【山行記録】 雨中の中房温泉、燕岳へ
7月3日(土)~7月4日(日)
僕は燕岳の麓、中房温泉のテント場に居た。
天気予報は見事なまでの雨だったが、今回の目的はあくまでも雨中でのシルウイングの試し張りと、試用だった。
燕岳登頂はあわよくば晴れればラッキー程度の期待だったのだが、果たして?
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2010年7月4日 天候:雨
合戦尾根往復路(中房温泉~第一ベンチ~第二ベンチ~第三ベンチ~富士見ベンチ~合戦小屋~燕山荘~燕岳山頂)

・ 高低差、距離、コース概要は上記の通り。
・ 地図上の通し番号は、これからブログに添付する画像の撮影したポイント。




そんなわけで、だいぶ時間が経ってしまったが、梅雨は真っ只中の7月上旬。
土曜日にうまいこと嫁が半休をとれそうだったので、嫁の帰宅を待ち、お昼過ぎから山へ行く事に決定した。
今回山を選定するに当たり、必須条件がひとつあった。それは…


山麓でテントが張れる山


何故このような条件がついたのかというと、今回の最大の目的は冒頭でも触れたが、シルウイングの試用にあったからだ。
甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳の山行の際、雨天でのテントの運用に不満を持った僕がタープを購入したのは前回のブログでも触れた。
今回の山行は購入したタープ、シルウイングの試し張りの場であり、山頂は二の次だったからだ。
そんなわけで今回、雨天での運用を試すのだから悪天候はむしろ大歓迎だったし、まぁ翌日の山頂登頂時に多少天候が回復してくれれば儲けもの程度に考えていた。
こうしていくつかの候補を吟味した結果、ここ燕岳に白羽の矢が立った次第である。



参考までに、燕岳の麓、中房温泉テント場の情報を記載しておく。
テント場を利用する場合、テント場から500mほど下ったところにある駐車場を利用することになる。
荷物を担ぎ上げるにはそれなりに難儀な距離だが仕方ない。
テント場のすぐ脇に駐車場はあるのだが、そこは小屋のスタッフの駐車場のようだった。
すぐ近くに広い駐車場もあるが、そこは日帰り入浴者用の駐車場で、夜間は閉鎖されてしまうので注意が必要だ。
まぁこちらの駐車場が開いている時間帯ならば、とりあえずそちらに車を停めておいて必要な荷物をテントに担ぎいれてから下の駐車場に車を停めに行けば幾分か楽だと思う。

テント設営の際は、燕岳登山口の脇にある売店兼日帰り温泉施設 「湯原の湯」 で受け付けている。(ちなみに入浴料は700円)
僕らが中房温泉のテント場に到着したのはPM7:00頃。
もう既に湯原の湯は電気が点いておらず、スタッフも引き上げた後だった。
どこに料金を払えばいいのかわからなかったので、翌日にでも払えばいいやと思い、とりあえずテント設営を開始していたところ、スタッフが来て注意されてしまった。
そんなわけで、 「湯原の湯」 の営業時間を過ぎるとスタッフが引き上げてしまうため、それ以降にテント場を利用する際は、橋を渡って奥の旅館まで受付をしに行かなければならない。

水場はテント場に蛇口があるのだが、出てくる水は温水である。
食用水としてならともかく、飲料水としては使いづらいので素直に冷水を担ぎ上げた方が良い。

ちなみにここのテント場、地熱が凄い。
冬場ならば、まさに天然の床暖房になるので願ったり叶ったりであるが、夏場は灼熱地獄と化す。
僕の感覚で言わせてもらうならば、夏場の利用はかなり厳しい。百歩譲って梅雨の時期までがギリギリ快適に過ごせる限界だろう。


そんなわけで梅雨特有のジメジメと、凶悪な地熱の床暖房で、蒸し暑い一晩を過ごし、翌日の早朝から燕岳へ登る事に。
雨は朝方まで一晩中降っていたが、今回導入したシルウイングのおかげでフライの入り口を全開にして寝る事が出来たので、快適とは言わないまでもこの悪条件の中十分まともに眠る事が出来た。
ちなみにテントは下山するまで張りっぱなしでも構わないという事だったので、そのままテント場に張り捨て。
膝の事もあるので、必要最低限の装備で登る事にした。




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【AM5:15】
中房温泉テント場を出発。(撮影地点1にて撮影)
天候は朝から小雨と雨間を繰り返す不安定な天候だった。
まぁ当初の予報では土砂降りも覚悟していただけに、この程度で済んでいるのはありがたい。

登山口は日帰り温泉施設 「湯原の湯」 の脇、さすがにこの時間ではスタッフもいないし売店も開いていない。


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登山道に入るとすぐに急登になる。(撮影地点1付近にて撮影)
昨晩の雨のせいか、空気は湿り、道も所々ぬかるんでいて歩きづらい。
木道や岩などは濡れいていると滑りやすくて危険なので注意して歩く。


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【AM5:45】
第一ベンチ到着。(撮影地点2にて撮影)
燕山荘まで4.5km、まだまだ先は長い。
燕岳の登山道には、登山口~合戦小屋の間に、第一、第二、第三、富士見の4つのベンチが存在する。
各ベンチ間の間隔は、コースタイムではおよそ45分を目安としており、休憩をとりながら登るにはちょうどいい間隔となっている。
ただしスピードを信条とする健脚な方にはやや間隔が短く感じるかもしれない。
まぁ各々のペースと体力に応じて休憩するベンチを選択したらいいと思う。

今回は荷物も軽かった事もあり、僕らの区間ペースは平均で30分前後だった。
普段ならばベンチの一つや二つ飛ばして、休憩をとらずに登ってしまうところだが、今回は膝の事もある。
各ベンチで休憩をとりながら登って行く事にした。


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地図にも載っているが、途中荷揚げ用のケーブルと登山道が交差する。(撮影地点2付近にて撮影)
合戦小屋の名物となっているスイカ。
あんなクソ重たいモノを登山者に提供する事が出来るのは、こいつの活躍があってこそだろう。



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【AM6:10】
第二ベンチ到着。(撮影地点3にて撮影)
終始降り続いているわけではないのだが、時折雨が強くなる時があり、濡れてしまうと後が面倒なので雨具を装着した。
これはこれで汗はかくが、冷たい雨に晒されるよりはいいだろう。



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【AM6:45】
第三ベンチ到着。(撮影地点11にて撮影)
地図を作成する際に撮影地点をすっ飛ばして作成してしまった関係で数字が前後しておりますww

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ここまで雨と雨間を繰り返しながら登ってきたが、徐々に晴れ間が見え始めた。(撮影地点4にて撮影)
いや、晴れ間を通り越して空には青空が広がっていた。

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先程までは全く展望がなかったのだが、木々の間から景色が見えるようになってきた。
眼前に見えている、台形の形をした印象的な山は有明山。


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【AM7:23】
富士見ベンチ到着。(撮影地点12にて撮影)
その名の通り、天気さえ良ければおそらく富士山が見える場所なのだろうが、雲が低くてさすがに富士山までの展望はなかった。

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合戦小屋直下、濃いガスがかかっているものの、大天井、常念方面の展望が開けた。
これはもしかしたら燕岳も晴れているかもしれない!
俄然期待は高まるが…。



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【AM7:47】
合戦小屋到着。(撮影地点5にて撮影)

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ここの名物はスイカ。
こんな途方もなく重いものを小屋に担ぎ上げるにはかなりコストがかかりそうだが、ここ合戦小屋には荷揚げ用のケーブルカーがあり、それを使って随時荷揚げをしているようである。
喉も渇いていたし、スイカ食べたかったのだが、まだ登り途中のこんなところで腹の冷えるものを食べて腹を壊しても困る。
とりあえずスルーして楽しみは下山時までとっておくことにした。

ちなみに、北アルプス三大急登のうちのひとつに数えられるここ合戦尾根だが、登ってきた感じそれほどの急登とは感じなかった。
その証拠に、未だに完治していないであろう僕の膝が、この時点においてまったく反応していない。
部分的に急なところもあるが、ちゃんと整備されているし歩きづらいという事はない。
三大急登などと仰々しい名前が付けられているとつい身構えてしまいがちだが、それほど警戒する必要はない場所だ。



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合戦小屋を後にし、少し登ると展望が開けた!(撮影地点6付近にて撮影)
眼前に見えている山は何だろう??
角度的にも尾根の形からしても大天井とはちょっと違う感じがする、東天井岳だろうか??

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上下に別れた雲の間より、なんと富士山も顔を出した!
こんな梅雨の真っ只中、天気予報も雨だというのに、まさか富士山を拝む事が出来るとは思わなかった。
ありがたや、ありがたや、これだけ展望が得られれば満足であります。

まぁ実際、結局これを最後に、下山するまで一切の展望がなくなってしまうわけだが…(´・ω・`)


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そんなわけで、合戦小屋を過ぎた辺りから徐々に樹林の背丈は低くなり、燕岳特有の花崗岩の砂礫が広がり始める。
色は少々違うが、甲斐駒ヶ岳直下の砂礫地と趣がよく似ている。

このあたりから徐々にガスが発生し始めていた。
というより、どうやら合戦小屋の上下数百メートルの層がたまたま晴れていただけで、上も下もガス、もしくは雨のようだ。
やはりこの時期にここだけピンポイントで晴れるなんて都合のいいことがあるわけも無し。
展望は諦め、あとはなんとか天候が崩れない事を祈る事にした。


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僕らが登った7月上旬は、まだ多少の残雪があった。(撮影地点7付近にて撮影)
しかしちゃんと小屋のスタッフがステップを切ってくれてあるので、ピッケルはおろかアイゼンも必要ないだろう。

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展望が期待できなくなったので、足元に視線を移すことにした。
このあたりに一番多く群生していたのがコイワカガミ。

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こいつは最初シナノキンバイだと勝手に思ってたんだけど、下山して調べてみるにミヤマキンポウゲっぽい。
嫁に嘘を教えてしまったww
こうやって少しずつ間違えながら花の名前を覚えていくのですねw



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【AM8:50】
燕山荘到着。(撮影地点8にて撮影)
もはやどうしようもないくらいガスガスである。

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参考までにテント場の写真。
7月上旬だというのに、テント場のほとんどが雪に覆われている。これでは通常のペグでは全く効かないと思われる。
8月になる頃にはだいぶ溶けて無くなるだろうが、7月中旬くらいまでは念のため雪上用の設営装備を用意したほうがいいだろう。

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何だコレ??(´・ω・`)


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燕山荘で一息ついていこうかとも考えたが、どうも雲行きが芳しくない。
とりあえず天候が崩れる前に山頂まで行く事にした。



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足元を見ると白いお花。
これがいわゆるハクサンイチゲというやつか??

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見上げれば、ほんの一瞬だけガスが晴れ、西鎌尾根方面の展望が開けた。
晴れていれば左奥のガスの中に槍ヶ岳を拝む事が出来たのだが…残念だ。


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さて、燕山荘から燕岳山頂までは多少のアップダウンになる。(撮影地点9にて撮影)
そしてここのほんの少しの下りでその時は来た。



そう…件の膝痛である(;´Д`)



今回は登り始め当初から終始ゆったりとしたペースを維持し、休憩も十分にとりながら来た。
そして燕山荘に至るまで、全く痛みの兆候はなかったのだ。
まったくもって 「何で???」 という言葉しか出てこなかった。

しかしいくら言いようのない憤りを感じたとて、痛みが引くわけでもなく…
そしてここまで来た以上山頂は目の前、今更引き返すという選択肢は無い。
仙丈ヶ岳同様、辛い下りになる事を覚悟しながらも、まずは目前の燕岳山頂を目指す事にした。


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しかし悪い事は続くもので、山頂に近づくにつれ雨が強くなってきた。
もはや踏んだり蹴ったりである…。



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【AM9:32】
燕岳山頂到着。(撮影地点10にて撮影)
再び痛みが発症した膝を引きずりながら、もはや本降りと化した雨の中、何とか山頂に到着。

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ここから尾根伝いに北に少し行けばコマクサの群生地があるらしいのだが…
残念ながら今日はとてもじゃないがそんなコンディションではない。
降りしきる雨の中、痛んだ膝を抱えながらなんとか無事に下山しなければならないのだ。
とても寄り道なんてしている余裕はなかった。
残念だが、ここはひとつ足早に下山の途へつくことにする。



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帰りは下りのため、膝が悲鳴を上げる。
少しでも気を紛らわそうと、燕岳特有の花崗岩の造形美に目を向ける。
まるでお城のような形だが、誰かが削ったのだろうか??
階段状にも見えるので、もしかしたら上に登る展望台のようになっているのかもしれない。

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今までいろんな人のブログで見てきた、燕岳のいわば名物ともいえるイルカさんにも会えた!
雨に濡れて心なしか寂しそうだ、またいつか快晴の日に会いに来るからな!



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【AM10:00】
燕山荘到着。
雨も強くなってきたので山荘の中で休憩をとらせてもらうことに。

今回は取りこぼすことなく山頂に行く事が出来たので、バッジを買おうと思ったのだが、燕岳のバッジはものすごく種類が多い。
燕山荘の山小屋のバッジも含めるとなんと20種類近くにのぼるのだ!
100名山の山ですらそこまでラインナップをそろえている山はそうはあるまい、燕岳恐るべしである!
さて、どれを買おうか真剣に吟味を始めたのだが…
何かこう、膝は痛いわ、天気は悪いわでフラストレーションが溜まっていたのか、こうムラムラっとした僕が発した言葉は…



「山バッジ全種類下さい」



一瞬小屋のお姉さん 「は??」 って顔したね、まぁ無理もないがww
買ったバッジの中には槍ヶ岳~燕岳縦走記念バッジなんてのも混じってたり、そんな縦走してねぇけどまぁいいかw
そんなわけで燕岳バッジフルコンプと、ちょっとした小物を購入してとりあえず満足、詳細はまた別ブログにてアップ予定です。


さぁ、あとはもはや慣例化しつつある膝痛と戦いながらの下山である。
今回は仙丈ヶ岳の下りほどの痛みはないものの、そこは北アルプス三大急登と呼ばれる斜面の下りだ。
恐らくそう簡単にはいかないだろう。
しかし登ってしまった以上、その分キッチリ下らなければならない。覚悟を決めて下山の途についた。



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帰り道、一輪だけコマクサを見つける事が出来た。(撮影地点8付近にて撮影)
まだ咲く前のつぼみだったけど、何だかガンバレと励まされているようで少しだけ心が和んだ。
さぁ、あとは歯を食いしばりながらただただ痛みに耐えるしかない、殺伐とした下りが待っているのみ。



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【AM10:30】
合戦小屋到着。
登りのときに宣言したとおり、お楽しみのスイカを食べていく事にした。

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誇張でもなんでもなく、この時食べたスイカは僕の人生の中で一番美味いスイカだった!!
そもそも僕はスイカというものがそれほど好きではない。
大体からして種が一杯あるような果物 (スイカは野菜だが) は食うのが面倒臭くていけない。
しかし僕はこの時食べたスイカの味を一生忘れないだろう。

まぁ作物なので味には多少個体差はあるだろうが、しかし燕岳に登ってきたら、やはりここでスイカを食べるべき!
非常にお勧めである。




スイカで至福の一時を過ごし、気力も充実してきたところで最後の下りに取り掛かる。
まぁここから登山口までの下りは多くは語るまい。

歩く>痛む>気合で歩く>ベンチで休みながら足のマッサージ

単純にこれを4回繰り返しただけであるww
適度な間隔でベンチがあったのは本当に助かった。
今回膝を痛めた僕のペースとしては、このベンチの間隔は非常に最適な間隔だった。
登山口まで下ってくる頃にはもう泣きたくなるほど痛くなっていたが、今回も何とか無事下山する事が出来た。

その後、張り捨ててあったテントを撤収し、日帰り温泉で入浴してじっくりと足をほぐしてから帰路に着いた。
今回は膝を痛めた状態でのコースタイムなので、おそらく参考にならないだろうから割愛させていただきます。
総評も、終始雨とガスの登山だったので、また晴れたときに登ったら書きたいと思います。


しかし、膝を痛めた仙丈ヶ岳から2週間。
日常生活では全く痛みがなかったのでもう大丈夫だろうとたかをくくっていたのだが、考えが甘かったようだ。
ただ休養をとり、痛みが引きさせすれば元気に歩けるだろうという淡い期待は、この時粉々に打ち砕かれたのだった。
やはりちゃんとした治療を受けなければならない。
2度目にして、僕はようやく医師の診断を受け、膝の治療を始める事を決めたのだった。

こうして、シルウイングの試し張りのついでと考えていた燕岳山行は、結果として僕の膝の怪我に大きな課題を残す結果となった。
シルウイングの購入はまさに大成功だったと思うが、それ以上に膝に対する不安だけが暗くのしかかった山行だったと言える。
暗い材料の多かった今回の燕岳山行であるが、またいつか必ず晴れた日に、そして膝を治してまた訪れたいと思う。


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by misawa_re7 | 2010-07-30 00:29 | 山行記録 2010


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