【山行記録】 GW登山 涸沢再び! 残雪の涸沢カールへ テント泊 雪上訓練
先日の積雪による撤退からおよそ1週間。
28kgもの荷物に悪戦苦闘しながらも、僕らはようやく憧れの地、残雪の涸沢に到達した。
しかし、そうのんびりもしていられない。
僕がGW山行に課した課題、ひとつは残雪の涸沢へ行く事、そしてもうひとつ…そう、雪上訓練である。
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先日、アイゼン、ピッケルを購入するにあたり、残雪期のひとつの目標としてここ涸沢カールを選定したのは過去のブログでも触れたとおり。
と、いうのも、涸沢はGWの残雪登山の王道であり、毎年入山者も非常に多い。
雪山初心者の僕らにとって、何があるかわからない雪山では万が一の場合助けを求められる人がいる山域から始めるのが妥当だからだ。

そして僕が涸沢を選んだのにはもうひとつ理由がある。
それは涸沢をベースキャンプとし、来るべき今年の積雪期に向けて雪上訓練をしようと計画していたのだ。

涸沢はテント装備を担ぎ上げるにはいささか距離が長いが、その点を除けばベースキャンプ地としては最適な場所だ。
それに涸沢カール付近には滑落しても途中で止まるだけの平地を持つ適度な急斜面が多く点在しており、雪上訓練の地としても非常に理想的な条件が揃っていたからである。
そして5月4日、僕らは涸沢カールへやってきたのである…。




【PM2:00】
およそ8時間強の時間を要しようやく涸沢に辿り着いた僕らは、まず荷物を降ろしてテントサイトに突っ伏した。
景色も素晴らしかったし、ここまで頑張って辿り着いたという達成感ももちろんあったが、それより何より疲れが先行した。
ともかくテントサイトに着いたからにはまず幕営の手続きをしなければならなかったのだが、とにかく動くのが億劫で、しばらく動かずにいた。
しかし、そうのんびりしている時間はない。
僕の予定ではPM1:00くらいには涸沢に到着し、その後テント幕営、雪上訓練、夕食というスケジュールになっていたのだが、現時点で到着時間が1時間遅れている。
もちろん1,2時間遅れることは想定範囲内だが、しかしその分雪上訓練に割く時間を減らさなければならない。
こんなところでぶっ倒れていても時間だけが過ぎていくばかりで意味はない。行動することにした。


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涸沢までの登りの途中、下山してきたおじさんに

「テントサイトは好きなところ選び放題だよ」

と教えてもらっていたのだが、なるほどその通りである。
テント数は恐らくGW最盛期の3分の1にも満たないのではないだろうか??
GW前半にここを訪れた先人達が整地してくれたテントサイトを選び放題使いたい放題である。


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とりあえず手ごろな大きさのサイトを確保した。
僕らのテントはモンベルのステラリッジ3、3人用テントなのでやや大きめのサイトを確保する必要がある。
案外この大きさの見極めが難しくて、自分で整地する際も毎回やや小さめに整地してしまう傾向にある。
そうするとまた雪を掘って拡張せねばならず、二度手間だ。
まぁ仕事柄、穴掘りは慣れたもんなので気にはならないが、何度も手直ししていたのでは時間の無駄である。

ちなみに、場所的にはヒュッテから程近い場所だ。
ヒュッテから近い場所だと、トイレに行くにも水を汲みに行くにも何かと便利である。
とりあえず荷物をここに置き、幕営の受付を済ませるために涸沢ヒュッテへ行く事にした。




涸沢ヒュッテの売店でテントの受付について訪ねたところ、受付は3時から、サイトに設置してある受け付け用テントで行うとのこと。
3時までテント設営を待たねばならないのか…と思ったが、受付より前にテントを張ってしまっても構わないとのこと。
そういうことなら戻ってすぐにテント設営するとして、行動食以外まともに食べ物を口にしていなかったため、とりあえず何か食べる事に。


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涸沢ヒュッテといえば…名物おでんである!

ともかく疲れていたということもあるが、普段下界で何気なく食べているものでも、山で食べると格段にウマイ!
行動中は水しか飲まないため、甘いジュース、特に炭酸は格別である!
もちろんビールでも美味いんだろうけど、僕は個人的に山ではアルコールは飲まない主義なので、その分ジュースを飲む。
しかし、食べ物の味が変わるわけではないのに山で食べるだけでこうまで美味しくなる、これは一種の山の魔法である。

おでんは基本的に一品100円だが、150円の具が2つほどあったかな?全品頼むと700円だ。
ちなみにおでん全品に生ビールがセットになっている 『おでんセット』 は1400円也。
ビール飲む人は、単品で頼むよりセットで頼んだ方が100円お得である。


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お腹も膨れたところでテント設営を開始する。
テントの受付は3時からだが、設営自体は先にしてしまっても構わないとのことだったので、とりあえず設営してしまうことにした。


僕は今年の3月に初めて白駒池で雪上テント泊をした時から、竹ペグとスノーアンカーを併用している。
竹ペグは非常に良く利き、万が一雪面が凍結してしまって回収不能になってしまったとしても、天然素材のみを使用しているため、最悪の場合残置しても環境破壊は最小限に抑えられるメリットがある。
しかし、非常に嵩張るのが難点だ。
それに対しスノーアンカーはそこそこコンパクトに折りたためるため、竹ペグよりも携帯性が良い。
しかし、スコップを引っ掛ければ簡単に破れてしまうし、素材が素材だけに残置するわけにはいかない。
どちらも一長一短だから、両方を併用している次第である。


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と、いうわけでテント設営完了。
途中完璧な対角線上にペグを埋設するために、2度もペグを打ち直していたため、設営に50分もかかってしまった。
その上、嫁は細引きの縛り方がよくわかっていないため、僕が一人でペグを埋設して縛るという作業をしている関係上、非常に効率が悪い。
おかげで、2つほど上のテントのおっさんに 『やっとテント設営できたね』 的な事を言われる始末である。

まったくもって要らんお世話だが、言ってる事は間違っていないだけに反論はできないw
ただ、時間をかけただけのことはあり、どんな強風でも寄せ付けないであろう安定したテントにはなっている。

しかし、毎回毎回テント設営に時間がかかりすぎているのは事実だ。
もっとテント設営を効率化するには、嫁に最低限ロープの縛り方くらいはマスターしてもらわなければいけない。
次回までの課題という事にしておこう。
もっとも、夏用のノーマルペグならば、いちいち細引きを解いたり結んだりする必要はないわけだが…。


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テント設営が完了し、時間も少し空いたので、のんびりと穂高連峰を眺める事にする。
涸沢カールと前穂高岳。



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涸沢ヒュッテのこいのぼりも元気に泳いでいる。



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常念岳方面も綺麗に見えている。



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徐々に人が増えてはきたが、やはり全体的にテントの数は少ない。
混雑をを避けたいならば、やはりGW後半に来るのが正解ということだろう。



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涸沢岳と北穂高岳。
今年はアイゼンとピッケルを買った時期が遅く、技術的に登るのは無理と判断した。
しかし来年は是非いずれかのピークに立ちたいと思う。そのための今回の涸沢雪上訓練なのだから。



だがしかし、景色を眺めながらグダグダしているうちに、ぶっちゃけ


雪上訓練が面倒くさくなってしまった(;´Д`)


テントで横になって、時間だけが無駄に過ぎてゆく…
今日は疲れたから、さっさと晩飯を食べて体を休め、明日の朝にでも雪上訓練をしようかなどと、弱気な考えも出てくる始末である。

しかし良く考えろ、そもそも僕らは今回ここに何をしに来たのだ??
馬鹿みたいに重い荷物を背負って、こんな雪だらけのところまでわざわざやってきたのは、テントでぐーたらするためだったか?
疲れてはいるが、しかしここに来た本当の目的を忘れてはいけない。


重たいカラダに鞭打って、アイゼンを履き、ピッケルを持っていざ雪上訓練である!



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適度に急な斜面を選んで、まずはアイゼン歩行、ピッケルワークのおさらいだ。
アイゼン歩行に関しては、ここに来るまでに奥茶臼山、金峰山、そして今日の涸沢の行程と何度か経験してきた。
奥茶臼山は新雪+根雪、金峰山はアイスバーン、そして今日の涸沢は腐り雪と、奇しくも全てが違うシチュエーションのアイゼン歩行だった。
狙ったわけではないのだが、結果的にそれらの山行は丁度良い訓練メニューだったと言える。
それらの山行で得たものを踏まえて、一歩一歩ステップの確認をするようにおさらいをする。
あまり経験していない斜面のトラバース歩行の訓練もした。



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続いて滑落停止訓練である。
まずは寝転がってピッケルの握りの確認。
この時は縮こまっていてピッケルを短く持ってしまっているが、正しくは左手でもっとピッケルの先端、スピッツェ側を持つべきだ。

この状態で僕が散々シリセードして作った滑り台状の雪の上を滑り、滑落停止をかける。
実際やってみた。


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まぁピッケルの持ち方が短い意外は特に悪くは無いと思う。
しかし実際のところ、ここは腐ったザラメ雪で、ピッケルを突き立てても全然利かない。
このような雪質ならば、足を滑らせたらいっそピッケルを深く突き刺すか、アイゼンを深く蹴りこんでしまえばあっさり止まる。
まぁ今回は滑落停止の訓練なので、雪質に関しては無視して、基本の形を反復練習で体に覚えさせる。
体が覚えるまで何度も何度も繰り返すのだ。
ついでに登って来る時にアイゼンの歩行訓練にもなるから一石二鳥である。

僕も色々なシチュエーションからの転倒を想定して、仰向け、うつ伏せ、頭からといった色々なパターンを試してみた。
やはり頭から落ちるパターンが一番難しい。
実際頭から滑落するパターンはそうそうある事ではないと思うが、アイゼンを引っ掛けて転倒した場合頭から滑落する事も考えられる。
頭から滑り始めた場合、まずはピックを突き立ててカラダを上下反転し、なお止まらない場合はそこから肩制動で止めなくてはならない。
動作が多い分、斜面を滑る時間が長いのでどうしてもスピードが乗ってしまい、テンパって一つ一つの動作が雑になる。
訓練でこれなのだから、実際滑落したらまともに止められる自信がないが、とにかく練習あるのみ。


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と、いうわけで、かなりアクロバティックな動きをしていたおかげで


レインウェアに2つも穴をこしらえてしまった('A`)


軽く引っ掛けただけで簡単にカギ裂きである。恐るべしアイゼン。
と、いうわけで1時間半ほど雪上訓練を繰り返し行った。



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適度に運動して腹も減ってきたので食事にすることにした。

今回のメニューはチキンラーメンをベースに、にら、玉子、キムチを入れた、ニラ玉キムチラーメンだ。
それにきゅうりを輪切りにし、塩昆布をあえて味付けをしたものを添えていただく。
普段フリーズドライやアルファ米ばかりなので、たまにこういった生ものを使ったメニューも良い。


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そうこうしているうちに日も暮れてきた。
鮮やかな夕焼けを期待したのだが、残念ながらそれは叶わなかった。


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そして日が暮れた。
暗くなったのでテントに戻ってのんびりしよう。


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いつもテント内で調理をしていた関係上、カメラが結露してしまって全然テント内の写真が撮れなかったのだが、今回は外で調理して外で食事をしたので、ようやくテント内の写真を撮ることが出来た。
僕らのテントは、モンベルのステラリッジ3、基本は3人用テントである。
当初ステラリッジ2と散々迷ったのだが、多少重くても広い方が絶対に良いということでステラリッジ3に決めた。
結果的にその決断は正しかったと今でも思っている。
このようにザックを横に置いた状態でも2人並んで寝ることができる。
まぁ夜トイレに行く時には入り口側に寝ている僕をまたいでいかないといけないが。


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そして満天の星空に抱かれながら、僕らは眠りに落ちた。



こうして涸沢の夜は更けていく…涸沢復路 下山へ続く




【雪上訓練について】

余談だが、本来こういった登山技術は独学で身につけるべきではないという事は重々承知している。
正しい技術と知識を持った人にきちんと教えを請うのが正しい姿だ。
しかしながら、僕の周りにはそういった人はほとんどいないし、そういった機会もほとんどない。
雪上技術を学ぶために山岳会に所属したとしても、技術を学ぶだけ学んで、はいサヨウナラというわけにもいかない。
山に対する心構えは別として、山登り自体は趣味であり遊びなのだから、僕らは僕らのペースで気ままにやりたい。
言い方は悪いかもしれないが、山岳会に所属する事で会則や規則に縛られるのもなんだか違う気がする。
それはそれでひとつの山の楽しみ方の形だけど、団体行動が苦手な僕には多分合わない。
そうなるとやはり独学でやるしかない。

今回あえてピーク期を外したのは、拙い知識で試行錯誤しながらやっている姿をあまり人に見られたくなかったというのもある。
実際今回滑落停止なんてやったのはもちろん初めてである。
右も左もわからない状態でやってる姿なんて、恥ずかしくてとても見せられたもんじゃないww

結果として正しい技術が身についたかどうかは、はっきりとはわからない。
いずれは講習会なり、きちんとした形で学びたいとは思うが、しかし独学で覚えた技術が必ずしも間違いではないと思う。
プロセスがどうあれ、滑落停止は止まればいいのだし、アイゼン歩行は足を滑らせたり引っ掛けたりしさえしなければ良いのだ。
人から見れば何かチガウかもしれないが、たとえ独学であっても何かを学ぶという姿勢自体は間違っていないと僕は思う。

まぁ滑落停止なんていう技術、実際に使わないに越した事がないのだけれどww


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by misawa_re7 | 2010-05-18 23:20 | 山行記録 2010


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