【山行記録】 GW後半 涸沢カール、北穂高岳編 1日目 〔2011.05.08〕
2011年GW。昨年に引き続き涸沢へと進路を定めた僕らを待っていたのは、予期せぬ大規模な雪崩による通行規制だった。
一度は頓挫してしまった涸沢行き…そんな僕らに再び涸沢を目指すチャンスが訪れた。
昨年は踏む事が叶わなかった北穂高岳の頂を踏むべく、一路涸沢へ進路をとった僕らだったが…
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2011年05月08日 (日) 天候:曇り時々雨
【1日目】 〔赤線〕 上高地~明神~徳沢~横尾~本谷橋~涸沢ヒュッテ(テント泊)


・ 高低差、距離、コース概要は上記の通り。
・ 地図上の通し番号は、これからブログに添付する画像の撮影したポイント。






2011年GWは涸沢行きで決まり。そう僕が決断を下したのは4月末。
涸沢行きと常念縦走、最後の最後まで悩んだ末に出した結論。苦渋の選択だった。
4月28日に入山し、翌29日に北穂高岳登頂、30日に奥穂高(穂高岳山荘往復)、そして5月1日に下山というスケジュールである。

準備も万端整え、パッキングもほぼ完了。
あとは水と食料を入れて出発すればOKという段になって、突如涸沢で大規模な雪崩という報が舞い込んできたのだった。



そのあたりの詳しい事情は過去のブログにて



こうして、一度は頓挫してしまった涸沢行き。
しかし、こんな時のためにと予備で確保してあった5月8日、9日、10日の3連休を使い、僕らは再び涸沢へと進路をとった。
当初の予定よりも1日短縮した2泊3日。目的地を北穂高岳のみに定め、僕らは1年ぶりに残雪の涸沢へと足を踏み入れたのだった。






前日、5月7日は夕方から夜半にかけて、前線を伴う低気圧の接近により山沿いを中心に荒れた天気だった。
当初は7日の夜中には雨もおさまり、朝方には晴れ間も見えるという予報だったのだが、直前になってコロコロと予報の内容が変わり、どうも8日の午前中いっぱいは天候が安定しないとの予報に切り替わっていた。
それに伴い、夜中に止むはずだった雨が朝の6時頃まで残る可能性が出てきたのである。
早朝5時頃までに沢渡入りし、6時には上高地を発つ予定を立てていた僕らにとって、それはあまり好ましくない報せだった。
場合によっては雨の中を歩かなければならない可能性が出てきたことになるからだ。


しかしそんなことはまだ瑣末な問題であった。
本当の問題は、この一晩の荒天によって涸沢にどの程度の積雪をもたらすのか…その一点だったのである。
2度あることは3度ある。まさかとは思うが、急激な積雪によってまた横尾で通行規制がかかるのでは…?
僕は2度の通行規制を受け、完全に疑心暗鬼に陥っていた。

ともかく7日夜の時点で涸沢の状態を確認する事はできない。
もし万が一、昨年のように50cmもの積雪でもあれば通行規制もかかろうが、雨ならばその心配はない。
ここ数日の気温の高さからして高いところでも雨の可能性は十分にある。
いずれにせよ考えたところで始まらない。
駄目なら駄目で3度目の正直が成立するだけの事。それはそれで仕方ない、縁がなかったと思って諦めるしかない。



涸沢行き前夜、僕はこんな事を考えながら眠りに就いたのであった。



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そして、5月8日早朝。事態は思いの外僕らにとって都合よく推移していた。(撮影地点1にて撮影)
上高地へ向かう途中に局地的に降っていた雨は、沢渡駐車場に到着する頃には止み、上高地入りする頃には穏やかになっていた。
ありがたい事に、とりあえず雨中行軍は避けられそうだった。

それに加え、運が良い事に沢渡駐車場で観光客の方と相乗りができたため、タクシー代が半額で済んだのである。
そういえば昨年も観光客と相乗りさせてもらった記憶がある。そういう意味では今回も幸先が良い。


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朝早くから売店は開いているが、人はまばらだ。(撮影地点1にて撮影)
まぁ時間的に観光客が来るには早い時間だ。それにしても登山者の姿もほとんど見えないが…


一旦ベンチに荷物を下ろし、登山相談所に入山届けを提出しがてら涸沢の状況について情報収集することにした。
係のおじさんから得た情報によると、昨晩は上高地も大荒れで、かなり激しい雷雨が降り続いていたらしい。
そして最も危惧していた積雪だが、涸沢あたりまでは雪ではなく雨だったようだ。しかし高いところでは雪が降っていたとのこと…


『北穂高岳も…降雪しているだろうな』


僕の中に一抹の不安がよぎる。
だが、何にせよ涸沢より上の事に関しては涸沢まで入ってみないことにはこの場で判断する事はできない。
ともかく、通行規制という最悪の可能性はひとまず回避されたのだ。
まずは涸沢まで行ってみて、無理なら無理で涸沢でキャンプして撤退してくればいいだけの話である。
僕らは気を取り直して出発の準備に取り掛かることにした。



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そして出発し河童橋へ。(撮影地点2にて撮影)
所々日の光が差してきてはいるが、穂高連峰はどっしりと重い雲に覆われていた。
こりゃ確かに少なくとも半日は回復しないかもしれない…。
まぁ本日の目的地は涸沢までなのだから、それより上の天候が多少悪かったとしても問題はない。


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そして明神へ。まだまだ体力が充実しているから問題はないが…(撮影地点3にて撮影)
徳沢を過ぎた辺りから徐々に肩や足が重くなってくる。この区間…本当になんとかならないだろうか。
上高地~横尾間の定期バスが運行されれば、多少高くても多分皆乗るぞww


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河原歩きを経て(撮影地点4にて撮影)


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横尾に到着。(撮影地点5にて撮影)
この区間は劇的にタイムロスすることはないけれど、同時にタイムを稼ぐ事も難しい区間だ。
登山者の姿がちらほら見え始める、ここまで来ると上高地とは違い、観光客はアウェー、登山者のホームである。

ちなみにここの鳩、登山者のザックを漁ろうと近づいてくる。
おそらく餌付けをする輩がいるのだろう、登山者が椅子に座ると近寄ってきて回りを周回し始めるのである。
この区間は猿もあまりに人に慣れ過ぎていて危険だ。
安易に野生動物に餌を与えたり、そこらに食べかすを落として歩くのは控えないといけない。


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さてここからが本番だ。
この橋を越えれば、その先は本格的な雪の斜面になる。
これまでの平地歩きで蓄積した疲れがどっと押し寄せてくる瞬間である。





しかしここで、全く予期せぬアクシデントに見舞われることになった。
















カメラの調子がおかしい




厳密に言うと、カメラのAF(オートフォーカス)つまり自動でピントを合わせる機能が突如停止したのである。
馬鹿な…さっきまで元気に撮影できていたじゃないか…
まさかカメラが不調をきたすなどと、一体どこの誰が想像できるというのだろうか。

しかし、このAFが利かなくなる症状、僕には思い当たるフシがあった。
と、いうのも実は1年半程前に、これと全く同じ症状を発症した事があるのだ。
詳細は当時のブログに書いてあるが、簡単に説明すると何のことはない、自分の不注意でカメラを落とし、それによって不具合が発生したという救えない話だ。
つまり、1年半前に自分でやらかした失敗のツケを、ここに来て突然払わされることになったのである。



おいおい…勘弁してくれよww



カメラが活躍するのはまさにここから、そして涸沢での撮影のために、わざわざ重い三脚まで背負ってきているんだ。
撮影機材はカメラ、三脚、バッグ、全て合わせて重量約3kg強もある。
それが今この瞬間からただの重りに早代わりとか、全然笑えんぞ。

とりあえず試す事は全て試してみる。
レンズを外す、電源を切る、スイッチ類を切ったり入れたり、バッテリーを一旦抜いてみたり。
どれをやっても一向にAFが正常に機能する気配はない。
MF(マニュアルフォーカス)ならいけるか?と思って切り替えてはみたが、残念ながらシャッターが下りない。
一体何が原因だ…??全く思い当たるフシがない…いや、あった。


それは先ほどのこと。
横尾のベンチで休憩しているとき、近寄ってきた鳩を追い払うために軽く暴れてやったのだが…
その時、反動でバッグごとカメラを地面に落としている!
そもそも上の橋の写真は休憩前に撮影したカットで、それ以降は一枚も撮影していない。


つまりあれか




鳩の仕業ということだな?(違




とまぁ、言いがかりに近いアホな事を考えてはいたものの、事態は至って深刻だ。
ここでカメラが直らないとなると、涸沢での撮影はおろか、これ以降の撮影が一切不可能になる。
それだけならいいが、下山して以後これを直すとなると当然修理費が発生する事になる。
そしてそれらは僕のモチベーションにダイレクトに影響を及ぼすだろう。

こんなどうしようもない事でモチベーション下がって撤退とか…ホント笑えないんですけど…。
そんなこんなで橋の上でカメラと格闘する事10分。



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ピピッ! カシャッ!!

何の前触れもなく、突然カメラが蘇ったのである!


『おぉぉぉ!よかったぁぁぁぁぁ!』


涸沢に着いたわけでもないのに、横尾の橋の上でガッツポーズをする、他人から見ればわけのわからん登山者だったw
結局それ以降この症状は発症しておらず、直接の原因が何だったのか、どんな故障だったのかはわからず終いだ。
まぁ結果として直ったのだから良いのだが、いらんところで無駄な時間を浪費してしまった…

ただ間違いなく言えることは、僕はこの先何が起ころうともここの鳩には絶対に餌はやらんww



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気を取り直して前進。(撮影地点6にて撮影)

開けた場所から屏風岩を見上げながら。

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樹林帯の中を進んでいくと、突然20mほど先でバキバキバキっと音を立てながら木が倒れ始めた!(撮影地点7付近にて撮影)
おぉぉ…!?目の前で倒木なんて…初めての経験である。
ていうかそれよりも、確か僕の少し前をおじさんが歩いていたはず…
心配になって早足で駆け寄ったが、おじさん何事もなかったかのように倒木をカメラで撮影して去っていったw

まぁ…何にせよ無事でよかったです。


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一向に晴れる気配がない。(撮影地点7付近にて撮影)
それどころかここらあたりから急に雨が降り始めた。

濡れる前に何とかせねばと思い、木の下でハードシェルの上下を着込みザックカバーをかける。
手も濡らすわけにはいかないので、防水のミトンを。
そんなこんなで準備完了。


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しかし、歩き出して10分も経たないうちに徐々に雨は弱くなっていった…(撮影地点8付近にて撮影)
それどころか日の光が差し始めた…何なんだよもぉ…


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ミトンなんて暑くてつけてられないので外す。(撮影地点8にて撮影)
正直ハードシェルも脱ぎたかったが、面倒くさかったのでジッパー全開にしてそのまま前進。

以前雲ノ平で、レインウェアを着るのが面倒で横着した結果散々な目に遭っていたため、今回は早めにウェアを装着したのだが…
結果としてそれは思いっきり裏目に出た。
まぁ判断ミスではあるが致命的ではない。
むしろこの時期の雨を甘く見て体を濡らすほうがはるかに危険なので、そういう意味では賢明な判断だったということにしておこう。


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雪解けが進み、沢もその姿を現し始めていた。(撮影地点9にて撮影)
昨年来た時は沢は完全に雪の下に埋まっていたものだが…たった1週間程度でここまで違うのか。
このまま雪解けが進めば、もう1週間以内には本谷橋が架かるかな?(5月19日現在、既に本谷橋は架かった模様)


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沢の右岸の斜面をトラバース。(撮影地点10にて撮影)


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時折日の光を浴びながら、少しずつ高度を上げていく。(撮影地点11にて撮影)
所々デブリ跡の上を歩いていく。今はいいが、入山タイミングを間違えると危ないところだなとつくづく思う。


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眼前に前穂が現れた!(撮影地点12にて撮影)
これが見えればもうあと1時間前後といったところだ。
しかし、まだ1時間もあるの…?正直しんどい。このあたりからは精神力の闘いである。


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ようやく天候も回復傾向。
少しずつではあるが、青空も顔を出すようになってきた。
しかし凄まじい勢いで雲が流れていく…上空ではかなり強い風が吹いているんだろう。
まぁ涸沢は燕や常念のような稜線のテント場とは違い、それほど風に神経質にならなくても良いのが本当に助かる。


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奥穂高岳が見えればもう最後の一登。(撮影地点13にて撮影)
これがまた永遠かと思えるほどに長い。


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昨年は気付くと後ろで豆粒のようになっていた嫁が、今年はちゃんとついてくる。
嫁の体力がアップしたのか…僕の体力が落ちたのか…あまり考えたくはないが後者の可能性も否定できない…


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一瞬雲の切れ間から光が…美しい。(撮影地点14付近にて撮影)


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そしてヒュッテもようやく射程圏内に!(撮影地点14付近にて撮影)
ちなみに昨年僕らが滑落停止訓練をしていたヒュッテ下の斜面で、団体さんが滑落停止訓練をしていた。
やはりあの斜面は訓練にはちょうど良い。


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あと少し!



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そしてようやくテント場に到着!!(撮影地点15にて撮影)

この時点で張られていたテントはなんと1張り、好きなテントサイトを選び放題である。
中でも、難攻不落の要塞のようにガッツリ掘りこんであった場所を確保。
掘る必要もなければ、ブロックを積む必要もない、何と楽な事かww


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そしてテント設営。
もうこの時期は雨が降る可能性も高い。
昨年は念のためスノーフライとレインフライの両方を持参したが、涸沢ならばレインフライで十分だろう。



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その後涸沢ヒュッテへ。
ニュースの報道の通り、テラスも売店も流されてしまって跡形もなかったが、ベンチとテーブルが置かれ仮復旧していた。
ちなみに小屋の受付で名物のおでんや飲み物、食べ物を購入する事ができた。


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とりあえず明日が本番なので、今日のところはおでんとコーラで我慢。



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その後、涸沢カールの撮影をしながら晩御飯の支度をする事に。
この日のメニューは、かつて八ヶ岳、赤岳鉱泉のテント場にて皆で食べる予定だったプデチゲ。
あの日地震が起きなければ、皆で楽しくワイワイつついていたであろう鍋だ。
しかしそれは言うまい…自分自身はもとより、親類縁者皆無事だった僕らはそれだけで幸運だったのだから。

悲しいくらいに美味い。
またいつか、あの日果たせなかった山行を、テント泊宴会を、皆でやりたいものだ。その時は皆でワイワイプデチゲをつつきましょう。




こうして、無事涸沢に到着し、1日目は何事もなく終了した。

当初の天気予報の通り昼頃までは天候が安定しなかったが、午後になると徐々に回復し、夕方には青空が綺麗に広がっていた。
翌日9日に北穂高岳山頂を踏めさえすれば、10日はゆっくり下山するだけである。
このままの好天が続けば明日の北穂高岳は最高の形で挑む事ができるだろう。
少なくともこの時僕らはそう思っていた。

しかし、この晩にもたらされた天気予報によって僕らの予定は大幅に変更を余儀なくされるのだが…
果たして僕らは無事北穂高岳の山頂を踏む事ができたのだろうか?




GW後半 北穂高岳編 2日目につづく











…の、前に。


実は1日目に撮影していた涸沢の写真が大量にあるのだ。それこそ普通にもうひとつブログを書けるくらいの枚数が…
なので、2日目のブログを執筆する前に、まずそちらをアップしておきたいと思う。

と、言うわけで…





GW後半 北穂高岳編 涸沢メモリーに続く


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by misawa_re7 | 2011-05-19 19:44 | 山行記録 2011


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