【考 察】 膝痛を検証する 腸脛靱帯炎
先日のブログでは多くの皆さんにご心配頂き、本当にありがとうございます。
ご存知の通り、6月20日の甲斐駒ヶ岳山行の下りにて、何の前触れもなく突如発症した膝痛。
一体何が原因で、どのようなメカニズムで起こったのか…専門家の意見も交えて検証してみたいと思う。
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事の発端は先日の甲斐駒ヶ岳の下り。
当初は気付かなかったのだが、浮石に足を置いてしまい、膝をおかしな方向に曲げてしまった事に端を発する。
そして紆余曲折を経て、翌日の仙丈ヶ岳にて本格的な痛みに発展し、やがて曲げる事もままならない状態になり、撤退を余儀なくされるまでに追い込まれた顛末は先日のブログで触れたとおり。
その後2週間の休養を経て、痛みもなくなったため、つい先日燕岳へ行ってきたのだが…。
実はその時も再び膝痛を発症させてしまっていた。
一度ならば突発的な怪我ということで割り切る事も出来たのだが、こう慢性的に痛みが発生するのは問題である。


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そもそも膝痛といっても人によって、またその部位によっても千差万別なのだが、僕の場合は右膝の外側に痛みが集中していた。
痛みの種類は、筋を違えてしまったような痛みといえば伝わるだろうか?
足を攣ったときのような痛み…ともやや違うのだが、似ているといえば似ている。
ともかく膝を曲げようとすると、つい呻き声を上げたくなるような痛みが走るのである。
この膝痛が発症した時、以前股関節痛の時にアドバイスを頂いた時にbphiroさんから教えていただいた

腸脛靭帯炎という症例を思い出していた。

そして本日自宅近くのスポーツ医学に精通している接骨院にて診てもらったところ、やはり腸脛靭帯炎であるとの診断結果が出た。
しかし、そもそも腸脛靭帯とは何か??


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腸脛靭帯とは、骨盤と脛(すね)を繋ぐ靭帯である。
図のように太ももの外側を走っており、主に膝の外側の安定を保つ役割を受け持つ。
この靭帯は構造上、膝の屈伸をする際に大腿骨外上顆という骨の上を行ったり来たりしており、常に摩擦に晒されている。
日常生活では問題にならないのだが、登山やランニングといった過度に負荷のかかる運動をした時に、この部分で腸脛靭帯が擦れ、炎症を起こす事で痛みが発生するというメカニズムのようである。
発症の原因は一般的にはオーバーワークが挙げられるのだが、O脚や内股で歩く事で腸脛靭帯に捻じれが発生し、それが原因で炎症の発生を早めるという事もあるようだ。



では予防する方法はないのだろうか??




山登りで発生する腸脛靭帯炎に関して言えば、主に2つの予防方法がある。


1. 膝、つま先が真っ直ぐになるように歩く。

2. 腸脛靱帯を緊張させない。


以上の2つが挙げられる。具体的にどういうことなのか、順を追って説明しよう。

まず1の膝、つま先が真っ直ぐになるように歩くとはどういうことなのか?
真っ直ぐとは、進行方向に対して真っ直ぐであることを意味する。
つまり膝、つま先は常に進行方向を向けて歩くのが、腸脛靱帯に対しては最も素直な歩き方だというのだ。
これが内向き、あるいは外向きになると、靭帯に捻じれが発生してしまう。
捻じれが発生することによって靭帯に張力がかかり、極端に言えば靭帯がピンピンに張った状態になってしまう。

想像して欲しい。
例えば軽く張った状態のゴム紐と、ピンピンに張った状態のゴム紐。
同じように岩肌に擦りつけた場合、先に切れてしまうのはどちらが先だろうか??
あるいはナイフのエッジに当てた場合、簡単に切れてしまうのはどちらだろうか??
言わずもがな後者、緊張状態にあるゴム紐のほうが断然摩擦には弱いし、損耗しやすい。
つまりは同じ事が靭帯に対しても言えるのだ。

腸脛靱帯は、常に大腿骨外上顆という骨との摩擦に晒されていると先程述べた。
では上の例のゴム紐を腸脛靱帯に、岩肌を大腿骨外上顆に置き換えて考えて欲しい。
腸脛靱帯が緊張状態であればあるほど、大腿骨外上顆との摩擦抵抗が増え、損耗が激しくなり炎症が起きやすくなるのだ!
つまり腸脛靱帯が緊張状態になるのは望ましくなく、それを防ぐための歩き方が1のような歩き方なのである。
では1のように膝、つま先を真っ直ぐにして歩いてさえいれば腸脛靱帯が張ることはないのだろうか??


それは否である。
腸脛靱帯も他の靭帯や筋肉と同様、運動による負荷や疲労の蓄積、その他様々な要因によって徐々に突っ張っていく。
それが痛みに繋がるか否かは個人差があるが、いずれにせよ靭帯や筋肉が緊張していくのは避けられない。
ではそれを防ぐにはどうしたらいいか??


それにはストレッチとマッサージが効果的だ。


ただ、膝の痛みだからといって、膝ばかり重点的にストレッチやマッサージをするのは、こと腸脛靱帯炎に関しては間違いである。
なぜならば、そもそも腸脛靱帯炎とは腸脛靱帯の緊張や捻じれが原因で発生する痛みの症状であり、必ずしも膝自体に原因がないことが多いからである。
故に、本当にケアしなければならないのは腸脛靱帯なのだ。


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先程の写真だが、この矢印の部分の筋を伸ばすような形でストレッチを行うのが腸脛靱帯炎には有効だ。
また、医師の話では、山行一週間前くらいから山行後1週間くらいまでの間、1日10分でいいので矢印の部分、腸脛靱帯の部分を指圧でマッサージしてやるといいようだ。
そして丸で囲った部分、ここには腸脛靱帯の張力を調整する筋肉、筋膜張筋があるらしい。
ここも指圧でマッサージしておくと腸脛靱帯の緊張を緩める事ができる。




さて、そんなわけでどうやらしばらくの間、膝痛とお付き合いをしていかなくてはならないようである。
上記のケアや予防方法は医師のアドバイスなので的確ではあるが、一口に膝痛と言っても人それぞれ患部や原因は微妙に異なるので、必ずしも万民に通用する治療法であるとは言い切れない。
そもそも僕にしたってこれで膝痛が解消できるかどうかはまだわからない。
しかし、前回2週間安静にしていたにも関わらず再発してしまったのだから、やはり何かしらの治療とケアは必要なのだと今回実感した。
暗中模索ではあるが、出来る事を出来る範囲でやり、それが結果に繋がれば御の字だ。

そんなわけで、もし同様の痛みを抱えて困っている方に少しでも助けになれば幸いである。
また、今後もしばらく経過観察し、また伸展があったらブログでアップする予定です。


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by misawa_re7 | 2010-07-08 23:53 | 考 察 | Comments(14)
Commented by ようよう at 2010-07-09 09:36 x
私の膝痛も同じような箇所の痛みでした。
猫背からくるO脚、筋力不足、ストレッチ不足等が原因のようですが^^;

私の場合、骨盤を安定させると膝痛の発症が遅くなるということがあります。
もともと腰痛対策で買ったコウノエベルト(デサントから発売されていました)を付けた時、
副産物として膝痛にも良い効果が出たようでした。

もちろん人により効果の違いはあるでしょうが、骨盤を安定させることにより、
足の運びがまっすぐになっていたのかもしれません。

私も膝痛はかれこれ10年のお付き合いとなりましたが、
調べれば調べるほど身体の各部分が連動して動いているんだな、と実感します。

私も記事のマッサージ方法を参考にして、膝のケアに努めたいと思います^^
Commented by キキ at 2010-07-09 10:05 x
みさわさん、こんにちは。

わわわ。大変ですね。。。

何とお声をおかけして良いのやら・・・。


とにかく、お大事に。そしてしっかり治して下さいね!

また、みさわさんの素敵な写真の数々と楽しい山レポを待っていますからね!

早く良くなりますよう、祈っております。
Commented by 酔いどれ係長 at 2010-07-09 10:28 x
こんにちは。
やっぱり専門医に診てもらって
的確なアドバイスをもらうのが治癒への近道ですよね。
ということで、同じ症状を持つ者として大変参考になりますので、
今後とも経過等よろしくお願いします。
お互いに気長に頑張っていきましょう。

燕岳のお話も気になります・・・。

Commented by あんぱんman at 2010-07-09 21:43 x
はじめまして。
人事に感じられず、興味深く読ませて頂きました。
私も一度なったことがあり、高い段差が苦手です。
とっても体が硬いので、焦らずストレッチしてみようと
思います。
膝早く治るといいですね!
Commented by yumine160 at 2010-07-09 22:15
腸脛靱帯・・・はじめて聞きました~
いつも深ぁ~~いお話で勉強になります♪

しかし いつの間に燕岳に・・・^^ 燕レポも楽しみに待ってますょ♪
Commented by misawa_re7 at 2010-07-11 08:13
>ようようさん

やはりこの手の痛みでしたか…
僕もどーもストレッチ不足には思い当たるフシがあるので…もっとしっかり柔軟しないといけませんね。

なるほど!
確かに骨盤を安定させると体幹バランスが崩れなくなるので足にも良い影響があるのかもしれませんね。
いろんな要素でバランスが崩れるたびに、膝や腰に負担が蓄積していきますからね…。
ちなみに、当日は膝サポーターをしていったのですが、どうも腸脛靱帯炎に対しては逆効果だったようです。
靭帯を必要以上に圧迫してはいけなかったようですσ(´∀`;)

しかし10年とは長いですね…。
確かに、患部に原因がなく、全然別の場所に原因があるといった複雑な症状の出方をしますよね。
人体って複雑に出来ていますね(。・_・。)

これはこれで効果があるかもしれません、是非お試しください!
Commented by misawa_re7 at 2010-07-11 08:16
>キキさん

こんにちわ!(*´∀`*)

今まで一度も膝をやったことがなかったのですが…いやはや膝がここまで辛いとは…少々甘く見ておりました。
突発的な怪我だったので、慢性的に発症しないだろうと思っていたのですけど、
どうも再発性がありそうでほとほと困っております(;´Д`)

ありがとうございます!
今年の夏には4泊くらいで北アルプスに行く予定なので、それまでにはなんとしても完治させたいところです。
しかし荷物重量の関係で、一眼レフどうしようか…σ(´∀`;)
悩ましいところですww
Commented by misawa_re7 at 2010-07-11 08:18
>酔いどれ係長さん

こんにちわ!(*´∀`*)
そうですね、普通に2週間の休養期間をとれば、自然に完治するだろうとたかをくくっていたのですが…
それほど甘いものでもありませんでした(;´Д`)
やはりちゃんと治療するに限りますね。
継続的にマッサージとストレッチを行って、さてどう出るか…。
また経過報告しますね♪

燕岳のレポは数日中に書きますので楽しみにしててください(・∀・)
Commented by misawa_re7 at 2010-07-11 08:22
>あんぱんmanさん

初めましてこんにちわ!(*´∀`*)
コメントどうもありがとうございます!

皆さんやはり一度はどこかで膝をやってしまうんですね…。
こればっかりは実際にやってしまった人にしか辛さはわかりませんよねσ(´∀`;)
確かに高い段差ほど膝に負担かかりますから…僕も最近高い段差と急な斜面が嫌いになってきました。

僕も非常に体が固いので、それも原因のうちかなと思ってます。
地道にストレッチするしかないですね(。・_・。)
今後膝の状態は経過報告しますね!

今後ともよろしくお願いします!
またあんぱんmanさんのブログにもお邪魔させていただきます♪
Commented by misawa_re7 at 2010-07-11 08:25
>yumineさん

僕もそもそも知るきっかけになったのが股関節痛の時にhiroさんに教えていただいたのがきっかけでして。
まさか股関節痛が靭帯から来るものだとは夢にも思いませんでした。
膝や股関節の痛みが、靭帯が原因になっているって、人体ってすごく不思議ですよね。
もし万が一山で膝の外側が痛くなったら、今回のブログ思い出してくださいww

燕岳行ってきましたよ!とても残念な天気でしたがww
レポは近日中に書きますね(*´∀`*)
Commented by bphiro at 2010-07-11 08:35
やっぱり腸脛靱帯靭帯でしたか((+_+))
でも専門医に診てもらってケアの方法を教えてもらったのならじょじょに回復すると思います。
僕も足の出し方を意識して、毎日ストレッチするようになってからはほぼ完治の状態です。
ストレッチする事で膝周辺だけでは無くて、可動部分全体に少しづつ柔軟性が出てくるのでコメントにあるように、浮き石でおかしな方向に曲げてしまったとしても一度や二度では症状は出難くなりますよ!
柔軟性が増すと、膝周辺だけでは無く結果的に山行中可動する部位全体に対して怪我もし難くなります。
ハイクスタート直前に面倒な時もあるけど、必ずストレッチしてから歩き始める事も大事ですね!
専門医に教えてもらっていれば良いのですが、僕の老婆心として付け加えで、真直ぐ歩く・緊張させないの2点を基本にあと足裏も意識すると良いようです。
簡略すると、長時間歩行していると弱い方の膝の足裏のブリッジも弱ってくる事でステップの際爪先が外側に逃げて行くのでこの対処法として足の指でしっかり路面を掴む筋トレも入れた方が良いでしょう!
詳細は又メールで送りますね(^。^)
早く膝、治るといいですね!
Commented by misawa_re7 at 2010-07-12 20:00
>hiroさん

まさしく以前ご説明いただいた腸脛靱帯炎でした(;´Д`)
医師のアドバイスどおり、毎日ケアはしていますが、燕岳に上った時は全く痛みのない状態から突如痛みがぶり返したので、今現在痛みがないからといって安心はできないですね。

そうですね、多分全身が固いのにも怪我の原因があるのでしょうね…
もう少し患部だけでなく、全身ストレッチして、少しカラダを柔らかくしておかないといけないのかなと思いました。
山行前のストレッチも今までの倍くらいの時間を確保してから登るようにしたいと思います(*´∀`*)

そうでしたね!以前メールで教えて頂きましたよね、足裏の事。
もう少し足裏の安定を高めようと、気休めではありますがインソールを購入してみました。
微々たることですが、少しでも改善できるといいんですけどね…。
足裏と足指のトレーニングもメニューに入れてみますね!

ホント、膝は長くかかりそうですが、早く治したいところですσ(´∀`;)
Commented by こまち at 2011-02-08 12:24 x
みさわさんが膝痛に悩んでいたのは知っていましたが、このときまだ自分の身に降りかかっていなかったので、症状名までは記憶してませんでした。
そして改めて”そういえばみさわさんも膝を痛めていたけど結局なんだったのだろう?”とみさわさんの考察日記を思い出して、再び立ち寄ってみました。
見事に症状名が一致してるではありませんか!びっくりです。

登山前に一応準備運動して登り始めるし、下山後も軽く整理体操して帰るのですが、それでもダメでした。
ストレッチを全くやらずに登り始める人も多いのに(下山後も何もやらない)、なぜ私だけなるんだろうとひそかに疑問です。
もともと筋力がないうえに、キャパオーバーの負荷をかけていたと思うんですがね(^^;)
みさわさんは完治して、もう炎症が起きることはなくなりましたか?

Commented by misawa_re7 at 2011-02-08 14:13
>こまちさん

おや、懐かしいブログですwww
そうなんですよ、全く同じ膝痛であります(;´∀`)

実は僕、最近はちゃんとしたストレッチとマッサージせずに登ってます(;´Д`)
それでもほとんど出ないところを見ると、ほぼ完治しているのでしょうが、最近では赤岳で久しぶりに発症しましたね。
やはり膝の稼動域が広くなる山域がやばいんじゃないかと思います。

ちなみに僕の膝痛が治るきっかけになったのはテーピングでした。
直前まで痛かったのにテーピングひとつで4泊5日の縦走行ってこれたので、恐らく僕の症状にはベストの治療だったのだと思います。
具体的に言いますと、僕が施したのは膝の稼動域を狭くするテーピングです。
特に膝を逆方向、つまり本来曲がってはいけない方に曲げない為のテーピングでした。

いつか膝痛の快方の経緯はブログでアップしようと思っていたのですが、忘れてましたww
もしかしたら参考になるかもしれませんから、テーピングの方法と併せて近いうちにアップしますよ(。・_・。)
ただ人によって原因はまちまちでしょうから、必ずしも合致するとは限りませんが…


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