【その他】 映画 『岳』 を観てきた!
この手は君を守る為 この瞳は君を探す為 心は君を愛す為 この命は君と生きる為
僕に生きる意味をくれた その微笑み
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と、いうわけで昨日。
今巷で (特に山業界で) 話題の映画 『岳』 を嫁と観に行ってきた。
せっかく嫁が休みなので本来ならば山に行きたかったのだが…
残念ながら、全国的に天候が思わしくなかったので、せっかくだから映画でも観に行こうかということになったのである。

実のところ、僕が映画を観たのはおよそ10年ぶり。
しかも奇しくも、当時はまだ付き合っていなかった嫁と、僕と友達の3人で行ったのが最後である。
つまりほとんど映画というものを観に行かない人間なのだ。
何故か?と問われれば、僕は元来




映画が肌に合わないのである




映画という表現方法にはその性質上、上映時間という決して逃れることのできない呪縛が存在する。
映画とは、その限られた上映時間の中に起承転結を全て収めきらなければならない、非常に高度な表現媒体である。
どれほどスケールの大きい世界観を創造したとしても、それを2時間~3時間の枠に収めようとすればどうしても話の展開に無理が生じるし、登場人物に十分に感情移入する前に話がどんどん進んでいく。それが急であればあるほど、観る者と演じる者との間に乖離が生じる。
それをいかにして違和感なく、観る者の共感を得られるように仕上げる事ができるかが映画制作者の永遠の命題と言えるのだろうが。
しかし、やはり僕にとっては数時間の間に全ての物語が完結する映画というものは、いささか性急な印象を否めないのである。


そしてもう一点。
今回の 『岳』 のように原作を持つ映画の場合、原作がどこまで忠実に再現されるかという問題である。


漫画や小説と、映像とでは表現上の限界は自ずと異なるので、その点に関しては仕方がない。
しかし、これは映画に限った話ではなくドラマ化など映像化全般に言えることだが、原作のイメージと全く異なるキャスティングだったり、中には原作ほとんど無視した話が展開されたり、原作と異なる結末を迎えたり。
言ってみれば合法的に原作の名を借りた質の悪い贋作となっているケースも無くはない。
いずれにせよ、原作のファンであればあるほどそれは作品に対する冒涜に映るのだが、原作者がGoサインを出した時点でそれは正当な作品として認められたことになるわけだ。
ファンからすればたまったものではない。生涯解決する事のない二律背反を抱える事になるのだから。
映像作品はまた別物として割り切って楽しめばいいのだろうが、原作に愛着があればあるほどそれは難しいものになる。
そこまで無理をするならば、敢えて映像化する必要はないと僕は感じてしまう。


もちろん映画には、家庭では再現不可能な巨大スクリーンや大音響による、迫力ある映像や臨場感という他には決して真似のできない最大の魅力があり、一概に欠点だけで語る事は出来ない。
だがそのための制約として、時間的限界、それに伴う表現の限界というものが存在する事実も金輪際変わる事は無い。
それをどう感じるかは、人それぞれの価値観に委ねられるのだから敢えて是非は問わないが、僕にとってはどちらかというと苦手な媒体である事も、おそらく変わる事は無いだろう。



そんなわけで、元々原作のファンであり映画にはやや批判的な僕の目には 『岳』 は一体どう映ったのか?
以下は原則的にネタばれは排除してあるが、先入観なく映画を見たい方は見ないほうがいいだろう。







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まず誰もが 『えぇ~!?』 と感じたであろう、小栗三歩。
僕も最初は何故小栗 旬なのか理解に苦しんだものだが、最後まで観た感想としてミスキャストではなかったんだなと感じるに至った。
体格によるイメージの違いという決して埋めることのできない障壁を抱えたキャスティングだったわけだが、結果的に三歩の人となりを損なうことなく演じきっていたなと思う。
原作における島崎 三歩は、とかく山においては精神的にも技術的にもほとんど完璧超人である。
役を演じるにあたり、小栗 旬本人も、生身の肉体でそれを表現するのは難しいとコメントしている。
そのため、脚本は超人三歩を表現する事よりも、小栗三歩を際立たせる方向にやや修正されている感はあったが、だからといって原作の三歩のイメージを破綻させる程ではなかったように思う。

その他キャストに関しても、可能な限り原作のイメージを忠実に再現する配役に努めたのがよくわかる。
メインキャストに関してはほとんど言う事が無い。個人的には佐々木蔵之介が演じる野田 正人 (救助隊隊長) が非常に良かった。



反面、キャラクター設定に関しては手が加えられている部分が目立った。
例えば原作では同級生で親友の設定になっている正人と三歩が先輩後輩の関係になっていたり。
原作ではクミちゃんの後輩のはずの阿久津が、映画では逆に先輩になっていたり。
(このあたりのプロフィールは事前に公表されている部分なので、ネタバレと責めないでいただきたい)
また、詳しくは書かないが、三歩の過去にまつわるエピソードが変更されていたり、クミちゃんの家族のプロフィールも原作とは違う。

これらは映画の脚本の関係上、うまくまとめるためにどうしても書き換えなければならなかった部分が大きい。
これらの変更は原作ファンからすれば、 『設定が違うじゃん』 と感じるかもしれないが、個人的にはどれも原作よりもむしろ良くなっているんじゃないか?と思う。
賛否両論あるかもしれないが、原作では割と希薄だったエピソードや人間関係が、より深く色濃く表現されており、個人的にはアリ。



ストーリーは完全オリジナルではなく、原作中の短編をつなぎ合わせて一本の作品として仕上げられたものだ。
新人隊員のクミちゃんを主軸に据え、彼女が三歩と出会い、山に接していく事で一人前の救助隊員に成長していく様を、数々のエピソードと共に綴っていく。
無論脚本の関係上、映画オリジナルな部分は当然あるが、可能な限り原作のエピソードを再現しようと努力しているように感じられる。
原作は短編なので毎話ごと季節や時期が異なるため、それらをつなぎ合わせることで多少無理やりな感はあるのだが、それでもうまいことまとめられているなぁと思う。



設定は…そもそも原作の 『岳』 自体が時折トンデモ設定なこともあり、それは映画にも反映されている。
雪山やったことある人からすれば 『え~!?』 『そんな馬鹿なww』 と思う部分は多々あるが、そもそもこの作品はドキュメント映画ではないので、リアリティを追求するのは論外。むしろ良くぞそこまで忠実に原作を再現したと褒めたいくらいであるww
撮影も可能な限り現地で、しかもCGを使わずにという撮影方針から、映像自体も大変クオリティの高いものになっている。
特に雄大な雪山の空撮は圧巻。あれは是非劇場で見るべきだ。



細かい事を言えば、渡部 篤朗が演じる牧 秀紀。
寡黙で無愛想という原作のキャラクターを誠に忠実に演じているのだが、ヘリのパイロットという設定上、常にヘリの音がついてまわるため、何を喋ってるのか良く聞こえないのであるww
また、劇中に出てくるテープレコーダー、これもまた聞き取りづらい。
まぁ古いものだしテープレコーダなのだから聞き取りづらいのは当然なのだが、そんなところにリアリティを求めなくても良かろうにww
山用語を早口で言う場面もいくつかみられ、山屋ならニュアンスで伝わるだろうが、一般人にはちょっとわかりづらいかなと感じた。
多少オーバーでもいいから、聞き取りやすく、かつわざとらしくてもいいから注釈を入れてもよかったのではないかと思う。







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総合的にみて、原作を破綻させる事なくしっかりまとまった映画だったと思う。
途中感想でも述べたが、山の空撮や美しい雲海などなど、山好きにとっては見所となる部分も多々ある。
特に小栗三歩のバックに、ブワァーっと北アルプスの峰々が広がる様は感涙モノだ。
原作ファンには賛否両論ある部分は多少なりともあるが、個人的には良かったと思う。(ちなみに嫁は原作ファンにつき映画否定派)

山映画というとドキュメント作品かアクション作品が主流であるが、山を通じた人間ドラマを描いた 『岳』 は、それらとはまた一線を画した作品である。
リアリティを追及する方にはあまりお勧めはしないが、ひとつの人間ドラマとして、またその媒体としての山映画という側面をとらえるならば、映画 『岳』 はとても良い作品だったと思う。

そして個人的には大変久しぶりに映画館で映画を観たわけだが…
やはりあの迫力と臨場感は決して自宅では再現し得ない。
たまには映画館で映画を観るというのも悪くないなぁ…と感じた次第である。








最後に、僕は長野県民である。
ここ最近、県内では盛んに 『長野県の皆さ~ん』 と言って小栗 旬と長澤まさみが 『岳』 のCMをしている。
だが敢えて言わせていただこう。


長野県南部に位置する我が家から、『岳』 を上映している最寄の映画館までの距離は…









片道85km









なめとんのかwww


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by misawa_re7 | 2011-05-18 15:38 | その他


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