【道 具】 冬期用グローブシステム構築 前編 〔インナー編〕
今シーズンの冬期用グローブシステムの基本構想を確立した僕だったが…
僕が考えるグローブシステムの5つの条件、その全ての条件をを単独で満たす事のできるグローブはまず在り得ない。
そこで考えるべきはグローブシステムのレイヤリング。まず僕はインナーグローブから着手することにした。
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前回のブログ、冬期用グローブ考察編はこちら。



グローブには主に防水、断熱、透湿を司るアウターグローブ。
そして主に保温を司るインナーグローブの二つに分けられるというのは、前回のブログで触れたとおり。
今回のブログのテーマはインナーグローブである。

インナーグローブという名称ではないものの、それに順ずるグローブは各社から多種多様な素材で発売されている。
天然素材で言えば昔ながらのウールや、最近多く使われるようになったメリノウール。
化学繊維で言えば主にアクリルやポリエステル、それをベースに各社のオリジナル素材(厳密にはブレンドなのかな?)、例えばモンベルのジオラインやミズノのブレスサーモ、アウトラストなどが挙げられる。
最近の化学繊維のグローブには、たとえばアウトラストならば皮膚の温度を適正に保つ温度調整機能が備わっていたり、ブレスサーモは人体から発する水分に反応して発熱するといった、素材ごとに様々な特色がある。
インナーグローブに求められるのは保温性である以上、やはりどれだけ人体から発せられた熱を蓄熱することが出来るかが主題ではあるが、それをいかにしてコンパクトに、かつ手の操作性を妨げないように実現させることが出来るかという命題もついてまわる。
故に、より薄手で、かつ保温性も高い製品を各社が日々切磋琢磨して開発しているというのがインナーグローブの現状だと思う。


だが、インナーグローブ全てに共通して言えることもある。

それは、どの素材のグローブも全て防水性が備わっていないと言うことだ。

それは至極当然の事で、そもそもこのカテゴリーのグローブは外部から浸水するような使用状況を想定していない。
インナーと銘打っている以上、原則的には上からアウターグローブを被せることが前提であるし、これらを単体で使う事も当然あるだろうが、少なくとも雨が降っていたり雪がドカドカ降っているような状況下で使うことはそうはあるまい。
むしろ最も肌に近い場所に装着するグローブだけに、人体から発せられる蒸気をある程度吸収せねばならない。
故に、インナーグローブと呼ばれるグローブは皆防水性のない繊維でできているのだ。



だが、今シーズンのグローブシステムを構築するにあたり、僕はまずインナーグローブに対する認識を改めなければならないと感じていた。
僕がグローブシステムを構築する上で挙げた5つの条件のうち


靴紐を縛ることの出来るくらいの操作性を有する事


行動中素手になる状況を作らない事


インナーが雪等、外部からの濡れに晒されない事


実はこの3つの条件はインナーの工夫次第でクリアすることが出来るのではないかと考えたのだ。
まず行動中に素手にならないためにはインナーグローブを外さなければいいのだ。
つまりある程度素手の感覚に近い操作性を持つインナーグローブを装着していさえすれば、素手になる必要は無くなる。
だが上で触れたとおり、原則的にインナーグローブというカテゴリの製品には防水性が備わっていない。
外部からの濡れに晒されない事、この条件だけがネックになっているのだ。

しかし、逆を返せば、防水性が備わったインナーグローブを装着していさえすればこの3つの条件はクリアできるのだ。


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そう考えた時、まず真っ先に頭に浮かんだのが、雨天用に使っていたイスカのレイングローブだった。
これをインナーグローブとして使用すれば、当然の事ながら外からの濡れには対応できる。
だが、そもそも何故このグローブが 『使っていた』 の過去形なのか、それは即ち今シーズンで引退したグローブだからだ。
何故引退したか、それはもちろん使用上不便な点があったからに他ならない。

このグローブは写真のようにインナーメッシュになっている。
いわゆる汗取りとして、あとはおそらくメンブレンを保護するための層としてインナーメッシュの層が内側に存在しているのだろう。
だがこのメッシュがあるおかげで指先にズレが生じ、操作性が非常に悪い。
しかも手に汗がつくとグローブを脱いだ時に指に引っ付いてメッシュが途中まで出てきてしまい、再度指を入れることが困難になる。

その上、このインナーメッシュ、一度濡れたら絶望的に乾かない。
これでは5つの条件のうちの一つ 『万が一インナーが濡れても容易に乾燥させられる事』 にも抵触してしまう。

これでは駄目だ…




だが、発想自体は悪くないと思った。そして考えたのだ。


インナーは必ずしも一枚である必要はないのではないか??


そもそもインナーグローブ=薄手の暖かいグローブ1枚という固定観念があるからいけないのだ。
インナーグローブをレイヤリングしてはいけない理由なんて全くない。
『インナーグローブ』 というものすらもシステムとして考えてしまえば良いのだ。
つまり保温層を司る完全なるインナーの上に、防水を司る層を加えてやり、その2枚をもってしてインナーグローブとする。
それが素手に近い操作性を有しているのであれば、上の3つの条件をクリアできるではないか。



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そして辿り着いたグローブこそが

ヘリテイジ ウインドストッパーハイキンググローブ


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素材はゴアウインドストッパーの3レイヤー。
プレーンなゴアなので、イスカのレイングローブのようにインナーメッシュなど余計なモノはついていない。
シームシーリング処理は施されていないので完全防水ではないが、その分ゴワつきがなくフィット感抜群だ。
ゴアテックスである以上、防水性、透湿性に加え、適度な断熱性と耐風性も兼ね備えている。

ちなみに、本来水というものが形として存在しない零下の雪山において防水性はそれほど重要ではないのだが、人体からの熱をふんだんに蓄熱したインナーグローブで雪などを触れば、瞬く間に水はその形を取り戻す。
そのため当然このまま雪を触れば溶けて水分になるが、表面は撥水してくれるので、よほどのことがない限りは浸水することもない。
ある程度の水分であればゴアテックスが全て遮断し、最下層の保温層には水分を寄せ付けないのだ。

そして、もう既にお気づきの方もいると思うが、このシステムの最大の長所、それは


外気温に応じてインナーを交換できる事だ


このグローブを多種多様なインナーグローブの上に被せることで、僕のインナーシステムは完成する。
寒い時はインナーに暖かいものを。
そして暑いときは薄手で速乾性の高いものを選択する事で汗冷えを防ぐ。
冬は2枚セットでひとつのインナーシステムとして、夏には単体、もしくは極薄のインナーと組み合わせてレイングローブの代わりとして、一年中使うことが出来る、無駄のない合理的なシステムだ。



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ちなみに今シーズン、各種インナーを試してみたのでざっと並べてみた。
上記のヘリテイジのグローブと合わせた場合の情報であり、単体で使った場合はこの限りではない。
左から


キャラバン シームレスグローブ 〔ナイロン、ポリウレタン〕
【保温性】 1 【速乾性】 5 【操作性】 5 【耐久性】 1
非常に薄手で速乾性も高いが保温性は期待できない。しかしともかく安い。限界温度は0℃前後。


HEATRA メリノウールグローブ(正式名称不明) 〔メリノウール〕
【保温性】 2 【速乾性】 4 【操作性】 5 【耐久性】 1
薄手で操作性には秀でるものの、高すぎる、耐久性も非常に低い。限界温度は-1℃~-2℃ってところ。


マウンテンハードウェア BUTTER LINER 〔ポリエステル、SPANDEX〕
【保温性】 2 【速乾性】 5 【操作性】 5 【耐久性】 2
非常に速乾性が高く重宝するが、これも比較的割高。耐久性は上2つよりはマシ。限界温度-5℃くらいかな。


フェニックス アウトラストインナーグローブ 〔アクリル、ウール、その他〕
【保温性】 3 【速乾性】 3 【操作性】 3 【耐久性】 3
若干厚みがあるので上の3つより操作性は落ちるが、後は平均的な性能。限界温度-8℃~-10℃くらい。


Kohla メリノグラブ 〔メリノウール〕
【保温性】 5 【速乾性】 3 【操作性】 2 【耐久性】 4
段違いに暖かい、価格もさほど高くない、でも厚いからこの中では操作性は最も悪い。限界温度無風なら-15℃まではいける。



名称に素材。ちなみに正式名称がよくわからんのもあるのでその辺はテキトー。
5段階評価はあくまでもこの5つの製品の中での僕の主観による5段階評価。
限界温度は上のヘリテイジのグローブと重ねた場合、かつ行動中であることを前提としたもので、僕の体感と経験上これ以上下がるとアウターグローブの出番かなぁ?と思う温度。停滞時はこれに準じないものとする。
あくまでも僕の主観なので当然人によって前後するだろうから参考値程度に。



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結果、僕の厳冬期のインナーシステムは上の写真の通り。


Kohlaメリノグラブ + ヘリテイジウインドストッパーハイキンググローブ


という2枚のレイヤリングをひとまとめにし、インナーグローブシステムとした。
Kohlaのメリノグラブは探しに探し、ようやく見つけた数少ないメリノウールの中厚グローブで、保温性十分。
上記の組み合わせだけでも動いていれさえすれば日陰無風時なら-15℃、微風でも-10℃程度なら問題なく行けた。
操作性はこの組み合わせでも全く問題なし、靴紐を結ぶ程度のことなど造作もない。
ある時面倒くさくて小屋の中でも外さずに会計を済ませた。つまり小銭を財布から取り出すなどの動作も支障なかったということだ。
概ね日常行う動作なら、よほど繊細な指先の動きを要求される事以外ならば何ら問題なく行える。
その証拠に、トイレに行く時とテントの中にいる時以外はほとんどこのグローブシステムを装着しているくらいだ。

常時着けっ放しにしておくことが出来、かつ日常動作に支障がなく、濡れにも強いインナーグローブシステムの完成。
仮にアウターグローブを外したとしても、保温層と防水、断熱層を独自で持つこのインナーシステムがある限り、寒風に素手を晒すことなく、かつ一気に熱を持っていかれることもなく、低温化でも軽作業をこなすことが出来る。

これにより


靴紐を縛ることの出来るくらいの操作性を有する事


行動中素手になる状況を作らない事


インナーが雪等、外部からの濡れに晒されない事


この3つの条件はクリアされた。
そして


万が一インナーが濡れても容易に乾燥させられる事


これも保温層と防水層を分離させることにより、インナーが濡れても容易に予備のインナーとの取替えが可能となり、しかも濡れたインナーはズボンのポケットにでも入れておけば簡単に乾かすことが出来る。
テント泊の場合もポケットに入れたまま寝るか、あるいははめたまま寝れば朝になればすっかり乾いている。
つまりこのインナーシステムの構築により、5つの条件のうち、既に4つの条件はクリアされてしまった。
後はひとつ


-20℃以下の稜線の風にも耐える事が出来る事


この条件を満たすアウターグローブを選定するのみとなった。
ここまでくればもはや先は見えたも同然、厳冬期グローブシステムの完成も間近だと思っていた。




まさか、まだまだグローブシステムの沼は深く…長く続いていようとは…




グローブシステム構築 後編に続く

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by misawa_re7 | 2011-01-20 15:56 | 道 具


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