【山行記録】 厳冬期用ギア最終評価試験 極寒の南八ヶ岳へ 〔2011.01.16~17〕
『今冬最大の寒気来たる』

その報せを受け、皆が寒さに備えて外出を控える中、一人不敵にも極寒に身を投じようとしている男がいた。
まさしく文字通りの極寒の地、寒さ極めし赤岳の麓へと、僕はテントを担いで歩き始めた。
厳冬期用ギアの最終評価試験。そんな馬鹿げた好奇心のために…
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さて、ブログを書き始める前に皆さんにひとつだけ言っておかなければならないことがある。
実は今回の山行記録、普段の僕のブログからは考えられないくらいに写真点数が少ない。

いや、先に断っておくが、別段手抜きをしているわけではない。
ただ、実のところ今回の山行、驚くほど写真撮影枚数が少ないのである。


え?どのくらいかって??











撮影総数16枚




え?あ、はい、もちろん2日間で16枚ですよ?
1泊2日、フルスケジュール、そんで一応赤岳なんかにもちょっと登ったりしたけど、撮影したのは全部で16枚ポッキリ…。
カメラ壊れた?いえいえ!カメラは至って正常です!
ちゃんと持っていきましたよ、いつもどおり僕の片腕ともいえるD700。
カメラとレンズでおよそ2kg、カメラバッグや小物と合わせれば総重量3kgにも達するカメラセット。
持って行ったにも関わらず撮影枚数16枚ですよ、ハイww


まぁ、あんた馬鹿じゃないの?っていう反応は至極当然であるww
その辺のところも併せて、今回山行記録の全容を記して行きたいと思う。




先にも触れたとおり、今回の山行の最大の目的はひとつ。


厳冬期装備の最終評価試験


まぁざっくり言ってしまえば、今の手持ちの装備でどんだけ寒さに耐えられるのよ?って話である。
折りしもこの日、1月16日~17日にかけては、今冬最大といわれる寒気が日本列島に到来するとの予報。
耐寒試験をするには今をおいて他にはないというほどの好機!僕ほどの変態がこの機を黙って見過ごせるはずがあるまい。
急遽前日に嫁の許可を得、今シーズン買い集めた冬山装備とテントを担いで単身美濃戸口へと歩を進めたのだった。


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美濃戸口の駐車場。


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前回はこんな感じ


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八ヶ岳山荘も雪化粧だ。


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前回


ちなみに、今回は天候が天候だけに、端っからピークを踏む気はさらさらなかった。
前回の12月の赤岳とは全く様相が異なるのは明白であり、それに前日からの急な積雪による雪崩の危険性も否定できない。
森林限界を越えた稜線の強風下で試したい事もあったのだが、それが可能な程度の風ならばともかく、我が身に危険が及ぶような天候であれば潔く赤岳鉱泉でスノーキャンプして帰る予定だった。


ところが美濃戸口で偶然出会った初対面のお二方と意気投合し、話をするうち 「一緒に赤岳登りましょうよ」 とお誘いを受けたのだ。
しかし、端っからピークを踏むつもりがなかっただけに、「良いですよ」 と即答するのは憚られた。
それにここは厳冬期の赤岳だ。
夏山ならいざ知らず、初対面の方と突如パーティーを組むというのには少なからず抵抗もあった。
面識こそ少ないものの、お互いの技量、装備を十分理解したうえで臨んだ前回のさまんたさんとの山行とは随分勝手が異なる。

だがしかしパーティーを組むといってもあくまでも一緒に登るというだけで、ザイルを組むわけではない。
一蓮托生ともなればそれなりに覚悟も必要だろうが、あくまでも彼らは彼らの、僕は僕の判断と責任で登るのだから、そこまで慎重に考える事も無いだろうと判断した。
むしろお互いに何かトラブルがあった場合、人数が多いほうが対処の幅は広がる。
翌日の天候を見、大丈夫と判断すれば同行し、無理ならば素直にお断りしようと決め、初日の夜を迎えたのだった。




ちなみにこの晩は夜中まで吹雪いており、そのせいか放射冷却が起こらなかったのだろう、想定したほどの気温には達しなかった。
僕個人としてはテスト条件として-25℃は欲しかった。
しかし結果として早朝確認した温度は-21℃。
テスト条件としてはやや足りない気温だったが、ある程度の感触はつかめたものと思う。

と、言うのもそもそも3人用テントに1人で寝るというのは2人で寝るときに比べて明らかにテント内が寒い!
ざっと体感温度でも2℃~3℃、下手をすればもっと寒いかもしれない。
それに一晩中強い風がテントを叩いていた事を考えると、少々強引ではあるが普段僕と嫁がテントで生活しているときの状況で言えば、今回のテント内は外気温-25℃前後のくらいの状況にはなっていたものと考えても差し支えないのではないだろうか?
そもそもそれ以上過酷な状況下におかれた場合、テント泊なんてしてないで速やかに小屋に避難した方が無難である。
そう考えると、最低実用範囲内での機能試験は概ね今回で完了したと判断する。
このテスト結果を踏まえて、また道具のレポに関しては後日ブログでアップしようと思う。

ちなみに余談ではあるが、今回のテスト項目にはカメラバッグ用のハーネスの試用も含まれていた。
撮影する気が全くないのにも関わらず、わざわざ重いD700を担ぎ上げたのはそれが理由だ。
まぁ別にカメラでなくとも相応の重さの道具を入れて試せばよかったのだろうが、実際に使用する状況で試さねば意味がない。
そんなわけでテスト山行だったが故の撮影意欲のなさ、悪天候も重なり、撮影枚数が過去最低の16枚という結果になったのであった。




そして2日目の朝。
テントの外を見ると空には星が瞬いていた。

しかしこんな時ほど疑わなくてはならない…そもそもこんな好天が昼まで続くはずがない。
そもそもこの日は今冬最大といわれるほどの寒気が流入している、即ち非常に強い冬型の気圧配置下にある。
弱い冬型であれば八ヶ岳は晴れる、しかし強い冬型の場合八ヶ岳は一転雲に覆われる。
年末年始にかけてずっと八ヶ岳ウォッチングをしてきたのだ、それくらいの想像力は働かせなくてはならない。
少なくとも森林限界より上が荒れるのは間違いない、しかし問題はその程度だ。
風に関してだけは実際に登ってみないとわからない。
前日から右膝に軽い違和感を覚えていた事もあり、状況が許せば山頂まで、でなければ途中で撤退を心に決めて行く事にした。


歩きながら横岳、硫黄岳の稜線を眺め、風音に耳を傾ける。赤岳鉱泉を出発した頃から山頂付近は徐々に吹雪き始めていた。
風も出てきた、しかし下から聞いている分には決して吹き飛ばされるほどの強風が吹いているようでもなかった。
現状は今のところ問題なし。
とりあえず風の状況を判断すべく、森林限界まで行ってみる事にする。


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地蔵尾根の取り付き。この時点ではほぼ微風。
悪天ならばこの時点で容赦なく風が吹きつけてくるだろうし、上空の風音が半端ではないはず。
これならばとりあえず登るに支障はない、中腹のトラバースあたりまでは難なく行けそうだと感じた。


地蔵尾根より順調に高度を稼ぐ。
ひとつ、ふたつと小ピークを越えるごとに少しずつ風は増し、上部のナイフリッジに到達する頃にはそれなりの風に変わっていた。
とはいえ歩くに支障があるほどの風ではない、しかし不覚にもゴーグルを凍らせてしまったため顔だけが痛い。


それよりも問題は膝が痛い。


赤岳の登りはとにかく斜面が急だ。
そもそも無雪期には階段や梯子が備え付けられている場所がフラットな雪面になっているのだから当然だ。
どうやらそのツケが膝にガッツリ蓄積されてしまったようだ。

そうこうしているうちに地蔵の頭に到着。
風が一気に増すものの、登頂を妨げられるほどの風ではない。これならば赤岳の頂は踏んだも同然だ。
しかしこの時点で僕は撤退を決意した。
ここから先は全て剥き出しの稜線、頂上山荘は営業していない、展望荘もこの時点で断言はしなかったが年末年始の営業を終えていてもおかしくない時期だった。(後でちゃんと確認したら展望荘はやはり2月にならないと営業していない)
万が一稜線で僕が行動不能になれば2人に迷惑がかかるし、そもそも僕自身こんなところで停滞するのは真っ平御免だ。
幸い地蔵尾根ならば30分も下れば安全地帯。最悪の事態を想定するとここらが限界ラインだ。
ピークに未練はない、そもそも地蔵の頭までの往復で、地蔵尾根コースの難所の8割は通過したも同然、そう考えれば僕としては十分満足だった。
名残惜しいが山頂へ向かう二人を見送り、僕は再び地蔵尾根を下る事にした。


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地蔵尾根直下の下り。
斜面はそこそこ急、しかしそんなことよりなんと美しい光景か…まるで深海を歩いているようではないか。


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地蔵の頭を振り返る。
朝日で空が赤紫に染まる。何とも幻想的な光景。
写真で見るより現物はもっと幻想的な空の色をしていた、表現しきれないのが残念だ。


ちなみに、ここで写真を撮ろうとしたらバッテリーが切れていた。
出発した時にはまだ余裕があったのだが…さすがに寒さにやられてしまったらしい。

ちなみにこの時点で-23℃、風はそれなりに強い。日差しもないからダイレクトに冷気が身体を襲う。
これはちょうどいいとばかりに僕はここで停滞実験をすることにした。つくづくドMの変態であるwww
停滞ついでにカメラのバッテリーの交換も敢行。まぁおかげで上の2枚の写真が撮影できた。
足場の安定した斜面に陣取り、この場で何もすることなく停滞すること15分。
さすがに目の周りが痛かったので、凍ってなーんも見えないゴーグルをはめて、視界ゼロの状態で風雪に晒される。
手、全く問題なし。
カメラのバッテリーを交換する羽目になったので多少右手は冷たくなったが、すぐにリカバリー。
足先は少々痛いか、しかしまぁ凍傷になるほど重篤な状況になるにはまだまだ十分に余裕がある。
限界になるまでぼけーっと突っ立っていたら一体いつになるやらさっぱりわからないのでまだまだ余裕はあったが撤収する事に。
予定外に日の当たらぬ-23℃の強風下でのテストも敢行する事ができて満足だ。




その後、赤岳鉱泉にてのんびりテントの撤収準備にとりかかっていると、小屋のほうで手を振っている2人を発見。
無事赤岳山頂を踏んで帰ってくることが出来たようだ!
いやはやよかった、自分のことのように嬉しくなる。

彼らは赤岳鉱泉で昼食を摂ってから下山するとのこと、僕は膝も痛いことだしテント撤収して先にゆるゆると下山を開始した。
最終的に北沢の林道でまた一緒になり、赤岳山荘でおでんを食べた後駐車場までご一緒したのだった。


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駐車場にて記念撮影。
お二方、2日間本当にありがとうございました。楽しかった。
多分僕単独だったらスノーキャンプしてさっさと下山していたことでしょう。撮影枚数も5枚くらいだったかとww
やはり完全な単独行って僕にはあまり向いていないかも、ご同行できてよかったです。
また機会があったらご一緒しましょう!


↓ ギアの最終評価試験は概ね滞りなく終了、ギアのレポはまた後日ということでポチッとよろしくお願いします(-´▽`-)

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by misawa_re7 | 2011-01-18 23:38 | 山行記録 2011


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