【考 察】 膝痛の治療法を検証する テーピングによる治療法
腸脛靭帯炎

それはかつて、もう山に登ることは叶わないのではないかと思いつめるほどに僕を悩ませた膝痛の名だ。
効果的な治療法が見つけられないまま、撤退も覚悟で望んだ昨年の4泊5日の北アルプス、この日を境に僕の膝痛は鳴りを潜めた。
果たして何故治ったのか?そもそもの原因は何だったのか、再度検証してみることにする。
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時を遡る事8ヶ月。
忘れもしない昨年の6月。梅雨の甲斐駒ヶ岳、駒津峰から仙水峠へと下る斜面にて、それは発症した。


腸脛靭帯炎


詳しい症状に関してはリンク先の過去のブログを参照のこと。
膝を曲げる事で発生するあまりに凶悪な痛みに、まともに歩く事もままならず、翌日の仙丈ヶ岳を撤退。
2週間空けて臨んだ燕岳は、辛うじて登れたものの苦しい下りを余儀なくされ、続く北アルプス薬師岳は撤退に追い込まれた。
度重なる苦しい痛みの発症と、繰り返される撤退のスパイラル。
登れば確実に発症するその痛みは僕の中にトラウマを植え付け、もはやこれから一生まともに山に登ることは叶わないのではないか?と思いつめるまでに、僕を追い詰めた。

しかしそんな苦い思い出に終止符を打ったのは、意外にも昨年最も長期ルートだった4泊5日の北アルプス縦走だったのだ。
そしてその際、僕が膝に施した治療はただひとつ。


テーピングのみ


果たして何故テーピングという方法に辿り着いたのか?そしてどんなテーピング法でどんな効果があったのか?
縦走以後ブログでまとめようと思いつつもなかなか機会がなかったのだが、今回ブログ友のこまちさんが腸脛靭帯炎を患ってしまったという事で、少しでも参考になればと、既に忘却の彼方にあった腸脛靭帯炎のブログをまとめる事にしたのだった。

ただ最初に断っておきたいのだが…必ずしもこの方法が効くとは限らない。

人それぞれ微妙に患部も違えば、それに至るまでの原因も千差万別である。
日頃の歩き方や姿勢などが原因で膝痛を発症している場合もあれば、突発的なトラブルが原因で突如膝痛を発症する場合もある。
恐らく僕の場合は後者なので、日頃から恒常的に膝痛を発症している方にはあまり効果がないかもしれない。
効けば良し、効かなくてもまぁ仕方ないか…程度に参考にしていただければ幸いである。




さて、そもそも僕がテーピングに辿り着いた経緯は一体なんだったのか?
それにはまず僕が膝痛を発症した大元の原因である、甲斐駒ヶ岳山行の下りにまで時を遡らねばならない。
この時僕は、後に患部となる右足で浮石を踏んだのだ。
転倒には至らなかったし、この時は痛みもなかったのだが、おそらく直接的な原因はここにあったのだろうと推測される。
この時僕の膝に一体何が起こったのか。僕の結論はこうだ。


膝の過伸展


過伸展という言葉はあまり聞き慣れない言葉かもしれないが、読んで字の如く、筋や腱を伸ばし過ぎてしまった状態の事を表す。
最もわかりやすいのは、肘や膝などの関節を、本来曲ってはならない方向に曲げてしまった場合に腱や靭帯などの過伸展が起こる。
また、体が固い人が無理やりストレッチをして、筋を伸ばし過ぎてしまった場合なども当てはまる。

つまり、甲斐駒からの下りで浮石を踏んだ事により、本来くの字に曲がらなければならない膝が、逆くの字に曲がってしまった。
これにより靭帯が伸びきってしまい、それが重心が一気にかかる下山中であったことも手伝って、靭帯と関節との接合部分である膝の当該患部に過度の負担が集中したのではないだろうか?
痛みが引いた以後もそれが癖になってしまい、頻繁に膝が過伸展状態になることで、何度も再発を繰り返すようになってしまった。
要するに、僕の腸脛靭帯炎は膝の過伸展によって引き起こされているのではないか?という結論である。



ここで考えて欲しい。
腸脛靭帯炎は、原則的に膝を曲げると激痛を発生する。
それが念頭にある腸脛靭帯炎を患っている方の多くは、たとえ痛みが無い時でも、膝を曲げる事には非常に神経を遣うはずだ。


だが伸ばすほうはどうだ??


案外膝を伸ばす事に関しては意識していない方の方が多いのではないだろうか??
だがしかし、例えば膝をピンと真っ直ぐに伸ばした状態…
一見正常に見える姿勢も、実は人によってはその状態が既に膝の過伸展になっている場合があるのだ。



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例えばうちの嫁。
誰がどう見てもおかしな方向に曲がっているのだが、嫁本人からすればこれは膝を真っ直ぐに伸ばした状態なのだそうだ。
だが明らかに過伸展膝である。
本来正しく曲がる事で衝撃を吸収する構造になっている膝が、この状態で衝撃を受けたらどうなるか?容易に想像がつくだろう。
嫁は比較的体が柔軟なので、僕ほど膝に極度の故障を抱える事はなかったのだが、最近時々膝の痛みを訴えるようになってきた。
恐らく過伸展膝が関係しているのではないかと僕は思っている。
嫁の場合は極端な例だが、例えばO脚の人なんかも正常に見えて実は気付かぬうちに過伸展になっていたりするらしい。

この状態になる原因の多くは、太ももの前面を覆っている筋肉である大腿四頭筋に対して、後面の筋肉であるハムストリングスの鍛え方が足りない事に起因するようだ。
大腿四頭筋は膝を伸ばすための筋肉であり、ハムストリングスは曲げるための筋肉である。
一般的には大腿四頭筋のほうが鍛えられやすいため、バランスが崩れて膝が伸びのブレーキをかけられずに過伸展になってしまう。

過伸展になることによって、靭帯は必要以上に張力がかることになり、それがやがては炎症に発展する。
腸脛靭帯炎も腸脛靭帯が緊張状態になることによって引き起こされる炎症である以上、因果関係が無いとは思えない。
ともかく、膝に限らず、関節というのは伸ばしすぎても良くないのだ。



と、言う事は…逆を返せば過伸展を防ぎさえすれば、僕の膝痛は抑えられるのではないだろうか?
少なくとも僕の症状の場合、過伸展が悪影響を及ぼしている可能性は高いだけに、可能性は十分ありえる。
つまり、僕が整骨院で教えてもらったテーピングは

過伸展防止の為のテーピング方法なのだ。


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使用するのはキネシオテープ。
筋肉とほぼ同様の伸縮性を持つため、人工筋肉などとも呼ばれる最近主流となっているテープだ。
これをまず約50cmに切る。
脚の長さによって切る長さも異なるが、50cm程度を目安にすれば良いだろう。


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貼る前に、まずは椅子などに座って脚を固定する。
角度は90度からやや開いたくらい。太ももを真っ直ぐにしてふくらはぎがやや斜めになるくらいでいいだろう。
アバウトで申し訳ないが、このあたりの微妙な調整は実際に貼ってみた感触で各々調整したほうが良い。

角度を固定したらまず膝の皿の上から貼りはじめる。この時皿に被らないように注意する。
ちなみに、僕の足はお見苦しいので、写真ではサポートタイツの上からテーピングしているが

実際は素肌の上に貼るようにw


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膝の皿の上から徐々に膝の裏側に回すように貼っていく。


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続いて、点線のように膝の裏側をたすき掛けのように斜めに貼っていき、再び表側に回して皿の下側にを巻くように貼る。
この時も皿に被らないように注意する。


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途中たるまないように、しっかり伸ばしながら貼ろう。


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最後に太ももの側面に貼り付けて終了。
写真ではやや下に曲がって貼り付いてしまっているので悪い例。実際はもっと真っ直ぐに貼ったほうが良い。


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同じ要領で今度は反対回りでもう一枚貼る。膝の裏側が×印にのようになっていればオッケー。
こちらは真っ直ぐ貼れた。


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正面から見るとこんな感じになる。
皿の部分がポッカリ空き、膝の裏側は×印になっていれば良い。

何度も言うようだが実際はサポートタイツの上からでなく素肌に貼るようにww


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ただし、肌が弱い人もいるし、特に膝の裏側の皮膚は弱いので、夏場に汗などをかくと蒸れて、剥がす時に一緒に皮膚が剥がれたりする。
実際僕も夏山縦走のときに膝の裏側の皮膚がベロンベロンに剥がれ、膝痛こそ発症しなかったが、非常に痛い思いをしたのである。

それを防止するためにアンダーラップテープというのがある。
これは非粘着性のスポンジテープで、テーピングをする前に皮膚に貼る。
粘着性が無いのでそのままでは貼れないため、専用のスプレーのりを肌に吹きかけてからアンダーラップテープを巻く。
これをするだけで剥がす時にも全く皮膚が痛まないのでお勧めしておく。




さて、実際に貼ってみるとわかるが、このテーピングをちゃんと施した場合、膝が必要以上に伸ばせなくなる。
さらには必要以上に曲げる事も難しくなる。膝の稼動領域が狭くなるのだ。
よほどの無茶をしない限りは、過伸展はもちろんのこと、過度に曲げる事もできなくなる。
最初は違和感があるだろうが、しばらく歩いていればさほど気にならなくなるだろう。

僕は結果的に、このテーピングのみで夏の4泊5日北アルプス縦走を乗り切った。
それ以後、半年近くテーピングを施しながら山を登ったが、その間一度たりとも膝痛が発症することはなかった。
現在でテーピングをせずに登っても問題ないところまで完治している。
まぁ1月の赤岳で一度だけ膝痛を発症してしまったのだが、実際に発症したのはその一度きりだ。
僕にとって、このテーピングはまさしく救世主だったのである。



ただ、最初にも断ったが、必ずしもこの方法が効くとは限らない。

このテーピングが最も有効なのは過伸展を原因とする膝痛である。
それに痛みを抑えるものではないので、一度発症してしまってから貼ってもあまり意味は無いし、テーピングしたからといって無茶をしていいかと言われれば、それはNoだ。
あくまでもテーピングは膝が完治するまでのサポーター代わりに過ぎないということは念頭に置いておいてもらいたい。

しかし、自分では意識していなくても、過伸展が原因で知らず知らずのうちに膝痛になっている人は意外と多いのではないかと思う。
どうしても山に行くと膝痛になってしまう人は騙されたと思って、是非一度試してみてもらいたい。
保証はできないけれど、キネシオテープ1巻で500円程度。
それで治れば万歳、駄目でもまた別の形でテープは使うことができるから無駄になる事はないだろう。

膝に爆弾を抱えて歩く事の辛さは僕も痛いほどわかっているつもりだ。
藁にもすがる気持ちでインターネットで治療法を検索している人も多いだろう。
もしもこの方法で膝痛を解消できる人がいたならば幸いである。


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by misawa_re7 | 2011-02-09 23:54 | 考 察


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