【山行記録】 北八ヶ岳初級コース縦走 2日目 (高見石~麦草峠~蓼科ピラタスロープウェイ)
初日、足に爆弾を抱えながらも歯を食いしばって予定通り高見石まで踏破し、2日目への希望を繋いだ僕らだったが。
その代償は、大きく、重く僕にのしかかる…。果たして丸山から茶臼、縞枯、そして北横岳の4山縦走は成るか??
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2日目のコースのおさらい。


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2010年3月22日 高見石小屋(幕営地)~丸山~麦草峠~茶臼山~五辻~蓼科ピラタスロープウェイ

・ 高低差、距離、コース概要は上記の通り。
・ 地図上の実線は今回実際に歩行したコース、点線は当初予定していたコース。
・ 地図上の通し番号は、これからブログに添付する画像の撮影したポイント。(冒頭の写真は1にて撮影)




昨日、命からがら中山を突破し、高見石小屋へ着いたのはPM4:00過ぎ。
強風吹き荒ぶ中早々にテントを設営し、手早く夕食を摂り、足の回復を願って眠りに着いたのはPM8:00頃だった。

そう、2日目の行動の全ては、僕の足にかかっていると言っても過言ではなかったのだ。
このまま痛みが継続するようではとても北横岳までの縦走路を踏破することはできない。
それどころか、万が一これ以上足の状態が悪化してしまった場合、安全に下山できるかどうかも危うくなってきてしまう。
僕は祈るような気持ちでシュラフにもぐりこんだ。

外は相変わらずの強風が吹いており、外気温はこの時点で既に‐10度を下回っていた。
結局星を撮影することは叶わなかった…。



【AM4:30】
目覚ましが鳴った。この時の気温は、外気温推定約‐15℃、テント内気温約‐7℃。
前回の白駒池の時とは全く違い、テント内は盛大に結露しているが、トップキルトでくるんだナノバック300SPDXは睡眠の間、一度たりとも僕の身体に寒さを感じさせることはなかった。
この分なら、インナーダウンを着込めばトップキルト+300SPDXでも外気温‐20℃くらいまではいけてしまうかもしれない。

余談はさておき、寝起きは非常に良い。疲労感も全くない。というか一度PM23:00頃に目が覚めたのだが、その段階でもう歩き始めることが出来そうなくらい体力は充実していた。
だが、残念ながら股関節は鋭い痛みに加え、重い鈍痛をも伴っていた。

『北横岳はやめよう』

即断だった。
僕は昨日のうちに色々と考えていた。そもそも僕らは山に遊びに来たのではなかったか?
僕は山行に何かしらの課題を設け、ストイックに自分を追い込んでそのハードルを越えていくのは好きである。
その辛さ、厳しさを乗り越えた時、また1つ成長できた気がするし、何よりそんな時に見る山の景色は何倍も美しく感じる事が出来る。

しかし怪我は別問題である。

怪我をおして無理をしても、その後の山行に無理が生じるだけでなく、危険も増す。
そればかりか、仮に安全に下山できたとしても、怪我が原因で日常生活に支障をきたすようでは本末転倒ではないか。
いかに山とて、所詮遊びは遊び。日常生活に支障しない範囲で行われなければいけない。
北横岳を諦めた僕らは、AM6:00までゆっくり睡眠を継続することにした。




【AM6:00】
起床。それと共に撤収作業準備に取り掛かる。
今回の朝食はナルゲンボトルに入れたフルーツグラノーラと、お菓子のバタートーストとチュロスなので調理作業が必要ない。
ポリポリと朝食をつまみつつ、シュラフやマットを畳む。


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テントを畳もうと外に出ると、小屋のほうがにわかに騒がしい(撮影地点1にて撮影)
白駒池の方から2パーティー、合計30人ほどが登ってきていたようで、小屋の前で休憩をしている。
休憩する者、雑談をする者、高見石に登る者、さまざまである。
そんな彼らを尻目に、僕らは僕らでテントの撤収作業を続行する。


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北横岳を中止したことで時間に余裕が出来たので、前回来た時には目もくれなかった高見石まで登ることにした(撮影地点1にて撮影)


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白駒池、そして前回テン泊した青苔荘がよく見える。遠方には浅間山。


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僕らには馴染みの深い中央アルプスもしっかり見えていた。


昨日とはうって変わって透き通るまでの快晴である。どおりで朝方空気が冷たかったわけだ。
この天候ならばさぞ眺めはよかろう。
北横岳からの展望を見られなくなったのは残念だが、今日行くルートには茶臼山の天望台や、縞枯山の展望地がある。
それらからの絶景を心から期待して、AM8:45、僕らは高見石小屋を後にした。


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本日も足の負担を軽減するためにスノーシューをやめてツボ足にて歩行。(撮影地点2にて撮影)
前回は降りたての新雪で、スノーシュー歩行を余儀なくされた丸山への登りだが、今回はしっかり踏み固められており、ツボ足でも問題ない。
というかむしろこの場合だとツボ足の方が歩きやすい。
スノーシューの集大成のつもりで来た山行だったが、全然スノーシューで歩いていないのは皮肉な話である。


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【AM9:15】
丸山山頂到着(撮影地点3にて撮影)
前回来た時はよくわからなかったが、今回はここから見える山が西天狗であることがよくわかる。
こうやって少しずつ山を覚えていくのだろう。

前回はスルーしたが、ここの山頂から少し西に行ったところに展望地があるとのことなので、ちょっと立ち寄る。


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撮影条件も良い、雲ひとつない快晴だ。(撮影地点3にて撮影)
茶臼山の天望台には及ばないが、十分良い眺めだ。我等が中央アルプスと、嫁の大好きな御嶽山がよく見える。


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丸山から麦草峠へ下る。(撮影地点4にて撮影)
上の地図を見て、勘のいい人ならおかしいと気付いただろう。
撮影地点④の付近でなぜか歩行ルートがおかしくなっているのがおわかりいただけるだろうか?


そう、ここで僕らは道迷いをやらかした。


本来ならば西側の斜面を下らなければいけないところを、できたてホヤホヤのトレースを追いかけて東側の斜面を下ってしまったのだ。
おかしいと気付いたのは突如樹林帯が途切れ、開けた場所に出た時だった。
前回ここを下った時はこんな場所に出ることはなかった。
この時点で追いかけていたトレースは消え、どうやら道迷いのトレースだったとこの時になって気付いた。

道に迷ったら、まず正確な登山道に戻るため、道を間違えた場所まで元来た道を引き返すのが正解である。
しかし人間というのは自堕落な生き物で、せっかく今まで進んできた道を引き返すという行為を 『時間の無駄』 と捉えてしまう。
開けた場所に出たのが幸いし、周囲の地形を見ることが出来たため、現在地を特定するのにさほど時間はかからなかった。
しかし初日にコンパスが壊れてしまったため、正確な方向を測ることはできない。
僕は自分の方向感覚に依って、引き返すことなく登山道への復帰を試みることにした。

僕らが東側の斜面を下ったのは間違いない。
ということは、ともかく西側に歩いていけばかならずどこかで登山道と交差するはずである。
さらに北西の方角に歩いていけば、麦草峠への距離を縮めつつ、かつ登山道に復帰できるだろうと、安直に考えた。
そしてここから樹林帯歩きが始まったのである。


しかし、その考えが甘かったとすぐに思い知らされることになる。
トレースのない樹林帯の歩行は、思いの他困難を極めた。歩くたび足が埋まり、痛めた股関節への負荷を強いる。
これは失敗したなと思ったが、今更引き返すのは先ほど引き返すよりも更に時間の無駄だと考えた。
進むしかない。


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1時間ほど歩いた頃だったか、ここでついに行き詰った。(撮影地点5にて撮影)
木と木の間隔が狭くなり、ついには通れなくなってしまったのである。
西側の樹林はほぼ通り抜け出来なくなり、ならば登山道復帰を諦め、北へ進路をとればいずれは国道に出られるはずだと考えたのだが…
それもやがて密度の濃い樹林によって阻まれた。
この時僕は、登山道以外の道を歩くことの無謀さというのを初めて気付かされた。
わが身ひとつならばそれもよかったろう。
しかしテント泊装備を満載した巨大なザックを背負っては通り抜けられる道も通り抜けられないのだ。

結局自らが歩いたトレースを再び辿って引き返す事になった。
こんなことならば最初から引き返していればよかったのだと、今更ながら後悔した。



この時、タイムロスもさることながら、延々とトレースのない樹林帯を歩かされたことで、僕の足が再び悲鳴を上げ始めていた。
丸山から下ってくるまでは非常に調子が良かったのに、今では昨日と大差ないくらい痛みがぶり返していた。
30分ほどトレースを戻り、再び開けた場所に戻った頃には定期的な休憩無しでは歩くことも困難な状態だった。
この場所から迷った基点まで戻るためには、再度丸山の急登を登り返さなければならない。
しかし恐らくそれは僕の足にとっては致命的な行為だろうと思われた。

僕には確信があった。この場所からならば、西に向かって歩けばそう遠くない場所に正規の登山道があるはずだと。
それを見つけることが出来れば丸山まで上り返す必要がなくなる。
しかし重い荷物を背負ったまま歩き、また登山道を発見することが出来なければそれこそ致命的である。
いつもなら僕がザックをデポして斥候に出るところだ、しかしこの時僕はへたりこんで、足の回復を待たなければどうしようもない状態であった。
この時僕は初めて嫁に道を探してきてくれと頼んだ。
普段山行において、こういった役割は主に僕が担当してきていた。しかし今回はそれすら無理な状態だったのである。

やがて5分ほどして、嫁が正規のトレースと赤テープを発見した。お手柄である。


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しかしそこまで向かう途中、雪に足をとられてひっくり返っているあたり、どこか抜けているww
しかし今回は素直に感謝しておくことにする。


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【AM11:45】
麦草峠到着。(撮影地点6にて撮影)
予定より2時間近くオーバーして、何とか麦草峠まで到着した。
一時はどうなることかと思ったが、なんとか無事ここまで来る事が出来て良かった。
ここで時間と体力を必要以上に浪費してしまったため、縞枯山も無理と判断、中止する。

問題はここから茶臼山を上るか、五辻方面に折れて、最も楽なルートで下山するか、どちらにするかである。
足の状態は決して良くはなかった。できるだけ負担をかけずに下山するのが最良と思われた。
しかしこれだけの天気である。
せめて茶臼山の天望台からの景色くらいは望んでおかなくてはせっかく来た意味がないではないか。
縞枯経由は無理だが、茶臼だけならばなんとか上れると判断し、茶臼山経由でピラタスロープウェイへ向かうことに決めた。


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麦草峠。(撮影地点7にて撮影)
つい2週間前には10cm以上の積雪があったこの道も、今やアスファルトが露出するまでに解けている。
ここ2週間でだいぶ気温が上がって、雪解けが早まったのだろう。
もう積雪期は終わったのだ。


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大石峠を経由して、茶臼山手前の小ピークにて(撮影地点8にて撮影)
ここのピークの手前の斜面で、僕のハイドレーションから水が消えた。
今朝方、荷を軽くするために1リットルほど水を捨てたため、最後の最後で足りなくなってしまったのだ。
これから茶臼への超急登を目の前にして水切れはマズイが、どうしようもない。気合で乗り切るしかない。


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くそったれな上りである(撮影地点9にて撮影)
僕が体験した、北八ヶ岳の上りの中では一番ナンセンスな上りだ。
縞枯や北横岳直下の登りも急峻ではあったが、ここの登りは別格で、その急な斜面が、それらの数倍の距離続くのである。
しかし、本日最後の上りだと自分を奮い立たせながら、動かぬ足を総動員して一歩一歩進んでいく。


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【PM1:10】
茶臼山天望台到着。(撮影地点10にて撮影)
展望台ではなく天望台である。天を望む高台とは、粋なネーミングセンスではないか。
ちなみに茶臼山山頂は少し戻ったところにある樹林帯の中である。
前来た時はまだうっすらと雪が残っていたが、さすがにもう雪は全くない。
ここは非常に風が強いため、雪が降っても皆たちどころに吹き飛ばされてしまって残らないのだろう。


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南八ヶ岳、北横岳に蓼科山、奥には北アルプスもしっかり見える。まさに絶景である。
多少無理をしてでも来てよかった。

相変わらず風が強い場所だ、あまり長居はできない。
それに路線バスの時間のこともあり、のんびりしている時間はなかった。
写真を撮るだけ撮って、早急に下山することにした。


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【PM1:25】
分岐通過。ゆきだるまが可愛い(撮影地点11にて撮影)
バスの時間は3時と5時。できるなら3時のバスに乗りたいと思っていた。
そうなると遅くともPM2:40のロープウェイ、可能ならばPM2:20のロープウェイにはのりたいところ。
茶臼からの下りを5分足らずで一気に下り、ここからロープウェイ山頂駅まで一気に駆けた。


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五辻分岐も足早に通過。
時間ぎりぎりになりそうだったのでペースを一気に速める。
足は痛い、しかしあと少しなのだからと我慢して歩く。
どうしてもPM2:20のロープウェイに乗りたかった。




【PM2:15】
蓼科ピラタスロープウェイ山頂駅に到着。何とか間に合った。


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【PM3:00】
無事3時発の路線バスに乗ることが出来た。



今回の山行を振り返って、今期の雪山入門コースの集大成と銘打った山行だったわけだが、なんともお粗末な結果である。
怪我による予定変更、北横岳撤退までは仕方なかった。
しかし中山、丸山での道迷い未遂は、明らかに僕の未熟な登山技術が招いたミスである。
少なくとも丸山で道に迷わなければ、縞枯山までは踏破できたはずである。
改めて雪山の恐ろしさと、自分の技術力不足を露呈した山行だった。

しかし、ミスを含めた貴重な経験を積むことが出来た山行だったように思う。
順調な山行はいつでも経験できるが、己が生んだとはいえアクシデントに遭遇し、無事生還する経験はなかなか狙って積めるものではない。
あとはその経験をいかに今後に生かしていくかだと思う。
そういう意味では、実に僕らしい雪山集大成の山行だったと言えるかもしれない。



これで本年度の積雪期もほぼ終わりを告げ、徐々に残雪期から夏季へと移行していくだろう。
去年の秋から山に登り始めた僕らにとって、残雪期や夏季(僕は山岳部で経験済みだが)はまた未知の世界だ。
今年は道具もかなりそろえたことだし、まだまだ楽しみである♪




さて、余談ではあるが、今回一番ビックリしたことが、バスで下山した後に起こっていた。
それは、バスから降りて車に戻り、車に荷物を降ろしたり、身支度を整えたり、さて家に帰るか、という段になって起こったのである。
パーキングを出ようとして、駐車場のカードを機械に入れた。

すると…


駐車料金5300円です。











( Д)゚ ゚


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by misawa_re7 | 2010-03-25 23:13 | 山行記録 2010


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