こりゃ、無理だわ』



であった。
外は見渡す限り真っ白、当然の事ながら高いところは完全に雲の中に没していた。
見かけ上はそれほど風が吹き荒れているといったようには見受けられなかった。
しかし、いかにテント場が穏やかだったからといって、森林限界を超えればその限りではない。
そもそも無理をする必要性は全くないのだ、予備日が1日ある以上、敢えて荒天の中飛び込んでいく愚行を犯す必要性はないし、仮に予備日がなかったからとて自らむざむざ危険に飛び込んでいくのはあまりに愚かだ。

起床1分。僕はあっさり停滞を決断し、さっさと床に就いた。
長い長い一日の始まりである。



5時、7時、10時…
時折ガチャガチャと装備を整える音や、話し声が外から聞こえる。
その度に、やっぱり行けばよかったかと一瞬思うが、そんな雑念をかき消すように再び眠りに就く。

この日、僕は腰が痛くなるくらい寝まくったww
よくよく考えたら前日、前々日の睡眠時間がたったの2時間ずつだったのだ、そりゃ眠いわけだ。
というかそんなコンディションで横岳に臨もうとしていたのだから、無謀の極みだ。ある意味天気が荒れてくれて正解だったのかもしれない。
後で小屋番さんに聞いた話では、稜線はかなり荒れていたそうで、この日登った人のほとんどが途中で撤退してきたそうだ。
結果として、天候的にも体力的にも停滞は正解だったと言って差し支えないだろう。


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昼過ぎにもぞもぞと起きて外に出ると、雪が随分積もっていた。
テントを張ったのが木の下だったので、テント回りは10cm程度の積雪だったが、他は30~40cmほど積雪した様子。
多いところでは50cmも積もったようだ。

テント内で軽食をつまみながらダラダラと時間を潰す。停滞は苦手だ、飽き飽きしてくる。



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そして晩御飯。
さすがに2日連続で小屋の晩御飯では金がもたないので、持ってきた食料をガッツリ頂く。
今回は停滞の可能性も考慮し、酒も持参していたのでそれも頂く。最終日の本番に備え、翌日に残らない程度に。
ちなみにジェットボイルとスキットルは今回の追加装備。特にジェットボイルは某のりじむ氏の営業努力の賜物であるww



体力は十分に回復した。食うもの食って、スタミナの備蓄も万全だ。気合も入っている、覚悟もある。
あとは天気、予報を信じるならば6日は大丈夫なはずだ。そもそも6日も荒天ならば、さっさと諦めて潔く下山するだけの事だ、問題ない。

しかし当然の事だが、できれば晴れて欲しい。
せっかくここまできて、しかも2泊もしているのだ。ただキャンプして下山しましたではさすがに悔いが残る。
僕らは祈るようにして床に就いた。



果たして最終日の天気は?そして僕らは無事横岳を縦走することができたのだろうか??



厳冬期の横岳 後編 へ続く


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by misawa_re7 | 2012-01-13 07:13 | 山行記録 2012


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