【考 察】 冬期用グローブ考察
昨シーズン、僕らが冬期用として購入して使っていたモンベルシステム3グローブ。
外気温-10℃程度の条件下では使用上さほど問題を感じていなかったのだが…(嫁の使っていたモデルは論外)
それを踏まえた上で、僕が今シーズン悩みに悩んだグローブシステムについて、順を追って検証していく事にしよう。
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昨シーズン、僕らは冬期用グローブを買った。
モンベルのシステム3グローブという製品だったのだが、それに関しては過去のブログで触れているのでそちらを参照のこと。
結果として嫁が使っていた昨年のモデルは機能上問題があり、僕が使っていた一昨年のモデルは機能上不満はなかったものの細かい問題点がいくつかあり、今シーズン雪山に入るにあたり、どうしてもグローブは新調する必要があったのだった。

そのため、グローブを購入するにあたり、僕はグローブとはどういうものかということを一度考えてみる事にした。
単純にグローブと一言で言っても、グローブに求められる性能は多岐にわたるのだが、大きく分けると


防水性

透湿性

保温性(蓄熱)

断熱性

操作性


上記の5つに分類される。
まず人体から発する熱を保温層が蓄え、その熱が外へ逃げないように、あるいは外からの寒気を遮断するための断熱層が存在する。
また、外部より水分が直接人体に触れないためには防水性も必要だし、その反対に人体から発せられる蒸気による濡れを防ぐためには、湿気を効率的に外へ放出する必要もある。
そして何より手を覆う道具である以上、手の操作性を妨げない性能も極めて重要になってくる。

つまり上記の5つの条件を完璧に満たすグローブこそ、この世で最高のグローブという事になるのだが。
はっきり言おう。


そんなグローブはこの世にはない。


というかそんなものがあったらわざわざこんな事で悩む必要もないのだ。
例えば断熱性や防水性を高くしようと思えば思うほど、透湿性がどうしても犠牲になる。
また保温性を高くしようとすればするほどグローブは厚みを増し、操作性はどんどん犠牲になっていく。
グローブに限った話ではないが、クロージングは常に二律背反との戦いであり、その全ての条件を満たす神がかった素材は、残念ながらまだ世に存在しないというのが現状だ。そもそも単体で全ての条件を満たそうとする事に無理があるのだ。


そこで人は考える。


では各々の役目に特化したグローブを重ねたらいいではないか


そう、グローブのレイヤリングである。
一般的にグローブというと、それ単独のものを示す単語として捉えがちである。
もちろん通常下界において、グローブとは単独で使用するものであり、よほどの悪条件でない限り重ねて使うなどということはない。
だが、山、特に雪山のような過酷な条件下においては、全ての性能が高次元に両立されなくてはならない。
単体でそれが実現できない以上、複数のグローブをレイヤリングし、ひとつのシステムとして総合的に考える必要がある。
それが今シーズンの厳冬期の雪山を視野に入れた僕の結論だった。

それではまず、昨シーズン使っていた僕のグローブであるモンベルのシステム3グローブを例に、グローブのレイヤリングと、何故買い替えに至ったのか問題点を考察してみる事にする。


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モンベルのシステム3グローブは写真のようにアウター、インサート、ライナーと呼ばれる3つのパーツに別れており、アウターがいわゆる最も外側のガワになり、インサートはゴアテックス、ライナーはクリマプラスのフリースグローブになっている。
この呼称、とくにインサートとライナーの2つの呼称ははモンベル独自の呼び名である。
通常グローブのレイヤリングを示す上で、一般的には内側で直接肌に触れるグローブはインナーグローブ、外側のグローブはアウターグローブと呼ばれることが多い。
紛らわしいので、今後後者の呼称に統一してブログを進めさせていただくとする。

今現在販売されているシステムグローブを大別すると、全てが一体となった1レイヤーと、防水、断熱、透湿を司るアウター、保温を司るインナーの2つのパーツからなる2レイヤーの2つに分けられる。
そういう意味ではモンベルのように3レイヤーから成るグローブは非常に特殊である。(今年のモデルは2レイヤーになった)
まぁそれとは別に完全にアウターの機能のみに特化したオーバーグローブやミトン、内側にはめるインナーグローブは各社から多種多様な素材で発売されているが、それらはシステムグローブではないのでとりあえずおいておくとする。


僕が考える1レイヤー、2レイヤーの長所、短所は以下の通り。


1レイヤーの長所は、一体型による操作性の高さにある。
各レイヤー間のズレが生じないため比較的フィット感が高く、操作性と保温性を適度に両立させているのが特徴だ。
対して、短所としてはグローブの内側が汗で濡れてしまった時に致命的に乾きづらい事にある。
日帰り登山ならばさほど問題にはならないが、長期間入山する場合グローブの濡れを処理できないのは致命的である。

2レイヤーの長所はまさしく1レイヤーとは対極。
インナーを取り外せるため、万が一汗で濡れた場合でも比較的容易に乾かせる事が出来る点にあるだろう。
しかしながらモノによって差はあるが、どうしてもアウターとインナーとの間に微妙なズレが生じる場合があり、1レイヤーと比べるとフィット感が低いのが短所といえる。
酷い場合、インナーが汗で濡れるとグローブを外す際に手に引っ付いて出てきてしまい、再度はめる時に指が収まらない事がある。
僕がモンベルのシステム3グローブを買い換えるに至った理由はズバリそれが原因である。


双方の長所と短所を比較すると、短期の入山、あるいは細かい操作や手の感覚が重要になる登礫などがメインの場合は1レイヤー。
長期で入山する場合は2レイヤーの方が適していると僕は考える。




だがしかし、厳冬期で使用するにあたり、僕は1レイヤーにも2レイヤーにも、ある致命的な欠点を感じていたのだ。

例えば風吹き荒ぶ極寒の稜線で靴紐がほどけてしまったら?あなたならどうする??
もちろん言うまでもないことだが結びなおさなくてはならないだろう。
だが1レイヤーだろうが2レイヤーだろうが、厳冬期対応のグローブで靴紐を結ぶことが出来るだろうか??
他にもカメラの設定を弄ったり、あるいは行動食を食べたり。
そういった細かい作業をするためにはどうしてもグローブを外さなくてはならない…、そう、つまり僕の感じる欠点、それは


細かい作業をする際には素手にならなくてはならないという事


いかに1レイヤーグローブにフィット感があるとはいえ、細かい作業を出来るほどの操作性を求めるのは難しい。
そもそもそこまで操作性を高めてしまったら薄手になり、今度は保温性が犠牲となる。
インナーグローブを内蔵する2レイヤーとて、基本的にはインナーはグローブ側に帰属するものである。
外せばグローブ側に付いて行ってしまい、手元には残ってくれない。

ではシステムグローブの内側にさらにインナーグローブを別途装着すれば素手が寒風に晒されることはないのではないか?
そう考えるのは至極当然であり、僕もまずそう考えた。
だがしかし、雪が付着した靴を触ったり、あるいは吹雪の中インナーになった場合、当然インナーグローブにも雪が付着する。
当然雪は体温で溶けてインナーグローブに染み込み、必然的にインナーグローブは濡れてしまうだろう。
最も肌に近い部分であるインナーグローブを濡らしてしまうのはあまりに危険と言わざるを得ない。


これら全てを総合して、今シーズンのグローブシステムを構築するにあたり、僕が自分に課した必須項目は。



-20℃以下の稜線の風にも耐える事が出来る事


靴紐を縛ることの出来るくらいの操作性を有する事


行動中素手になる状況を作らない事


インナーが雪等、外部からの濡れに晒されない事


万が一インナーが濡れても容易に乾燥させられる事



上記5つの条件をクリアするグローブシステム、それが最終目標だった。

しかし、全ての項目を1つのグローブでクリアすることは事実上不可能。故にシステム全体で5つの項目を達成するシステムの構築。
それを念頭において、今シーズンのグローブ選びは始まったのである。
長く、そして終わりの見えないグローブ選びの旅…
長くなるのでここで一旦切り、次回からグローブシステム構築編として順次綴っていくとしよう。


グローブシステム構築 前編に続く


↓ いや、今更そんなこと言われなくてもわかってるよって内容ばかりでしたが…続編に期待のポチを!(-´▽`-)

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by misawa_re7 | 2011-01-19 22:01 | 考 察


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