【山行記録】 夫婦初百名山 恵那山の回顧録
『日本百名山』
山に興味を持つ者ならば、誰もが一度は耳にしているであろうこれらの山は、日本の数ある山の中から深田久弥氏が選定した百の頂である。
そんな百の頂の一つ、恵那山。日本百名山の称号を冠するその山は僕らにどんな感動を与えてくれるのだろうか?
期待を胸に、百名山への一歩を踏み出した、夫婦登山二回目のの山行記録。
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恵那山 (えなさん) 【標高2191m】

恵那山の名前の由来は、かつて天照大神降誕の際、 『胞衣(えな)』 をこの山中に埋めたという伝承に起因すると伝えられている。
美濃地方随一の名山であり、中津川市民、恵那市民にとっては昔からの親しみ深い山であるようだ。
日本アルプスの父とも言われる 『ウォルターウェストン』 が、その著書 『日本アルプスの登山と探検』 中で紹介したことでも知られている。
登頂には岐阜県側から登るルートが一般的であったが、平成8年に長野県側の阿智村にヘブンスそのはら(スキー場)がオープンし、こちら側からの利用者も増えている。

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2009年8月30日 天候:曇り
神坂峠ルート往復(神坂峠~鳥越峠~大判山~天狗ナギ~前宮ルート分岐~恵那山山頂~恵那山展望台)

・ 高低差、距離、コース概要は上記の通り。
・ 地図上の通し番号は、これからブログに添付する画像の撮影したポイント。




前回の風越山は、登山には難色を示していた嫁に対して決定的とまではいかないまでも、一石を投じるだけの効果はあったように思う。
僕自身も、当初は来年の富士登山に向けての準備登山程度のつもりだったのだが、10年ぶりに触れた山の空気があまりに居心地が良すぎて、それは僕の中の登山熱を再び駆り立てるに十分なものであった。
下山するや否や、次の山行の計画を立て始めてしまったのがなによりの証拠だ。

次の山行の目的地を決めるに際し、僕が求めたのは未知の山だ。
僕は高校の頃山岳部に所属していたことは何度も述べたが、その関係上前回登った風越山を始めとして、ある程度山を登った経験がある。
近場の山は特に顕著で、目に見える範囲の山は大抵一度は足を踏み入れている。
それでは面白くない…。
かといって、まだ山に慣れているとは言いがたい僕らにとって、遠方の山や3000m級の山々は荷が重い。
今回の山行に求める条件は…

僕が登ったことの無い、面白そうな、2000m前後の山。

そんなこんなで白羽の矢が立ったのが、ここ恵那山であった。


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今回は2000m級ということもあり、思い切って装備を追加した。

前回間に合わなかったレインウェアを調達。
前回は仕事用のボロボロのザックだったので、僕専用に山用ザック カリマー リッジ30を。
疲労時の歩行バランスが若干心配な嫁のためにダブルストック用にトレッキングポールを。
前回風が肌寒かったので、防寒用のフリースを追加。

準備は万端。夫婦登山としては初の百名山、果たしてどんな山行になるだろうか??


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【AM6:00】
深い霧の中、神坂峠に到着。(撮影地点1にて撮影)
駐車場は神坂峠から少し下ったところにある空き地で、4,5台停められるのがやっとといった感じの場所だ。
前日の雨が祟ってか、湿度は高く、虫が非常に多い。
どういうわけか僕らの車に寄ってたかって集まってくる…青い色に集まるという話は聞いたことが無いのだが…


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準備運動を手短に済ませ、出発する…(撮影地点1にて撮影)
が、一歩登山道に足を踏み入れた瞬間、足元の笹がずぶ濡れだったため、急遽スパッツを装着する。
出発時間5分ほど延長。
草が濡れているだけならよかったのだが、非常に湿度が高く蒸す。
これは今日一日、大変な山行になる予感がする…


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阿智村方面へ下るルート分岐。(撮影地点2にて撮影)
ここを下るとすぐ下を走っている林道に出る。
林道をずっと下っていくと阿智村、ヘブンスそのはらのあたりに出るようになっている。
しかし林道といっても整備が行き届いておらず、落石や崩落といった危険な箇所がいくつもあるので、車での通行はあまりオススメできない。
神坂峠から登りたいのなら、素直に中津川経由で来ることをお勧めする。

ちなみに神坂峠ルートは、登山道に入って一度軽く高度を上げてからは、鳥越峠まで一気に下るようになっている。
せっかく稼いだ高度がゼロになるどころかマイナスになるルートなのだ。
しかし冒頭の写真にあるの恵那山の眺めを得られるのは実はこのルートだけで、他のルートからは登りながら目的地である恵那山を拝むことができないのだ。
この展望が代償ならば、稼いだ高度100mくらいは仕方ないと諦める。


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【AM7:25】鳥越峠通過。(撮影地点3にて撮影)
鳥越峠は薄暗く、展望は全く無い。
最初のアップダウンで暑くなった身体に、ここの木陰は気持ちよかったが、あまり長居する必要も無いので通過することにした。


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鳥越峠を抜けると、平坦な道か、比較的緩やかな登りになる。(撮影地点3付近にて撮影)
体力的にはこの辺りが一番楽な区間かもしれない。
向かって左側の斜面には、所々切り立った場所もあるので、滑落しないよう注意して歩く。
しかしこちら側の斜面は、南向きなので非常によく日の光が当たる。
湿度は下がる気配が無く、そのくせ日射量は増える一方で、ものすごく暑い。僕は我慢できずに上着を抜いだ。


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【AM7:55】
ウバナギ通過。(撮影地点4にて撮影)
ナギとは一般的に崩落地や切れ落ちた斜面などのことを言う。
神坂峠ルートにはここウバナギに、山頂直下の天狗ナギと、何箇所か崩落している箇所がある。
基本的に登山道は崩落した箇所を避けるように作られているが、以前は崩落地のすぐ真横を登山道が走っていたようだ。
さすがにそれでは危険ということで、急遽整備したのだろう。


さて、ここで僕はものすごいミスをやらかした。


ちなみに、僕はブログに写真をアップしていることからもわかるように、基本的に山行にはカメラを持参している。
それも、コンパクトカメラではなくデジタル一眼レフカメラをである。
僕がこのとき山に持参したカメラはNikon D300といい、レンズ込みの総重量は約1.5kg。

価格はレンズと本体合わせて30万近い代物である。

そんなモン山に持ってくるなという意見は全くもってごもっともなのだが、もともとグラフィック関連に携わっていた関係上、どうしても画質へのこだわりが捨てられないのだ。
それに山を始める前は写真の趣味に没頭していたのだから、家に一眼がゴロゴロある状態で、わざわざコンパクトカメラを持って歩くことなんて今更出来ないではないか。

ここまでくれば、大方オチは予想がつくであろうが…





落としたのだ、その30万を(;´Д`)




手からD300が滑り落ちた瞬間、比喩でもなんでもなく世界がスローモーションになり、「あ、終わったな…」と冷静に考えている自分がいたり。
幸いだったのが崖下にではなく足元であったこと、さらには草の上であったということだ。
しかし、慌てて拾い上げて動作確認をするのだが、AF(ピント)が効かなくなってしまった…


やっちまった…('A`)


修理?いくらかかる??保障は効くのか、いや、自分で落としたのだから保障は無理か??
顔面は蒼白、とりあえず頭の中を札束が飛び交う。

もう、登山とか恵那山とかそんなこたぁどでもいい…ていうかむしろ今すぐもう帰らせてください(´・ω・`)
そのくらいテンションダウンしてしまった…まぁこの状況でテンションを維持できる奴は病院に行った方がいいww
もう、一心不乱にカメラと対話する。
電源のオンオフ、レンズの脱着などなど、とりあえず考えられるだけのことを色々試す。

5分くらい経ったろうか?
ピピっという電子音とともにAFが復活した!(・∀・)


助かったぁ。・゚・(ノД`)・゚・。


もう二度と山になんてカメラ持ってくるものか…なんて微塵も思うことは無くww
次回はカメラのストラップにカラビナでも取り付けっかな(。・_・。)
なんて暢気な事を考えていた、懲りない男みさわでありましたw


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【AM8:15】
大判山山頂到着。(撮影地点5にて撮影)
アップダウンの繰り返しの多い山というのは、総じてペースを崩しやすい。
今回が非常にいい例で、急な上りだというのに手前が下りだったりすると、ついついそのままの早いペースを維持したまま上りに入ってしまう。
下りから上りに移行する時には自分で意識してペースを作らないと、気付いた時にはバテているなんてことはザラである。

と、いうわけで、大判山直前の直登で、嫁にトップを取らせていたら案の定ペースを崩して息絶え絶えである(;´Д`)

大判山で休憩をとるも、ここはものすごくでかいハエがわんさか飛んでいる最低の場所である。
近くで獣でも死んでいるのか?というほどにハエがたかっている…
気持ちはよくないが、背に腹は変えられないので、ここでしっかり休んで体力を回復することにした。


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大判山を過ぎると、また再び下りに入る(撮影地点5にて撮影)
せっかく稼いだ高度を、毎回毎回こうもあっさり覆されると心が折れそうになる…

この辺りから一気にガスが沸いてきて、視界が悪くなり始める。
本来なら、この辺りから南アルプスが一望できるはずなのだが…悲しいかな全く何も見えない。


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【AM9:31】
天狗ナギ到着(撮影地点6にて撮影)
天狗ナギ付近から足元に岩が増えてくる。それに伴い斜度も徐々に増してきた。
ガスは相変わらず晴れるどころかどんどん深くなり、それに比例して湿度もうなぎのぼりである('A`)
前回よりもはるかに水の消費が激しい…それだけ汗で水分を消費しているということだ。


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天狗ナギからはガツンと傾斜が急に。(撮影地点7にて撮影)
前宮分岐に近づくにつれ傾斜はどんどん増し、直登の様相を呈してくる。
歩幅を狭くし、歩速を緩め、体力消耗を抑えようと試みるも、次第に嫁の息が荒くなってきた。
慣れない岩場に高い標高、それにこの湿度では無理もない、本日最もスローペースで乗り切ることにする。


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【AM10:31】
前宮分岐到着。(撮影地点8にて撮影)
息絶え絶え、汗だくになりながらなんとか登りきった。
前回の風越山は1500mで肌寒かったというのに、ここは2000mだぞ、一体何なのだ、この暑さは…。
単純に標高だけでは気温というのは測れないのだということをここで学んだ。

ちなみにここから分岐になっている前宮ルートは、かの『ウォルターウェストン』も歩いたとされる歴史あるルートである。
しかし、登り6時間、下り4時間というなかなかにタフなルートだ。
今はとてもじゃないが日帰りで踏破できる気がしないが、いつか挑戦したいと思う。

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ここから山頂まではアップダウンも少なく、比較的平坦な道。あとは楽勝である。
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【AM10:51】
恵那山山頂?通過。(撮影地点9より撮影)
恵那山はおかしな山で、山頂と思しき場所が2つあるのだ。
一つは写真の社の場所で標高2190m、しかし昭文社の山と高原の地図によると、この先の2189m地点が山頂であると記されている。
実際にはここの社がある地点の方が標高は高いのだが、三角点が無い。
逆にこの先の展望台とされている2189m地点にはしっかり三角点が据えられている。
さて?一体どちらが本物の山頂なのか??いまだにわからないままである。


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【AM10:58】
山頂小屋を通過。(撮影地点10にて撮影)
山頂非難小屋はすこぶるきれいだ。脇には環境に配慮したバイオトイレも備え付けられており、さすがに百名山といったところか。
時間的には昼食にしても良かったのだが、とりあえずここはスルーして、一度山頂(展望台?)を踏んでから再び戻ってくることにした。


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【AM11:10】
恵那山山頂到着。(撮影地点11にて撮影)
晴れていれば南アルプスの展望が素晴らしい…らしいのだが、ガスが全く晴れず展望はゼロ。
展望用に櫓が立っているが、登ってみてももちろん展望は無い。
せっかくの百名山だが、残念である。


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【AM11:25】
山頂非難小屋にて昼食。(撮影地点10にて撮影)
昼食はコンビーフサンドおにぎりと生ハムチーズ、ポータジュ、お茶、梨。
コンビーフサンドは美味しかったが型崩れを起こしやすく、微妙に食べづらかった。改善の余地あり。
生ハムチーズはそのままでも十分美味しいが、バジルソースなんかをかけるとまた違った味わいで美味しいかもしれない。
今回はナイフも持っていったので、梨をむいて食べた。山頂で食べる果物はまた格別の美味さである。

僕らのほかに4パーティーほど昼食を摂っていた。
中には炭を持ち込んでバーベキューをしている人や、前宮ルートを歩いてきたと思しき人もいた。
到着した時は晴れていたのだが、出発する頃になるとまた再び曇り始めてしまった。
今日は一日天気が安定しないな…。




【PM0:50】
前宮ルート分岐到着。


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【PM1:40】
天狗ナギ通過。(撮影地点6にて撮影)
今更ながらガスが晴れて来た…もっと早く晴れてくれれば少しは違ったものを…
それでもまだ中津川の方角からガスが立ち上っている。こちら側から吹いてくる風は涼しく心地よい。

まだ下りは始まったばかりだが、だんだん膝が笑ってきている。僕も大概身体がなまっているが、嫁は恐らくもっとだろう。


【PM2:10】
大判山通過。


【PM3:13】
鳥越峠通過。


【PM4:02】
神坂峠登山口到着。無事下山。


単純計算だと標高差600ということで若干なめてかかっていた感はあったが、実際歩くと予想以上にタフなルートだった。
アップダウンが多く、断続的に足に負担がかかり、地味に距離もある。
この日はそれに加え、高い湿度が更に体力を消耗させる要因になっていたように思う。
中級者向けとはいかないまでも、初心者にはちょっと向かないルートかも。コース自体は整備されているので歩きやすいが。

恵那山という山は外から見れば美しい山様をしているが、山頂も樹林帯の中にあり、あまり展望も良くない。
しかしその中にあって、神坂峠ルートは最も展望が良い(今回は残念だったが)
前宮ルートに次いで大変なコースではあるが、道中変化に富んでいて楽しいコースではあった。
ただ、標準タイム往復で9時間と、日帰りとしては決して時間的に余裕のあるコースではないので、早朝出立が望ましいと思う。


夫婦登山としては始めての百名山だったわけだが…実に残念な結果だった('A`)

終始ガスにまかれて、展望も無く、ハエは多いし湿度が高くて蒸し暑い。カメラも落とすし。
時期が悪かったこともあるが、僕にとっても嫁にとってもあまりいい印象の残らない山になってしまった…
せっかくの百名山デビューだったわけだが、天候不順でつまらなくなってしまってはなんとももったいない。
また次はもう少し条件のいい時に、リベンジしたいと思う。

まぁ他はともかく…

カメラを落としたのは自分の責任なわけだがσ(´∀`;)



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by misawa_re7 | 2009-08-30 10:31 | 山行記録 2009


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